【SCSK株式会社様】展示会コンサルティング事例 

SCSK株式会社様ブース

出展目的から考える展示会準備とは?

 

7月末からリアル展示会の開催を目指して動きが出てきています。

もちろん今までと同様の運営方法は少なくともしばらく難しいかもしれません。

しかし、展示会開催の第一歩を踏み出せたのは業界としては良いニュースですね!

 

以前より「展示会コンサルティング」について書かれたものは、当サイト内における人気記事の1つです。

しかし、あまり事例をご紹介できていませんでした。

理論的には理解できたとしても、具体的なイメージが湧かない方もいらっしゃったのではないでしょうか?

 

今回は、SCSK株式会社が2018年のリテールテックJAPAN2018に出展された際のご担当者である奈良部様にインタビューさせて頂きました。

まずはブース概要、奈良部様のご紹介です。

 

奈良部様

ではインタビューをどうぞ!

 

御社はどのように展示会を運営されていましたか?

 

大きなところで言うと、ヤマハの展示会での目的は製品を告知する、もしくは認知を高めることでした。

ノベルティを使って沢山の名刺を集め、直接購入に関与が薄い方でも名刺の枚数があれば良いという方針でした。

市場が広まっていく、もしくは関心が高く、競争相手があまりいない状態であれば良い方法だと思っていました。

 

まずは知ってもらうことによって検討の俎上に上げて頂けると考えておりました。

 

知って頂くということに力を入れていたんですね

 

状況が変わったのは、強力なベンダーが市場に参入してきた時です。

その時、いかに認知を維持し続けるか、新しいお客様を獲得するか。

端的に言えば今当社から導入しているお客様をひっくり返されないようにするかに注目しなければならないと考えました。

 

御社は営業手法としてどのようなことをされてきたのですか?

 

直接取引する相手(販売店や流通販社)を通じて市場にアプローチ、という販促がメインでした。

より直接的な販促活動をエンドユーザーに広げたいと考え、その接点として展示会を活用しようと思っていました。

 

「リテールテック」のようなある程度業種業態を絞ったところであれば、当社が想定するユーザーにアプローチできると考え、出展していました。

しかし、どのように運用すれば良いかわからず、単純に「製品はこのようなものがあります」「このように使えます」というような製品説明に留まっていました。

結果、多数のリードを得ることができましたが、更に営業効率を上げるために、リードの質を高めていく手法が必要であると考えました。

 

その時に私がお話させて頂いたわけですね。その時に面白いと思って頂いたポイントはありますか?

 

普通展示会の支援サービスというと、形を決めて何をどこに置くかとか、「ブースのデザインはこんな感じです」「セミナーはやりますか」「やる場合にはコンパニオンを立てます」とか…

結局それはリード(名刺)の量を追求する方法でしかなかったんですけど、御社の場合リードの質を中心に考えていたところに興味を持ちました。

あとアフターフォローも相談に乗って頂けるとのことでしたので、ここも非常に心強いと思っていました。

 

なるほど!お会いしてお話をさせて頂いた時にはかなり興味を持って頂いていたように思います。それはそのような課題から来るものだったのですね。

 

他の展示会でも沢山の名刺を獲得していても、あまり活かせていない状況でした。

それが認知の向上には繋がったとは思いますが、そこで効果を測れないことを歯がゆく思っていました。

既存顧客へのリーチは当然行っておりましたが、より多くの新規のエンドユーザーにリーチしたいと考えていたので、そこを増やしていきたいと考えました。

 

そしてエンドユーザーのニーズを掴みたい、もしくは将来的にどういうところにお客様のニーズが広がっていくか知りたいというのがありました。

そこにバイネームでリーチできるリストを作りたいという思いが根本にありました。

 

前回のリテールテックJAPANでは、新規のエンドユーザーはリーチできましたか?

 

そうですね。

既存顧客やお付き合いのある販売代理店などの比率が多かったように思います。

また、新規のエンドユーザーに関してはそこまで設計もしていなかったので、「誰を集めるの?」という課題もあったと思います。

 

今までは展示会出展に際し、どのように始められていましたか?

 

まず「何を見せるか」を考えていました。

製品名があって、型番があって、構成図があってということから入っていました。

 

製品ありきになっていたのですね。私たちは最初目的設定から始めていきました。その辺りで何か思うところはありました?

 

いかに考えていなかったのかというところは痛感しました。

特に相手側(ターゲット)のペルソナをどう設定するかというところは非常に参考になったと思っています。

今までは製品をどう見せるかというところにしか注目していなかったので、一体そこは誰に当てはまるのかということを考えた上で、「じゃあどう見せようか」というのは初めてのことでした。

また、ターゲットの選別の仕方は非常に参考になりました。

 

ネットワークインフラでも製造業のように製品思考が強いと感じました

 

仰る通り新製品とか新技術というのは好まれるし、興味を引く内容と思います。

でも実際お金を払ってまでオーバースペックのものが欲しいというのは、なかなか難しいです。

ネットワークインフラ分野の製品はユーザ―にとってお金を明確に生み出すものではないですし、あって当然のものです。

そこにハイテクノロジーをハイリスク、ハイコストで入れるというのは無いと思います。

 

それは感覚的には理解していました。

それをいかに導入して頂くには、コストを抑えるか、お客様に価値を感じてもらえるか。

そのポイントを捉えることが重要だと思っていました。

 

ターゲットをペルソナという形で設定して、そこから呼び込みチラシという形に落とし込んだのですが、恐らく今までと全然違ったチラシが出来上がったのではないかなと思います。その辺りで何か感じたことはありませんか?

