なぜ展示会での反応とフォローの反応は違うのか
展示会が終わった後、フォローで電話を掛けたり、メールマーケティングなどのナーチャリング施策をされる出展社様が多いと思います。
展示会でお話した際には感触が良く、説明員がヒアリングシートなどに「要フォロー対象」としていても、電話を掛けてみると「大丈夫です」と冷たく断られたりすることはありませんか?
今回は、このようなGAPを感じる展示会ご担当者様に参考にして頂きたい内容になっております。
なぜ展示会では来場者は良い顔をするのか
日本の展示会において、来場者の主な目的は「情報収集」です。
もちろん自主的に展示会で収集したい情報もあれば、会社として製品導入のために具体的に収集したい情報もあります。
特に様々なテーマが集まるような総合展示会の場合、来場者の興味度合いは製品によって大きく分かれます。
興味のない製品であっても、来場者は「面白い製品ですね」と言って、ブースを後にすることもあります。
これは、テクノロジーとしては面白いと感じても、来場者自身には関係のない製品かもしれません。
また、本当は全く興味がなくてもブースから立ち去るために言ったのかもしれません。
そのような状況で、どのようなことに気を付けてオペレーションすれば良いのかを今回は考えていきたいと思います。
効率的に有効リードを獲得する
1つ目はリード獲得についてお話します。ポイントは以下の3点です。
- 入口時点でターゲットを選別する
- ターゲットの興味度を確認する
- 興味を持てばブースへご案内する
入口時点でターゲットを選別する
展示会では様々な目的の方が来場しています。BtoBの企業では全員がターゲットとなるような製品はまずありません。
そのため、入口時点でターゲットを選別することが効果的です。しかし、ほとんどの出展社様ではこれができません。
「それは難しいでしょ?だからコンパニオン使って沢山取ってるんだよ」という声も良くお聞きします。
もちろん簡単だとは言えません。しかし、それはどのような企業でも可能だと考えています。
ターゲット来場者を呼び込む方法については以下の記事で紹介していますので、ご参照下さい。
顧客の興味のあることや課題をぶつけてみる
基本的には、来場者には興味のある分野があります。
選別したターゲットに対して興味のありそうなことや持っているであろう課題をぶつけてみます。
興味があれば足を止めてもう少し話を聞いてみたいと思いますし、興味がなければ足が止まりません。
これはイメージが付くでしょうか?
皆さんが商店街を歩いている時に、魚屋さんに話しかけられるとします。
「今日はぶりが安いよ!刺身でも美味しいよ」
「今日はぶりが安いよ!ぶりは中性脂肪や悪玉コレステロールを減らすから、成人病対策に良いよ」
上記は誰にでも当てはまる呼び掛けになると思います。しかし、ぶりの刺身を食べたいと思わなければ特に興味を持ちません。
下記は、全員がはまるワードではありません。しかし、健康診断で中性脂肪などにチェックが入った方や、お腹周りが気になるような方は注意を引き、「もう少し話聞いてみようかな」「食べてみようかな」という気になるかもしれません。
このようにターゲットが興味のありそうな内容をぶつけて、来場者の興味度合いを確認します。
興味を持てばブースへご案内する
短い説明を経て、興味を持てばブースへご案内します。
ここでは製品の詳細についてはほとんどお話しない方が良いです。
ここで製品の内容を説明し過ぎてしまえば、せっかくのターゲットであっても「もう中に入らなくても十分情報を得た」と判断され、ブースを立ち去ってしまうことがあるためです。
話を聞いてみたいと思わせるまでが呼び込みの役割です。
来場者の足を止めてから、先方が話を中で聞いてみたいと思わせる程度の長さでお話します。
ここでは「エレベーターピッチ」をご紹介します。
ご存知の方もいらっしゃると思いますが、エレベーターピッチは15秒から30秒というエレベーターに乗っているわずかな間で的確にプレゼンテーションをすることです。
来場者1人に対して呼び込みに使う時間は大体30秒を目安にするとよいと思います。
もしターゲットが狭く、ターゲットをより絞り込みを行う場合は色々質問をしながら、より選別してからブースへご案内します。
来場者に合わせて説明する
私も展示会に良く訪れますが、不思議なほどこちらのことを何も聞かずに製品説明をする出展社様も多いです。
この場合、基本的には画一的な製品説明になります。
商談相手のことを知らずに話すということは、製品の機能を包括的にお話することになり、来場者1人当たりの説明時間は長くなります。
それを防ぐためにも相手のことをヒアリング、または仮説を立てながらお話する必要があります。
来場者の目的は何か
先にも書いた通り、日本のBtoBの展示会の来場者の目的は「情報収集です」。
その場で契約が即決することはほとんどありません(即売会などは除く)。
情報収集の中でも様々なものがあります。
- 製品導入のための情報収集(決裁者、その他)
- 自分の課題を解決できるようなソリューションの情報収集
- 市場動向の調査
- 競合調査
- 営業目的の情報収集
この中で、顧客になり得る来場者は基本的には1か2です。
1は顕在顧客、2は潜在顧客です。
その他の方はターゲット外と考えて良いと思います。
もちろん商談前半ではわからないかもしれませんし、本音を言わないかもしれませんが、意識しながら商談を進めるべきです。
来場者の属性を見抜く
来場者の属性を見抜くとはどういうことしょうか?
