オンラインイベントを開催する目的をどう設定していますか?
今回インタビューさせて頂いた大里さんの印象的な言葉。
「オンラインで開催する目的を、どう設定するかが重要だと思います。」
約7700名を集めたオンラインイベントの成功の秘訣を一言でいうと、目的の設定だと言い切る大里さん。
マルケト出身でデジタルマーケティングを知り尽くしているからこそ、オンライン、オフラインの両面から今の状況を冷静に判断されていると感じました。
今回のインタビューでは、オンラインイベントを成功させるノウハウと効果、そして将来性についてのお話を伺いました。
実際にリアルプライベート展示会をオンラインで開催してみたいと思っている方には、とても有益な情報になっております。
まずは、「Mobility Transformation 2020」の実績から紹介させて頂きます。
「Mobility Transformation 2020」の実績
Mobility Transformationとは
「移動の進化への挑戦」というコンセプトを基に、様々な業種業界の方が集まって関係性の構築や知識の共有をし、移動の進化の先に何があるのか?を考える共創型のイベント。2019年11月虎ノ門ヒルズにて第1回目を開催。(https://mobility-transformation.tokyo/)有料チケットにも関わらず、1500名以上の集客を実現し、イベント業界では注目の的に。自動車という比較的レガシーな業界に、新たな風を吹き込んでいます。
Mobility Transformation 2020の実績
Mobility Transformation 2020(https://www.mobility-transformation.com/)は、視聴者数約7700名という成果をあげました。生放送でインタラクティブなオンライン学習の場を提供しているSchooと連携をして、参加者との対話を大切にした7つのセッションを行いました。
実績を見ると、以下のようなことを思うのではないでしょうか?
- 7700名をどうやって集めたの?
- インタラクティブなセッションって難しそう
- レガシーな業界でオンラインイベントを成功させるコツは?
私が皆さまに変わって色々と聞きました(笑)
では、インタビューをどうぞ。
マーケティング/PR 大里 紀雄 様
Google アナリティクスを軸としたコンサルティングや、プライベートDMPの構築といったデジタルマーケティングに長年従事。前職ではマーケティングツールベンダーの株式会社マルケトにてシニアビジネスコンサルタントとして活躍。2019年3月よりスマートドライブにてマーケティングおよびPRを担当し、2019年には大規模カンファレンスMobility Transformationの企画・運営を実施。
本日は宜しくお願い致します。オンライン開催のきっかけを教えて貰えますか?
2019年11月に開催したリアルイベントでこのような声が挙がっていました。
「地方だから参加できない」
「大阪から行こうと思ったけど、もう満席だった」
MaaSや移動の進化に興味を持っている方々は、都市部だけではなく、地方にもいらっしゃいます。
都心では渋滞緩和などが課題に挙がりますが、過疎地域の移動手段の確保など、地方には地方の課題があります。
そこで地方の方にも注目して頂けるイベントなのであれば、”全国の方にもコンテンツを届けたい!”と考え、オンラインで開催をしました。
コロナの影響が無くても、オンラインで開催する予定だったのですか?
元々は、4月くらいからオフラインで全国でイベントを開催しようと思っていました。
キャラバンのような形で、各地を回って、最終的には東京で行う予定でした。
コロナの影響も勿論ありましたが、全国の方にお届けしたいと、オンラインに移行しました。
オフラインで全国各地を回りながら、声を届ける予定だったのですね。オンラインに移行する上で最初に何を考えましたか?
オンラインイベントを行うときの目的の多くは、リード獲得だと思います。
リード獲得を目的とするのであれば、来場者を集客し、自社のフォームで登録をしてもらうようにします。
そうしないと、リード獲得ができません。
配信用のプラットフォームもZoomなどのオンラインセミナーシステムを活用することが多いでしょう。
最初に考えたのは、「オンラインで開催する目的」です。
弊社の場合は、”全国の方に広く声を届ける”ことが目的でした。
そして、イベントのコンセプトにもこだわる必要があると思いました。
視聴者が対話に参加し、移動の進化の先を考える場にしたいということです。
目的を実現するためには、リード獲得よりも広く認知ができて、インタラクティブなセッションのノウハウを持っているSchooと一緒に行うのが良いと考えました。
それで、Schooのプラットフォームを活用されていたのですね。実際に良かった所を教えて貰えますか?
