「キラリと光る!」展示ブースを探せ  Interop Tokyo-戦略的ブース編

「キラリと光る!」展示ブースを探せ

Interop Tokyo-戦略的ブース編

 

展示会に行くと、私は特に注目していることがあります。

1つはブース。デザインはもちろんのこと、ブースコンセプトやキーワードは何かということも重要です。

 

2つ目はブースにいる人の動き。来場者への声掛けをしているか、コンパニオンとの連携は取れているか、どのように説明をしているか、アンケートはどのように取っているか。

特に2つ目の人の動きは気になります。

 

展示会によって雰囲気の違いはありますが、当日の動きで呼び込みを積極的に行っていないブースも多いです。

 

Interopで通りかかったあるブースでは、ユニークな方法で積極的に呼び込みを行っていました。

さらに、差別化が難しい技術者派遣というサービスの中で、ブースでは自社のサービスコンセプトを明確に発信し、一際目を引いていました。

今回は素晴らしい呼び込みをされていた株式会社VSNの八木橋氏とその上司である今村氏にお話をお聞きしました。

 

 

戦略の肝はバリューチェーン・イノベーター

 

―貴社のことを簡単に説明頂けますか?

 

今村氏:当社はIT・メカトロニクス・エレクトロニクス・ケミストリー・バイオ分野の技術者派遣サービスを行っています。

派遣業界では、「技術者のスキルレベルが高い」ことや「派遣料金が安価」ということが差別化要素として認識されがちです。当社は高い技術力はもちろん、お客様に本当に歓んでいただけるサービスを提供するべく、これまでにない「バリューチェーン・イノベーター」というサービスコンセプトを立ち上げました。

 

―「バリューチェーン・イノベーター」とは聞き慣れない言葉ですね。

 

今村氏:「バリューチェーン・イノベーター」は当社の造語なんです。このサービスが生まれたのはリーマンショックがきっかけでした。

当時、業界全体が大きな打撃を受け、当社の派遣率も60%近くまで落ち込みました。しかし、そのような状況の中にありながらもお客さまに必要とされ続け、派遣契約を継続されるエンジニアがいました。彼らは何が違うのか。そこに「バリューチェーン・イノベーター」のヒントがあったのです。

実は、契約が継続されているエンジニアは、お客様に技術を提供しているだけでなく、自ら問題を見つけ自主的に解決活動を行い、事業を推進していく・あるいは拡大していくために不可欠な存在となっていることがわかりました。

今後リーマンショックのようなことが起こった際も、社員全員が社会から必要とされる存在でいよう、そしてさらにお客様の事業や産業界に貢献していこうと、全社員が「バリューチェーン・イノベーター」として成長し活動し続けることを決めたのです。

 

―どのように問題解決スキルを身に付けるのでしょうか?

 

今村氏:ほとんどの社員が「問題解決」を体系的に学んだことなどありませんから、最初はこのサービスもなかなか進みませんでした。そこでまずは26名の選抜社員に対し、一流コンサルタントによる高度なトレーニングを1年以上かけて行いました。その後、社内の研修制度やさまざまなプロセスが整備され、今は社員が社員を育成し、VSN独自の資格認定制度も設けています。

 

八木橋氏:社員の成長やツール・プロセスの整備によって提供実績は確実に増え、これまでに600件以上のご依頼を頂いています。

 

―たった6年で600件までになったのですね。現場でエンジニアとして働く社員の方が、まるでコンサルタントのように本質的課題を特定して提案し、改善策の実行までされるのですか?

 

今村氏:そうです。中には「問題解決なんてしなくていいから、とりあえず与えられたものだけやってよ」というお客さまもいらっしゃるかと最初は躊躇しましたが、提案には全てのお客様から多くの歓びの声をいただきます。特にこれからのエンジニアには、クリエイティブな発想や自主的に行動できる力が確実に求められます。このサービスが他社様との差別化につながるのは間違いありません。

 

「バリューチェーン・イノベーター」を実現する組織づくり

 

―派遣業を行っていると、帰属意識が薄くなる傾向にあるのではないかと思います。その中でも貴社の社員として、「バリューチェーン・イノベーター」を実現するためにどのようなことに取り組まれているのですか?

