2020年8月バーチャル展示会の状況はどう変化した?
以前2020年4月17日に、バーチャル(オンライン)展示会のメリット/デメリットを考えるという記事を書きました。
あれから4か月が経過しました。
当時の記事はメリット/デメリットを以下のようにまとめています。
【メリット】
- 来場者の情報が取れるのでセールス活動に活かせる
- リアル展示会に比べて費用が安い
- 場所が関係なくなるので、利便性、コスト面の効果がある
【デメリット】
- PULL型施策なので強者が勝ちやすい
- 出展規模が大きくならない
- リアル展示会に比べて特別感が薄い
今時間が経過して、メリット/デメリットも再考が必要だと思います。
2020年8月時点での、バーチャル展示会のメリット/デメリットについて考えます。
目次
バーチャル(オンライン)展示会の種類
リアル展示会がオンラインに変化する中で、3つのバーチャル(オンライン)展示会の型が出てきました。
色んな呼ばれ方をしているので分かりにくいですよね。
リアル展示会に近い型から紹介します。
1.ウェビナーとバーチャルブースがセットの型
弊社がバーチャル展示会と呼んでいるのがこの型です。
リアル展示会に最も近い型となります。
リアル展示会は、基調講演などのセミナーゾーンと出展社がブースを構えているブースゾーンがあります。
この型(バーチャル展示会)も、リアル展示会と同じように、参加者からするとウェビナーを見ることもできるし、バーチャルブースに訪問することもできます。
バーチャルブースは、WEBタイプ、2D、3Dまで様々な形態があります。(主催者が使っているプラットフォームによって違う)
2.EventHubを活用したチャット型オンライン展示会
弊社は、バーチャルブースがある場合をバーチャル展示会と呼び、ない場合はオンライン展示会と呼ぶことにしています。
バーチャルブースがないオンライン展示会でコロナ後開催されたのが、EventHubというプラットフォームを活用したチャット型オンライン展示会です。
この型のオンライン展示会は、基本ウェビナー中心の構成です。
ウェビナーだけだと、出展社のPR方法はウェビナーで話している時だけとなってしまいます。(出展社ブースはないため)
そこで、参加者や出展企業へ自由にチャットを送れるようにしたのが、EventHubです。
オンライン展示会登録時に、参加者は自分の情報を入力します。
その情報を元に、出展者は参加者をセグメントし、直接チャットを送ることができます。
ウェビナー以外にも参加者と接点を持つことができるのがこのチャット型オンライン展示会の特徴です。
3.ウェビナーのみのオンライン展示会
最後に、チャット機能がついていないウェビナーのみのオンライン展示会もあります。
弊社はこの型もオンライン展示会と呼んでいます。(先ほどのはチャット型オンライン展示会)
この型は、数社で集まってウェビナープログラムを構成することが多いです。
以上3つの型が、ウィズコロナで開催されました。
その中で、分かってきたことを紹介したいと思います。
バーチャル(オンライン)展示会が開催されて分かったこと
4月の時点でも、バーチャル(オンライン)展示会は人が集まりやすいと思っていました。
リアル展示会に比べて、バーチャル(オンライン)展示会は気軽に参加できます。
実際に、多くの方が参加しているのですが、参加者の目的に傾向があるのが分かってきました。
それは、ウェビナーを目的にしている方が多いということです。
単純にウェビナーが強い。
バーチャル展示会の場合、ウェビナーを視聴するだけで、バーチャルブースには訪問しないという傾向があります。
マッチング型オンライン展示会も、チャットに反応をする方は少ないのが現実です。
気軽に参加している方は、ウェビナーを見ることが目的であって、サービス紹介があるバーチャルブースや売り込みをされそうなチャットには興味が薄いのです。
特に、著名人による基調講演をフックに集客をしている場合は、基調講演のみ聞いて離脱することが多いです。
リアル展示会でも同じような傾向がありました。
例えば、幕張メッセで行う場合と国際フォーラム(有楽町)で行う場合だと、来場者の滞在時間に明らかに差がでます。
国際フォーラムで行われるリアル展示会は、セミナーだけ聞いて帰る人が多いです。
幕張メッセであれば、せっかくここまで来たのだからブースも見ていこうという気持ちになるのだと思います。
オンラインの気軽さは集客のしやすさというメリットがある反面、バーチャルブースには厳しいという現実が見えてきました。
そして、もう一つ課題が表面化しています。
それは、バーチャル(オンライン)展示会で獲得したリードの質の問題です。
数は集まるけど成果に繋がらないという話です。
今表面化している2つの問題をまとめます。
- ウェビナーは視聴されるが、バーチャルブースに人が来ない
- ウェビナーで集めたリードから受注に繋がらない
ここからは、この2つの問題の解決策を考えます。
今後バーチャル(オンライン)展示会に出展しようと考えている方に参考になればという視点で書きます。
もしバーチャル(オンライン)展示会に出展するなら何から考える?
