製造業でウェビナーを上手く行うには?
電子部品、半導体の通販サイトを運営している株式会社チップワンストップ。
5月12日から開催している「チップワンストップオンライン展示会2020春」は盛況で、出展企業からも来場者からも好評を得ています。
ウェビナーイベントであればともかく、作り込まれたコンテンツをこれほどのスピードで開催に至ったのは驚異的です。
日本では、電子部品や半導体メーカーがウェビナーを開催することも少なく、一般的に製品志向が強い傾向にあります。
コンテンツ作りも大変ではないかと私は考えていました。
今回のインタビューは今後オンライン展示会やウェビナーなど、オンラインイベントを開催したいという企業様、もしくはイベントを企画提案される企業様にぜひ参考にして頂きたいです。
チップワンストップオンライン展示会2020春
エレクトロ二クス業界の主にエンジニアや購買担当社向けに、「IoTエッジコンピューティング」「IoT電源」「IoTセンサ」「パワーエレクトロニクス」「IoT通信5G」「オートモーティブ」の6つのテーマで開催。電子部品や半導体メーカー28社が出展。出展各社の展示ブースでは、「製品紹介」「パネル・動画」「ウェビナー」「キャンペーン紹介」「会社紹介」で構成されており、来場者からの問い合わせも可能。毎週火曜、木曜の週2日で会期中合計20回のウェビナーを行っている。
5月12日~6月19日まで開催中
https://www.chip1stop.com/sp/event/online_expo2020_spring
今回は、以下3名のご担当者様がインタビューに応じて頂きました。
プロダクトマーケティング部 部長 野底 勤 様
プロダクトマーケティング部 Webマーケティング部 マネジャー 野村 久承 様
プロダクトマーケティング部 リーダー 岸本 大幹 様
オンライン展示会は前から企画されていましたか?
野底様 いや、企画は当初はしてなかったです。
直近3年ぐらいは春と秋にエレクトロニクス関連の展示会に参加をしていました。
今年も4月にJAPAN IT WEEKのIoT5Gソリューション展に出展予定で、我々のサイトを通して販売している中の約20社のメーカー様と一緒に出る予定でした。
それが急に延期になってしまい、困ったのではないですか?
野底様 そうですね(笑)
準備を進めてきたにも関わらず、各メーカー様の新商品の発表の場が無くなってしまいました。
2月にリアルの展示会を難しいであろうと判断して、展示会に代わるものをオンラインで何か出来ないかと考え、企画しました。
そんなに早く開催できるものですか?
野底様 元々オンラインでビジネスをやっていますので、ページの作成は通常でも行っていますし、メーカー様の新商品を紹介するコンテンツは、リアルの展示会で準備をしていたものがありますので、「もうやるしかないだろう」ということで、急いで作りました(笑)
各メーカーの新商品の発表の場というのが1番ですか
野底様 新商品・新サービスを発表するということが目的です。
我々の通販サイトは、日本で多くのお客様に使って頂いています。
既存のお客様、新規のお客様を問わず、とにかく新しい商品を知りたいというお客様に対しての情報提供が今回の狙いでした。
開催が急遽決まってから時間がない中で開始されたと思うのですが、そこまでに協賛企業様との調整を含めて苦労されたことや大変だったことはありますか?
野村様 私は制作側の者ですが、まず時間が無いのが大前提で、更に動画のコンテンツを持っているメーカー様はそれをお出し頂きました。
しかしそれだけだとどこでも見ることができるコンテンツなので、本イベント向けオリジナルコンテンツとして動画を新たに撮ろうと試みました。
何社様かは撮れたのですが、新型コロナの影響で訪問することができず撮影を断念したメーカー様もありました。
そして本当に時間が無い中で、編集とページの作成を全て社内で行ったので大変でした(笑)
岸本様 私はサプライヤー様を集める営業側のポジションです。
提案資料を作ってサプライヤー様へ担当から提案するのを管理していました。
多くの提案先では、「製品プロモーションをできないのは良くない」という危機感を持たれていたので、提案面は苦労した部分もありますがそれほど大変ではありませんでした。
一方で納期までに完成しないとリリースが間に合わないので、メーカー様と社内制作チームとの調整が大変でした。
WEBページが営業パーソンになるわけなので、レベル感をなるべく高くしていく必要がありました。
メーカー様の持っているコンテンツの魅力、それをどうやったらお客様に伝えられるかというところに知恵を絞りました。
GW明けに拘った理由は何ですか?