 

今村氏:お客様先に派遣されると、エンジニアとして「自分はお客様と派遣元、どちらに所属しているのだろうか」と悩むことはあると思います。しかし当社ではエンジニアの組織体制をしっかり整備しており、現場エンジニアに役職者も存在します。

グループリーダー、チームリーダー、そしてメンバーという組織図になっていて、1グループ当たり50~60名程で構成されています。

大体月に1度はグループミーティングが行われており、それとは別にチームミーティングも実施し、よりよいサービスの提供はもちろん、各エンジニアのケアやビジョンの理解・浸透につなげています。

 

―組織が本当にうまく作り上げられていますね。「バリューチェーン・イノベーター」の体制や業務のやり方にはすぐに移行できたのですか?

 

今村氏:決して簡単ではありませんでした。エンジニアは入社してくるときは技術力を上げていきたいという強い想いを持っています。「バリューチェーン・イノベーター」というコンセプトが発表された当時は戸惑う社員も多かったと思います。

メンバーだけではなく、リーダー層からも「なぜこのサービスなんだ」という不満が出てくることもありましたが、その都度、「バリューチェーン・イノベーター」の価値について、徹底的に向き合って話してきました。

 

―何かあった時にはコミュニケーションを密に取られてきたのですね。

 

今村氏:コミュニケーションは常に密に取るようにしています。経営層や役員層とも壁が無く気軽に話せる、非常に風通しのいい会社だと思います。また、縦のつながりだけではなく、他部門などの横のつながりも大事にしています。社内SNS上で共通の趣味や目標について話し合ったり、サークル活動も活発に行っております。

サークルには役員も参加しており、メンバー層と役員のコミュニケーションの場にもなっています。これらの取り組みが退職率低下にもつながり、現在は1桁台で推移しています。

 

―コミュニケーションや色々な取り組みの成果として表れているのですね。素晴らしいですね。

 

「バリューチェーン・イノベーター」が組織に浸透

 

―これからは今回の展示会についてお話を伺っていきたいと思います。出展の目的と目標はどのように置かれていましたか?

 

八木橋氏:問題解決ニーズ(「バリューチェーン・イノベーター」)の掘り起こしと、「バリューチェーン・イノベーター」を武器とした派遣ニーズの開拓でした。過去に展示会出展の実績がほぼないため手探りでのスタートでしたが、まずは500名の名刺獲得を目標にしました。

―実際にどのぐらいの名刺獲得やアンケート数でしたか?

 

今村氏:名刺獲得は500~600枚ぐらいです。

 

―今後お取引に繋がりそうな方もいらっしゃいましたか?

 

八木橋氏:実際にブースにご来訪いただいたお客様で、私が担当しているクライアント様もいらっしゃったのですが、今回が良いきっかけとなり新しいお話を頂いたり、今回ブースに来場されたお客様と取引が始まったケースもあります。

 

―素晴らしいですね。ブースを作るうえでは皆さんも打ち合わせなどに入られたのですか?

 

八木橋氏:いえ、私たちは入っていません。プロジェクトメンバーが中心となり、ブースのコンセプトやデザインをパートナーさんとともに検討しました。

 

 

―コンセプトをしっかり作られていたイメージがあったので、皆さんでお話されたりされたのかなと思ったのですが、「バリューチェーン・イノベーター」は社内ですっかり共通言語になっているのですね。

 

八木橋氏:当日は、我々営業担当はもちろん、エンジニアも参加していたのですが、「バリューチェーン・イノベーター」がどういうものかは熟知しているので、ブースやツールを見るのが初めてだとしても、説明すること自体は難しくありませんでした。

 

―Interopは技術系の展示会なので、ブースでも技術面や機能面、それとも旬なキーワードを訴求されているブースが多かったように思います。その中でも貴社では「バリューチェーン・イノベーター」や「コンサルできるエンジニア」を打ち出されていたのは、戦略から来ているものなのですか?

 

八木橋氏:当社は製品を持つ企業でありませんが、製品の向こう側にある、“お客さまが叶えたいこと”に一緒に取り組める「人財」が3,000名以上在籍しています。Interopに展示されている最先端技術を導入したとしても、結局は、それを使う「人」や「組織」「仕組み」がうまく機能しないことには改革は進みません。技術力とともに、真の課題解決を行うサービスを広く伝えようと、今回の出展コンセプトを決めました。参加した社員全員が同じベクトルを向いているので、声掛けも活発に行えたんだと思います。

 

 

今回のインタビューはここまでです。非常に興味深いお話を伺うことが出来、1回の記事では足りなくなってしまいました。会社としての戦略と組織づくり、そしてブースのコンセプトが見事に一貫しているイメージを持って頂けたかと思います。

次回は呼び込みを含め、当日のオペレーションのお話をお聞きします。

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