- ウェビナー目的の参加者が多く、バーチャルブースへ参加者が来ないこと
- ウェビナーに来たとしても受注に繋がらない
この2つの課題を解決するために、すぐにでもできることはウェビナーの改善です。
今多くの方は、バーチャルブースを魅力的にする、リアル展示会に近づけるには?と考えています。
その方向性は、決して間違いではないと思いますが、時間がかかる方法です。
リアル展示会と同じような顧客体験をバーチャルブースで表現するのは、コスト面と技術面両面から、先の話だと思います。
参加者の多くはウェビナーに参加したいと思っているので、まずはウェビナーの改善に手をつけるべきです。
ウェビナーの問題点は、人が集まっても受注に繋がらないということでした。
この課題を解決するには、2つの方法があります。
- ウェビナーのテーマ設定と中身を改善する
- ウェビナー後のアクションを改善する
1.ウェビナーのテーマ設定と中身を改善する
ウェビナーに参加してくれるのに受注に繋がらない場合、参加者が内容を殆ど聞いていない可能性を考える必要があります。
これだけ多くのウェビナーが開催されるようになれば、参加者はウェビナー疲れを起こします。
テーマが興味のある内容でなかったり、見ていてつまらないと感じるとすぐに離脱してしまいます。
弊社は視聴者参加型のウェビナーをオススメしていますが、方法は他にもあります。
プレゼンも、ストーリー構成や見せ方を工夫すれば、参加者が飽きない演出が可能です。
今はZoomを活用して、簡単に以下の様な見せ方もできます。
※1発撮りでZoom5.2のPPTをバーチャル背景にする機能を使いました
バーチャル展示会に参加する場合は、視聴者を飽きさせずにウェビナーに集中させる工夫を意識しましょう。
ウェビナーの内容が面白いと感じて貰えれば、ウェビナー後にバーチャルブースを閲覧してくれる可能性も高まります。
2.ウェビナー後のアクションを改善する
次に、ウェビナー後のアクションの改善にも力を入れましょう。
バーチャル展示会でウェビナーを行うと、参加者(登録者)リストが貰えます。
自社でウェビナーを開催する場合であれば、相手の興味度合いをアンケートで聞くことができます。
※例:資料が欲しい、オンライン接客をしたい、無料トライアル希望 など
バーチャル展示会では、このような内容のアンケートを聞くことが難しい場合があります。
その場合は、貰ったリストに一斉メールを送る又はインサイドセールスで対応する必要があります。
この時に、普通のお礼メールでは、殆どの方が反応してくれません。
何故なら、今はコロナの影響で、メルマガ飽和状態だからです。
この問題の対応策として、ウェビナーの最後に特典を用意して伝えることをオススメします。
「ウェビナー参加者には、後日アンケートのお願いのメールを送らせて頂きます。そのアンケートに答えて頂いた方には、特典として、○○をご用意しております。」
このような行動の動機づけを行うことは非常に重要です。
そして、その時に送るコンテンツにも力を入れるべきです。
ホワイトペーパーや動画、無料相談会など特典は色々考えることができます。
今は、コンテンツはお金をかけなくてもそこそこのクオリティをだせます。
ウェビナー後に送るコンテンツまで含めて準備することが、バーチャル展示会では必要になります。
以上2つのウェビナーの改善方法が、バーチャル展示会の攻略には必要になります。
では、最後にバーチャル展示会に出展するしないの判断基準について触れたいと思います。
今バーチャル展示会に出展する場合の基準値は?
バーチャル展示会に出展する場合は、今はバーチャルブースに期待するのは得策でないと考えています。
集客の基本はウェビナーになるでしょう。
そう考えると、ウェビナーの登録数がバーチャル展示会の成果基準になります。
リード1件当たりのコスト(CPL)がポイントになりそうです。
では、CPLがいくらであれば出展しても良いのでしょうか?
これは、企業によって違うと思います。
リスティング広告や媒体広告などすでにやっている施策と比べるのが王道でしょう。
しかし、リアル展示会の出展しかやっていなかったしどうしよう?という意見もあると思います。
リアル展示会と比較して、CPLの基準値を考えてみたいと思います。
リアル展示会には2つのCPLがある
リアル展示会はリードの獲得方法が大きく分けると2つあります。
- コンパニオンがバーコードリーダーで獲得
- ブース内で接客をした方との名刺交換
①のパターンは、かなり多くの名刺情報を獲得できます。
リードで3小間ブース、総コスト600万円(場所代300万円)で2000枚くらいが平均値です。
これだと、CPLは3000円となります。
➁のパターンは、実際にブース内で接客をしているので①より質が高いです。
弊社は有効名刺と呼んでおり、受注の可能性があるリードと位置づけています。
上記と同じ条件で、ターゲット来場者の数にもよりますが、500枚が平均値です。
CPLは12000円となります。
バーチャル展示会は、①のCPL3000円と同じくらいの期待値で考えてると良いと感じています。
仮に出展料が30万円のバーチャル展示会があれば100件のリード獲得が基準値になります。
ざっくりではありますが、1つの指標にはなると思います。
※大事なのは出展した後にきちんと効果検証をし、自社の基準値を持つことです
まとめ
今回はバーチャル(オンライン)展示会のメリット/デメリットを、より現場目線で具体的に書きました。
一言で言えば、ウェビナーを改善することから始めましょう!という内容でした。
バーチャル展示会の未来という視点で考えても、ウェビナーが改善することは良いことだと思います。
出展各社のウェビナーの質が高くなれば、参加者はウェビナーを聞いた後にバーチャルブースを見るようになります。
今、バーチャルブースが弱いのは、オンラインでの行動様式が確立していないからです。
参加者がもっと慣れてくれば、バーチャルブースにも人が集まるようになると思います。
バーチャル展示会をリアル展示会と比較しても、そこからイノベーションは生まれない気がします。
バーチャル展示会だからこそできることを、まずは地道にやっていくことが大切だと感じています。
ウェビナーの質を上げることはまだまだ可能です。
バーチャル展示会に参加される時に、ふとこの記事を思い出して頂いて、「ウェビナーの改善」に力を入れて頂けるととても嬉しいです!
力を併せてこの危機を乗り越えましょう!
最後まで読んで頂きありがとうございました!
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