野底様 制作期間が必要なため4月に実施することは難しく、しかし6月、7月と先の方にスケジュールを引いてしまうと各メーカー様の商品をタイムリーに紹介することができなくなってしまいます。
GW前後は多くの企業では稼働が少し落ちる傾向があるので、GW明けが良いという結論になりました。
メーカー様の情報の鮮度や見てくれる来場者様のことも考えてのスピード感ですね。先程展示会であれば20社ほどのメーカーさんと一緒にということだったのですが、今回それを超える協賛企業様が参画されました。その要因は何でしょうか?
野底様 元々リアルの展示会で一緒にやろうと手を挙げて頂いていたメーカー様には当然提案をしました。
その中の全てがオンラインにご賛同頂いたわけではなく、辞退されたメーカー様もいらっしゃいました。
ただ、我々が出展を予定していた以外の展示会にもエレクトロニクスに関連する展示会が軒並み中止になり、既に取引のあるメーカー様が困られている状況でした。
そのようなメーカー様にはご提案しました。それで我々にご賛同頂いた企業様が増えました。
どのような集客方法を取られましたか?
野村様 弊社は現在約30万人弱の会員様がいらっしゃるので、そのリストを活用しました。
もう少し苦労するかと思ったのですが、沢山の露出をすることで興味を持って頂き、かなり集客は上手くいっています。
4月の頭から実はプレページをオープンしており、約1ヶ月告知していました。
それを合わせると20万以上のPVを獲得しています。
ありがたいことに、従来弊社をお使いいただけていない新しいお客様も来て頂いています。
来場者からの反響はいかがですか?
野底様 新しい商品を知る場というのが無くなってしまった中で、非常にタイムリーにオンライン展示会を開催しているということに関しては非常にポジティブな評価を頂いています。
メーカー様各社ウェビナーのコンテンツについて御社でルール決めなどにも関わられたのですか?
岸本様 ルールはこちらで決めました。
メーカー様の製品はそれぞれ方針があり、プロモーションされていますが、我々の視点から見て足りていない点などもあります。
その点についてはディスカッションしながら、「このような言葉を使ってはいかがでしょうか?そうすればもっと良くなりますよね」という風に議論しながら、コンテンツの質を高めています。
また、ウェビナーはインターネット経由なので、事前の段取りが非常に重要になってくるので、リハーサルは時間を掛けて行いました。
メーカー様1社1社のコンテンツ作りに関わるとなるとかなり時間も掛かると思います。御社は商社としてトータルソリューションを心掛けていると拝見しましたが、そのノウハウが今回も生かされたのですか?
野底様 コロナの状況になる前から、我々のプラットフォームを使ってお客様に「どのように商品の良さを伝えられるか」ということは常日頃からメーカー様とコミュニケーションを取っています。
このような状況になってface-to-faceのコミュニケーションができなくなり、更にコミュニケーションを小まめに取るようにしたのもありますが、通常我々がメーカー様とディスカッションをしていなければ、これだけ短期間の中でオンライン展示会は出来なかったと思います。
ウェビナーの目的は何ですか?
野底様 オンライン展示会では、情報を並べておけば来場者は見てはくれます。
しかし、具体的に商品の採用を考えた時に、お客様は色々な質問をお持ちになるので、相互にコミュニケーションを取れる場としてウェビナーを用意しています。
そのために個人情報を入れて頂いて、リアル展示会と同じようにお互い名刺交換のように、顔が見えるやりとりをされることを前提に申し込んで頂いています。
ウェビナーはよくやられているんですか?
野底様 世界的に見るとウェビナーは半導体、電子部品の世界では当たり前のようにやっています。
しかし日本国内では、今まで主流ではありませんでした。
我々のお客様は企業に所属するエンジニアや資材購買部門の方々です。
業務中に自分のパソコンで動画を見るということがやはり会社の中でやりづらいという文化があったと思います。
コロナにより1番大きく変わったのは、環境が変わり、お客様が業務時間中にウェビナーに参加しやすくなったことです。
ウェビナーのポイントはどこだと思いますか?