 

特に違和感はなかったですし、非常に良かったと思います。

 

壁面にも「こんな構成で使います」というイメージを描いて頂いたのも良かったと思います。

効用を知っていても知らなくても見て頂ける内容になっていたと思います。

 

※表面ではIT部門長もしくはIT担当者様向け、裏面は店舗運営責任者様向けの呼び込みチラシ。

 

目標にしていた質の高さという視点で、新たなユーザーを獲得できたといったことはありましたか?

 

今まで以上にエンドユーザーのリードを獲得できたと思いますし、そこから電話をして営業が訪問する流れは作れたと思っています。

目的を持ってきちんと展示会を運営できたと考えています。

 

アフターフォローの部分でも、コール活動における「トークスクリプト」の作成などでお手伝いさせて頂きました。その辺りはいかがでしたか?

 

良かったと思います。

いつも迷うのは実はトークスクリプトでした。

こちらの言いたいことばかり先行してしまい、お客様に散々聞いた後にいらないと言われることも多いので、その辺りはきちんと整理する方法を教えて頂いたと思います。

 

今回やって頂き、感じたメリットとデメリットを教えて頂けますか?

 

メリットは目的をしっかり設定して、目標を持ってそこに対して何をしていくかという風に決められる。

そこに向けてガイドして頂ける点がありがたかったです。

誰をお客様にしたいかといったところの話は、非常に参考になりました。

展示会前にペルソナの作成は今までやったことがなかったです。

 

デメリットは我々の側の問題にもあるかもしれまぜんが、「全部やってくれる」みたいなイメージを持っていると実はそんなことはなく、自分で考える部分もあります。

逆にそれくらいの意識が無いと、せっかくの御社のサービスを活かせないと思いました。

 

自分で考えることで良かったと思う点はありましたか?

 

万人共通の答えがあるのであれば良いと思うのですが、そういうものではないと思います。

お客様にとって効果的な物、求められているものがはっきりしない以上は、結局自分たちでも考えないと良い仮説は出てこないのではないかなと思います。

長い時間を掛けて取り組んだ方が良いと思います。

 

半年ぐらいかけてマインドを育てつつ、目標を定めて何を準備しましょうということが出来たら良かったなと思います。

 

3ヶ月ぐらいで準備しました。実はもっと短時間のケースも多いです(笑)。時間があればもっとディスカッションを重ねられるかもしれません。恐らく出展社様の中でも、展示会は突貫的に短期間で準備するものだという考えがあるのかなとも思います。

 

展示会を1つのイベントとしてそれだけだと捉えるのではなく、1年間を通して何をするという中に展示会があります。

それまでに何を用意して、展示会後に何をするのかという様なサイクルを考えていかないと効果的にはならないと思います。

御社を展示会の出展支援というよりも、展示会も含めたマーケティングのコンサルティングですと言う方がイメージに近いです。

 

自分では自社のことに気付けないことも多く、そのようなご意見はありがたいです。

 

他のいわゆる広告代理店さんでは、「コンセプトは何ですか?それであればこんな感じでブースを作ります」というように一問一答で進んでいきます。

しかし御社の場合は、まずは「目標をどこに置きますか。そこをディスカッションしましょう」という感じで進みました。

 

ディスカッションした結果、「こういうのはどうですか?」というように質問が投げかけられて、「誰に対して何を伝えるのか。そしてどのような方法でそれをやっていくのか」というものが固められるというところが違いだと思います。

 

そのようにお聞きしてみると、かなりお客様に負荷があるサービスとも言えますね(笑)

 

深く考えることで、きちんと何をしなければならないんだと決めることが必要です。

単に「お祭りをやりました」で許される状態だったら良いのですが、多くの企業はそうはいきません。

何をどこまでやるという基準を設けて、それをいつまでにやるというスケジュールを立てることが必要になってくると思います。

 

そのためにこのタイミングで展示会に出ます。

ここから先はWEBで集客して、ここでコンテンツを上げてさらに集客しますといったことを考えられるようにならないと有効に活用できないのではないかと思います。

 

ありがとうございます。御社の「マーケティング認定制度」のプロジェクトでも関わらせて頂きました。それも展示会で「マーケティングのコンサルティング」という認識を持って頂いたことが大きな要因ですか?

 

そうですね。きちんとゴールを定めるというところが納得できるところでした。

 

弊社サービスでこのようなサービスがあれば良いというご意見はありますか?

 

端的に言えばマーケティングのコンサルティングです。

目の前の仕事、目の前の受注、来月の予算達成と言ったところで行動が終わってしまうので、そこを変えていかなければならないと思っているんです。

 

「10年後どうするんだ」という問題提起はされるのですが、なかなか良い案は浮かんできません。

現場レベルでも考えなければならないと思うのですが、そのような人材を育てることが課題になっています。

この課題に対しては、講習受けるというような教育だけでは解決しないと考えています。

 

例えば御社に入って頂いて、ディスカッションできる場を作り、話し合いで気付きを与えられるような場があれば良いなと思います。

 

本日は貴重なご意見をありがとうございました

 

インタビューのまとめ

 

  • 導入理由は、販売店へのアプローチから脱却し、エンド企業への販促活動の第一歩として接点を作ることであり、今までと異なる展示会の手法を求めていた
  • 製品ありきから、顧客ターゲットに対して何を伝えるかへの思考の変化
  • 出展目的を考え、目標を決めることでそこに向けてやるべきことが見えてくる
  • 顧客について自分たちでも考え抜くことで、良い仮説が作れる
  • 展示会を単体として考えるのではなく、全体のマーケティングプランを策定し、遂行することが重要