展示会で説明員に対する反応が良くても商談に繋がらない?~説明のコツ
先日はJapanマーケテイングWeekに伺いました。
支援企業が出展していたので、状況を確認するのが目的でした。
さらに、マーケティング活動を支援するツールについて興味があったので、色んなブースに立ち寄ってみました。
サービスの説明を受けていると、「面白い製品だな」と感じる場面がありました。
しかし、その後商談に繋がるのか?という視点で考えると、そうしたい企業とそうならない企業に分かれます。
展示会では反応がよく、面白いと思ってもらえることも多いが、なかなか商談に繋がらないケースがあります。
課題を感じている出展社様もいらっしゃるのではないでしょうか?
展示会後の温度差を解決するのが今回の目的です。
記事を読んでいただきたい方は以下になります。
- 展示会の担当者
- マーケテイング責任者
- インサイドセールスの担当者
目次
説明員と来場者の感覚のGAPを埋めることはできるのか
先程私が説明を受けた時、「面白い製品ですね」と反応したと書きました。
この「面白い」には二つの意味があります。
1つは今までにないような製品や機能に対する「面白い」です。
「こんなツールがあるんだ」「こんなことができるんだ」
このように感じた反応です。
2つ目は、自社(自分)の業務の中での課題を解決してくれるようなツールだと感じたことに対する反応です。
「今まで1日3時間ぐらい掛かって業務が、これを使えば15分ぐらいで終わるんじゃないか?残業時間を減らせるな」
「このツールを使えば顧客との商談数を増やすことができる」
この場合は、もっと話を聞いてみたいと思うわけです。
前者は面白いと思いながらも、「自社では必要ないかな」という結論になります。
先日の展示会では、各々で作成した資料を共有するサービスを展開している企業様のブースではこのように説明を受けました。
「社内のどこに必要な資料があるのかわからず、何人も同じ資料を作ってしまっている。これでは業務の無駄が発生しているし、残業代も発生してしまう」
「知見が分散しており、ナレッジの共有がされていない。これでは業務が属人的になってしまう」
非常に便利なツールだと思います。これまでも情報共有のツールは色々ありました。
今回の製品は、「資料に特化した情報共有ツール」として訴求しており、そのための便利な機能も実装されていました。
しかし、このような製品はある程度社員数がいて、「資料の共有化」という課題が発生している企業がターゲットになると思います。
弊社は少人数の会社であるため、現状このような課題を感じていません。
そのため、機能面では面白いとは思いつつ、自社では使えるというようなイメージは持てなかったのです。
説明員の方はこの2つの「面白い」を混同し、「反応が良かったのでフォロー対象だ」と判断するのです。
実は展示会ではこのようなことが沢山起こっています。
説明員と来場者の感覚のGAPを埋めることはできるのか
このようなGAPはなぜ生まれるのでしょうか?
- 製品のターゲットをイメージしできていない。もしくはマーケテイング担当者様は持っていても説明員に共有できていない
- ターゲットはイメージ出来ているが、展示会は様々な方が来るので、沢山の方に知って頂くためにとにかくどんな方にも説明をしている
- 展示会での説明を、普段の営業活動の説明をあまり意識して変えていない
このように、沢山の来場者に説明し、「反応が良さそう」という曖昧な理由で見込み顧客だと判断し、フォロー対象にしている方も多いのでないでしょうか?
その結果、沢山の方を対象にフォローをしますが、あまり商談に繋がらないという結果になります。
そして、「今回はこれだけのリードを獲得したにも関わらず、商談は〇件しかない。それであれば次回はもっと沢山のリードを獲得しなければいけない」
このような思考に陥るのではないでしょうか。
そして、コストをかけてコンパニオンを使ったり、説明員の服装を目立たせたり、沢山のノベルティを配ったりするのです。
実は説明員にもコツがあるのですが、まずは説明員の役割についてお話していきたいと思います。
説明員と呼び込み員の役割とは?