野底様 しかし、各メーカー様もウェビナーには不慣れなので、運営側として我々が司会を務めています。
メーカー様にはプレゼンに特化してもらうということ、そしてQ&Aに対してしっかり回答してもらうことに集中してもらうということです。
そして何回もリハーサルをやることによってツールの使い方なども事前に学習し、準備してもらうというところが一番大きなポイントです。
野村様 まだ完成形ではないと思っているので、やっていく中でチームのメンバーが修正点を挙げていき、随時意識しながらみんなで「こうした方が良い、ああした方が良い」と言いながら改善しています。
お話をお聞きしているとリアルでウェビナーをやっていることによりお客様の満足度が高いのかなと感じますね
野底様 製造業の方は自席で動画を見るという習慣はなかったと思います。
社会が今大きく変化していて、恐らくスタンダードの1つになっていくと思っているのですが、実際はZOOMの使い方がよくわからないという声を頂くこともあります。
しかしそれを先駆けて行うことにより、今まで使ったことなかったけど「こういう状況なので聞いてみよう」というお客様も確実にいらっしゃいます。
野村様 お客様は直接メーカーの方と話す機会がなく、ほとんど代理店や我々と話すことが多いので、そういう機会を求めてリアルの展示会へ行かれます。
ウェビナーの1つの売りは、Q&Aで直接自分が聞きたいこと、それもかなり細かいことを聞いている方もいらっしゃいますし、その点はお客様もメリットに感じて頂いていることかなと思います。
開催期間を1ヶ月以上とかなり長く取っているのですが、本来の展示会は3日程度です。その辺りの狙いを教えてください
野底様 当初は企画を出した時点でコロナがどのぐらい社会に対して影響を及ぼすか全く読めませんでした。短い期間で設定した場合、本当に皆さんに見て頂けるぐらいの社会的状況なのかわからなかったので、オンラインでやる分には特に会場代も掛かりませんし、自前のサーバーを使ってやっています。
また、お客様も会社の状況、仕事の状況など色々ありますが、どこかで来場し、見て頂ければと考えています。
ウェビナーに関しては、なるべく沢山の方に見て頂きたいという思いがあります。
隙間なく一日中スケジュールを埋めて何社も行うとお客様がずっと見るのが辛いだろうなと考えました。
今は火曜日と木曜日の2日間に設定させて頂いて、1日に最大でも3社と時間的に余裕を持ってウェビナーを回していくという考えもあり、1ヶ月に設定しています。
実際に1ヶ月で開催してみて、何かメリットはありましたか?
野底様 展示会を運営していく中で、新たな企画が思いつき、実際に実施できました。
「東大発のスタートアップ企業による特別ウェビナー」と「パワーエレクトロニクスに関連する特別ウェビナー」です。
それぞれ、関連する複数の企業や大学教授を一堂に集めて、シンポジウムのように1つのテーマに関連した講師の方が順次登壇して、聴いて頂くような企画です。
さらにどんどん新しいアイデアが浮かんでいますので、実行していきたいと思います。
今後展示会やイベントなどについて考えていらっしゃることはありますか?
野底様 まず1つ大前提にあるのは、我々の使命でありお客様や仕入れ先のメーカー様の求めるところは、新製品を広めていくプラットフォームであるということです。
そのため、オンライン展示会、リアルの展示会に限らず、メーカー様の新商品を紹介する場として1番ふさわしい場所を今後も選び続けていきます。
リアルの展示会はリアルの展示会の良さがあると思っています。
オンライン展示会は見たいコンテンツだけ見てすぐいなくなることもありますが、リアルの展示会ではお金と時間を掛けてその場に移動している以上、何か成果を残そうと真剣にお話を聞くかもしれないですし、face-to-faceで話せるという良い面があります。
リアルの展示会を全くやらないということも考えていませんし、一方でコロナの影響で社会が大きく変わる中、今後リアルの展示会がどうなっていくのかということは我々も見定めていかなければならないと思います。
我々としては両方の良さを考えながら、両方できる体制を整えておくということが重要なポイントだと考えています。
本日は貴重なご意見をありがとうございました