ポイントは2つはあります。
1つは集客の面。
2つ目が、セッションが活発になったことです。
集客面とても気になります!詳しく教えて下さい!
オンラインイベントを行う場合の集客方法は、ハウスリストにメルマガを送ったり、リスティング広告やSNSの広告を行うのが一般的ではないでしょうか。
この辺りは日頃からやっている施策なので、新しいターゲット層にリーチするには、何か別の方法が必要だと考えていました。
Schooは会員が40万人いるプラットフォームです。
弊社が手掛けている、データ分析やSaaSビジネス、移動の進化といったものに関心のある方も多い可能性があります。
今回Schooと協業することで、今までリーチできていなかった方に情報を届けることができたと思います。
具体的にはどのような集客施策をされましたか?
もちろん、自社のハウスリストに対してメールで集客をしました。
SchooのWebサイトにも特設ページを作りましたし、FacebookなどのSNSでも積極的に発信をして頂きました。
後は、広報に力を入れて、イベントの趣旨やコンテンツを丁寧に説明をしまして、媒体社やライターの方々に記事を書いて貰いました。
MOTA、IoT NEWS、日刊自動車新聞、保険毎日新聞、EVsmartブログなどの業界系。
後は、日経クロストレンドや、エムタメ!というマーケティングメディアでも取り上げて貰いました。
色んな業種、業態の方が集まるのが、イベントの特徴なので、あらゆる媒体へイベントの告知、イベントの内容を取り上げてもらえるようPR活動を行いました。
PR活動ですか!素晴らしいですね!当初から約7700名集まると予想されていましたか?
当初は、去年と同じ1500名くらい集まれば良いかと思っていました。
これウラ話ですが、Schooのプラットフォーム上で”受けたいボタン”というのがあります。
その数でだいたいの集客数が分かるのですが、前日で1000件位だったんですよ。
これ、半分の500名位しか集まらなかったらどうしようと思っていました。
蓋をあけると、7700名でとても安心しました(笑)
受けたいボタンを押してないと受講できない訳ではないので、押さない人も多かったのでしょう。
当日までは本当にヒヤヒヤしました(笑)
当日まで集客数が分からないというのは、かなりドキドキしそうです!集客についてありがとうございます。もう1点のセッションが活発になった点について教えて貰えますか?
私もオンラインセミナーに参加したことがありますが、オンラインで気軽に視聴できるのは、とても便利です。
しかし、他の仕事をしながらの視聴であったり、少し集中力が切れやすくなると感じています。
移動の進化をみんなで考えるイベントなので、少しでも視聴者の方に参加意識を持って貰いたいと思っていました。
そこで、様々な工夫をしました。
おかげさまで、一方的にコンテンツを伝えるだけのセミナーではなく、双方向にコミュニケーションが行われました。
結果から言うと、7つのセッションで総質問数は146件。
因みに、匿名はありません。
思っていることをコメントできる機能もあるのですが、コメントも含めると650件でした。
結構賑わっている感じは出ていたと思います。
匿名無しで1セッション約20件の質問は凄いです!質問が出やすい工夫があるのですか?
これは、工夫したポイントではなく、Schooさんの素晴らしいノウハウの紹介になるのですが、Schooでは、受講生代表という方が視聴者に質問を投げかけたり、その質問を拾って講演者の意見を引き出したりといった、ファシリテーションをしてくださいます。
やはり、餅は餅屋といいますか、ディスカッションが盛り上がるノウハウを持っているな、と感心しました。
他に弊社側で工夫した点が3つあります!
3つですか!是非お願いします!
ディスカッション形式のセッションは、スライドを作って話すだけではありません。
事前準備には時間をかけています。
まずは、Schooの方に用意頂いた台本のテンプレを、私たちが編集をして、講演者の方と擦り合わせをします。
事前の準備は、とても大切です。
2点目は、視聴者の集中力を切らさない工夫ですが、スライドについてです。
複数の方が講演をする場合は、それぞれの講演者の方が用意したパワーポイントを使われると思います。
そうすると、フォントが違ったり、文字の大きさが合っていなかったりといった些細なことが気になってしまい、肝心の講演内容が頭に入らない可能性があると思いました。
ですので、今回のイベントでは、スライドのフォーマットをすべて統一し、デザイナーがトンマナの最終チェックをしています。
スライドにこだわることで、視聴者の気が散ることを少しでも避けられたのではと思います。
3点目は、資料をダウンロードできるようにしたことです。
オンラインでセミナーを聞いていると、大事なスライドの写真を撮ったりしませんか?