出展社様によっては呼び込み員と説明員の役割を分けていません。
しかし、私たちはこの2つの役割を明確に分けることを推奨しています。
これには以下の理由があります。
- 2つの役割は似て非なるものであり、適正が分かれる
- ミッションを分けることで、それぞれの目標を分け、責任の所在を明確にする
- 役割を分けることで、業務が単純化し、大量にこなすことで成長スピードが早くなる
2つの役割は似て非なるものであり、適正が分かれる
営業パーソンにとって、2つの役割は同じような特性に見えるかもしれません。しかし、この2つは大きく異なります。
呼び込み員の役割
- ブースの前を通る来場者に声をかけ、足を止めてもらう
- ターゲットかどうかを確認し、ターゲットであれば短く説明する
- 先方のニーズを確認し、今日ものある製品の説明員に引き継ぐ
よって、説明員は社交的で笑顔が素敵な方で、マインドが強い方に適性があります。
飛び込み営業を経験したことがある方やインサイドセールスを経験したことがある方がベストです。
実は社内の優秀な営業パーソンは苦手な方も多いと思います。
展示会ではターゲット外の方が沢山いますし、断られることも非常に多いため、非効率な業務だと感じられると思います。精神的にもストレスが掛かります。
飛び込み営業やインサイドセールスは断られることが多い業務なので、マインドが強い方が多いです。
また、受付突破や名刺獲得のために短い言葉の中で様々な工夫をされている方が多いです。
展示会は来場者の興味を短い時間の中でとらえる必要があります。キャッチフレーズもターゲットに刺さりそうな言葉をいくつかテストしながら検証する必要もあります。
単に声をかけてブース内に入ってもらう作業だと考えてしまうと辛い作業かもしれませんが、私はこのようにとてもクリエイティブな業務と捉えています。
たまに呼び込みを否定している記事を見掛けますが、それは来場者のことを考えない強引な呼び込みを行うからです。
私たちが推奨する呼び込みは、来場者の足を止め、必要な情報を得るためのお手伝いをするような呼び込みを推進させて頂いております。
当社が推奨する呼び込み方法についての記事はこちらも合わせてお読み下さい。
説明員の役割
説明員はフィールドセールスの役割に近いです。
来場者ごとのニーズを捉え、説明していきます。
説明員がやるべきことは、来場者の期待感を上げることです。
冒頭にお話ししましたが、来場者にとって役に立つツールだという風に思って頂くことです。
ほとんどの企業では、説明員にオペレーションを委ねていると思います。
しかし、私は説明員用のトークスクリプトを用意しても良いと思います。もしスクリプトに落とし込まないとしても、来場者の想定される課題ごとにシナリオを用意すべきだと思います。
以前の記事にも書いた通り、展示会での営業と普段の営業は違います。普段の営業とはオペレーションも異なるため、事前にシナリオやトークスクリプトを共有し、研修を行えるとベストです。
なぜある程度説明員のオペレーションを統一した方が良いかと言うと、事前に立てた仮説を検証できるからです。
- 今回の展示会でのターゲットはどのような方か
- そこにはどのようなニーズや課題があるか
- 提示した解決策への反応はどうだったか
このような仮説に対して検証することで、日頃の営業活動やマーケティング活動に生かせることができます。そして、次回以降の展示会の改善ポイントにもなります。
ご参考までに展示会の営業と普段の営業の違いについて書いた記事もお読み頂けると幸いです。
展示会の人員配置
人員配置も考えなければなりません。
説明員が少なすぎたらブースがすぐにいっぱいになってしまい、せっかく興味を持って頂いた来場者が立ち去ってしまうことになります。
逆に呼び込み員が少なければブースになかなか人を呼び込めず、説明員が暇を持て余してしまいます。
ブースがあまりに閑散としていると足も止まりづらくなります。
製品によっても適正な人員配置は異なりますので、仮説で目標数値を立て、検証しながら掴んで頂ければと思います。
説明員がやってはいけないたった1つのこと
このように書くと大袈裟に聞こえると思いますが、ここが展示会での営業と普段の営業の大きな違いとも言えるのです。
説明員がやってはいけないたった1つのこと。それは、
説明を長くしてしまうこと
このようにお話をすると、必ず否定的な意見が出てきます。
- 展示会は製品を紹介する場ではないのか?
- 顧客にしっかり説明するのはやるべきことで、中途半端に説明することは失礼にあたる
- 顧客が満足する説明により契約に繋がる
もちろん間違えではありません。しかし、BtoB展示会の場合、一部を除いてその場で契約が決まることはありません。
展示会の場で説明を聞き尽くした来場者は、展示会後に改めてお話を聞こうとは思いません。
また、展示会では来場者は沢山のブースを回るため、記憶にも残りづらいです。
展示会後に再度商談を作れるように展示会のオペレーションを設計しましょう。
説明員のオペレーションの短縮化により商談数を高めていたブースの事例
先日伺ったJapanマーケティングWeekにて、説明員が短い時間で効率よく説明し、商談に繋げていた事例をお話します。
この企業では展示会をリード獲得の場と捉え、説明員もそれに従ったオペレーションを実践していました。
そのブースでは、マーケティング活動の中で使われるツールを出展されていました。
まず、入口でその製品に対する興味度合いを確認した後、興味がある来場者に対して説明員に引き継がれました。
ブース内では私が行っている業務内容や会社の事業内容をヒアリングしながら、聞き手の期待感を上げるように説明していました。
そしてこちらの期待感がマックスに達したとき、「本日はお時間もあまり取れないと思いますので、次回ぜひ体験されませんか?」と言われ、アポイントのオファーがありました。
そのツールに興味を持ったので、私はアポイントを受けることにしました。
ブース内では機能面の説明は一切ありませんでした。
それでも私は嫌な気持ちを一切しませんでしたし、むしろ好感が持てる対応でした。
来場者がもう少し話を聞きたいと思うタイミングでオファーを入れるのが一番良いと思います。
「どこまで展示会の場でお話しして、どこから商談で情報提供する」
これを設計しなければなりません。
このような洗練されたオペレーションは、普段の営業活動と展示会での営業の違いを理解していなければできないです。
来場者をセグメンテーションし、それぞれのニーズを捉えることで、ターゲットごとに説明の仕方を変える必要があります。
そのためにはシナリオやトークスクリプトを作り、ある程度画一的なオペレーションを実現するための教育が必要になります。
詳しいお話は聞けませんでしたが、恐らくこの出展社様はこれを実践していると思います。
まとめ
今回は展示会において説明員が成果を出すためのコツについてお話させて頂きました。
説明員は展示会の場では普段の営業と切り分ける必要性について改めて考えました。
そして、説明をし過ぎないように徹底することは重要です。そしてそれはマインド面も含めて簡単なことではありません。
そのための仕組みづくりと教育を行えば、展示会で説明員が成果を上げるためのコツを掴めると思います。
今回の記事を参考にして頂けると幸いです。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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説明員の役割についてはこちら
呼び込み員と説明員の役割分担についてはこちら
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