ここでは販売プロセスの中で、来場者がどのキーマンかを分析することを指しています。
- 決裁者(購入の決定者)
- インフルエンサー(購入の決定に影響力のある方)
- ユーザー(製品を使う人)
- 購買者(調達部門など、購入する時の窓口)
- その他
この中で、「決裁者を狙え」というのが定石ではあります。
しかし、企業の規模が大きくなるほど、ほとんどの製品は決裁者にいきなり話を聞いてもらうことが難しくなります。
また、製品によっても一番興味を持つタイプの方がいると思います。
ユーザーはイメージしやすいかと思いますが、購買者であればスペックが現状維持できて価格が下げられるような提案であれば興味を持つと思います。
最終的には決裁者のニーズも満たさなければなりませんが、御社の製品がどのタイプのキーマンにはまりやすいのかを分析し、戦略的にターゲットを捉えることが効果的です。
来場者のニーズに合わせて説明する
ターゲットの来場者のニーズや抱えている課題は何か。
来場者の属性や業務内容、ミッションなどによってそれぞれ違います。
それに対してどのような提案ができるのかを設計する必要があります。そ
れらがわからない場合、製品をただ説明するしかありません。
一通り製品説明してからヒアリングに入る方もいますが、それでは二度手間であり、時間が掛かってしまいます。
「製品説明を一通り説明しないと相手のことは聞きずらいです」
このような声も頂きます。
「関係のない製品であればこちらのことを話したくない」という来場者も中にはいるかもしれません。
しかし、来場者も自分に関係のない話をされるよりは、最初から知りたいことを伝えたうえで、短い時間で効率的に欲しい情報を得たいというインセンティブの方が強いと思われます。
お互いに時間が限られている展示会という場では、効率よい商談の方が向いていると考えています。
もちろん全ての来場者のシナリオを作ることは出来ませんので、3つぐらいのシナリオを作っておくと良いと思います。
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来場者の知的欲求を満足させない
展示会における商談のゴールは何でしょうか?
その場で契約が決まるようであれば、商談のゴールはクロージングになります。
しかし、ほとんどの展示会では、リード獲得やブランディングが目的になるかと思います。
リード獲得の場合は、展示会ではターゲット来場者の期待感をできるだけ上げ、その後の営業プロセスに繋げることと私達は考えています。
そのように考えると、展示会ではどのようにすれば良いでしょうか?
答えは、製品のことを話し過ぎないことです。
「えっ、展示会は製品を説明するための場所ではないのですか?」
もちろんその通りなのですが、ほとんどの方は展示会で製品について説明し過ぎています。
来場者の立場になって一度想像してみて下さい。
製品について聞きたいことが全て聞けたとしたら、展示会後にもう一度会って話を聞きたいと思いますか?
もちろん、来場者の中で既に購入を決めており、上司を説得するための材料や、環境適合性を確認する場として商談が設定されることも中にはあると思います。
しかし、そこまで購入プロセスが進んでいない場合、知的欲求を満たしてしまうとそれ以降の営業プロセスには繋がりづらいのです。
展示会で来場者が一番興味のあるポイントについては、展示会では控え、アポイントの際にお話しするようにします。
そのためには、展示会では何を話し、展示会が終わってから何をオファーするかを予め設計しておくことが重要です。
まとめ
今回は展示会のフォローで成果を出すために、展示会の中でどのようにオペレーションを設計すれば良いかを中心に考えました。
今回のポイントは、
- ターゲット来場者と沢山接点を持つために、商談を短縮化する
- 御社のターゲット顧客を知り、どのパターンのキーマンかを確認しながら商談する
- 製品説明を長くせず、情報を隠す
以上になります。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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