その行為も、セッションの集中を妨げてしまうと考えました。
ファシリテーターの方が随時、後で講演資料はダウンロードできるので写真を撮らなくても良いことを伝えています。
また、スレッドでも定期的にダウンロードできることを告知しました。
ありがとうございます。細かなことまでこだわって運営されていることが良く分かります!資料ダウンロードの話が出たので、その辺りも聞きたいです!
先程、イベントの目的はリード獲得ではないことをお話しましたが、結果として500件以上の資料ダウンロードを頂きました。
7700名が視聴されているので、割合としては7%もないくらいですが、講演資料だけでなく、弊社のサービス資料もダウンロード頂いたりと、いい意味で弊社に興味を持っていただけたのではないかと思っています。
ここまで、オンラインイベントのノウハウを聞かせて頂きました。実際にオンラインで開催されて良かった点など教えて貰えますか?
オンライン、オフラインのメリット/デメリットみたいな話をすると、オンラインはとにかく安価に集客できます。
今後はどの施策をするにしても、目的の設定が重要になってくると思います。
全国各地により広くリーチするという目的では、オンラインイベントはとても良いです。
相手の課題感を拾い上げて、もっと深く話を聞くことが目的であれば、リアルの場も重要になってくると思います。
ロジカルな人同士が、会議をするような場であればオンラインでも十分だと思いますが、今話していることが本当に伝わっているのか?を確認したり、本音ではどう思っているのだろう?といういうことを感じたりするのは、やはりリアルでないとできない部分だと思います。
今後のオンライン/オフラインの施策で考えていることはありますか?
例えばですが、全国各地で少人数でワークショップを開催するといった取組みは良いかもしれません。
1度に30名等の大人数を集めることは、密集状態を避ける意味でも難しいかもしれませんが、10名規模の60分ワークショップを開催して、それを1日3回やる、という感じならできそうだなとイメージしています。
30名のセッションよりも10名のワークショップの方が深く相手の課題を知ることができますし、講師の移動コストを考えても、1日数回やった方がコストパフォーマンスが良い。
リーチ自体は、オンラインイベントで行い、オフラインではもっと深く顧客に寄り添うといったこともできそうな気がします。
そういう意味で言うと、イベント用のWebサイトの活用方法も大事になってきます。
Webサイトの活用方法ですか?確かに御社のページはちゃんと残っていますよね!
多くの場合、イベント用のWebサイトは集客のために作成するので、イベントが終了したらそのWebサイトの役割も終了、となりますよね。
ただ、弊社の場合は、参加者の方々と長期にわたるリレーションを大事にしたいと思っていますし、参加者同士のコラボレーションが自然発生して欲しいので、イベントが終わった後のアフターフォローも非常に重要です。
そのためセッションで出た質問や、その回答をまとめたものを、後日レポートとしてWebサイトにアップしています。
2019年のWebサイトには、今でもアクセスがあります。
継続的な関係構築を意識することが、オンラインとオフラインを繋ぐ上でもとても大切になると感じています。
最後に、今後オンラインイベントの開催を考えている方に向けて一言あればお願い致します。
大切なのは、オンラインイベントを行う目的を設定することに尽きると思います。
「安くリードが集まりそう」というだけで、オンラインイベントに集中しすぎるのも危険だなと感じています。
リアル/オンラインイベントも展示会もあくまで手段です。
手段が目的化したら、望む結果に繋がらないと思っています。
目的に応じて良い施策を選択することが、今後は必要になってくると思います。
ありがとうございました!因みにオンラインイベントは今後も継続されますか?
そうですね。今年もう1回くらいできたらと思っています。
その時は、是非参加してください!
現場視点での貴重な話、ありがとうございました!
最後に企業情報とイベント情報を掲載させて頂きます。
社員の方々の取組みを積極的に発信されている企業様なので、是非チェックしてみて下さい!
SmartDrive Blog(社員の取組み)
https://blog.smartdrive.co.jp/
スマートドライブ株式会社
Mobility Transformation
https://www.mobility-transformation.com/
【2021年版】オンライン展示会プラットフォームを比較してみました!