展示会の営業がやるべきこととは?
以前、私が研修を行った時のことです。
その日は企業様は大手企業であり、新入社員に向けて展示会の営業についての研修を行っていました。
開始してすぐに、皆さんの優秀さはわかりました。そして研修の中で、呼び込み方法を指導していた時のことです。
できるだけ短い時間で、顧客の興味を引くように練習するロープレを行っていました。
ある女性がこのように質問してきました。
「相手の課題を探したくなってしまうのですが、それではダメなんですか?」
非常に良い質問だと思います。
正直このような質問を受けるとは思っていませんでした。
展示会に限らず、「ソリューション営業」や、「コンサルティング営業」という言葉が当たり前になった今でも、単なる製品説明を受けることがほとんどです。
私も新入社員の頃は、営業ではひたすら製品説明をしていた気がします。
今回は展示会の営業で求められるものと、コンサルティング営業のようなスタイルがはまるのかどうかについて考えていきたいと思います。
展示会の営業のゴールはどこにおく?
何度か記事にも書いておりますが、展示会は普段の営業活動と違います。
展示会の営業と普段の営業の違いについては以下の記事をご参照ください
BtoBの展示会では、その場で契約に至ることはほとんどありません。
普段の商談と比べると、来場者の目的は多岐に渡っており、商談時間も限られています。
その中でどこを展示会の営業のゴールにすると良いでしょうか?
展示会出展の目的が「成果」であれば、私達が推奨するのは「有効リードの獲得」です。
展示会の目的やKPIについては以下の記事をご参照下さい。
課題を聞きだすのに必要なことは何か?
商談相手から課題を聞き出すには何が必要でしょうか?
もちろん、自社製品を買ってもらうために必要な情報を聞き出すことは、比較的簡単にできるかもしれません。
しかし、顧客も気付けていないような課題にアプローチする場合、いくつか前提となる条件があります。
- 信頼関係
- 商談時間
- ファクトファインディングの知識
信頼関係
見落としがちな点ですが、最初に必要なものは顧客との信頼関係です。
顧客は、営業パーソンが役に立つ存在だと思って頂けない場合、課題発見に至るような情報を出しません。
基本的には、展示会の場ではそこを築く時間がほとんどありません(もちろん見た目の印象やわかりやすい説明は必要です)。
そこが大きな違いでもあります。
商談時間
先程も書いていますが、展示会の営業では商談時間が基本的には短いです。
なぜなら、展示会では来場者の目的が多岐に渡るからです。
来場者の目的が、御社のブースを見ることだけであれば、長い時間を使っても良いかもしれません(商談件数が少なくなるので、お勧めはしません)。
しかし、ほとんどの来場者の目的は情報収集です。
沢山の情報を得るために来場している場合、1つのブース当たりの商談時間はあまり多くはありません。
その中で、課題を深掘りをするのは難しいです。
ファクトファインディングの知識
「ソリューション営業」「コンサルティング営業」という言葉が当たり前になった今でも、ファクトファインディングができる営業パーソンは多くありません。
相手に合わせた営業プロセスは簡単ではありません。決まられたことを聞き、決められたことを説明する方が簡単です。
但し、それでは顧客に刺さる商談はできません。
既に製品購入が決まっている場合は別です。他社との違いや機能による優位性などを上手く伝えられれば決まるかもしれません。
しかし、潜在ニーズから掘り出すような営業スタイルでは、製品説明をしたところで顧客に刺さりません。
そこでは徹底的に顧客を知ることが重要であり、コンサルティングを行うためのファクトファインディングが必要です。
ほとんどの企業では、現状の営業プロセスを変える必要があり、難しいポイントでもあります。
よって、コンサルティング営業は展示会では不向きだと考えています。
展示会の営業で求められるものは?
ここまでの説明で、展示会の営業と普段の営業の違いが少しイメージできたでしょうか?
展示会の営業の目的は有効リードを獲得し、そのターゲット層の退場者に対して商談等のプロセスに繋げること。
普段の営業は、商談後の提案や受注に繋げることだと思います。
そこから考えると、展示会で求められる営業は、
- 来場者をターゲットかどうか判断できる(スコアリングできる)
- ある程度仮説を立て、相手が求めていることを把握できる
- 短い時間の中で、相手の期待感を上げるようなプレゼンテーションができる
来場者をターゲットかどうか判断できる(スコアリングできる)
まずは、来場者がターゲットに当たるかどうかを現場で判断できることです。
多くの出展社様のブースでは、来場者のことを全く知らないまま製品説明に入る方も多いです。
前述したように来場者は様々な目的を持っています。
- 商品購入検討のため
- 自社の課題を解決するための情報収集
- 市場やトレンドの調査
- 競合調査
- 営業目的
呼び込み時に展示会バッヂを確認している方も多いと思いますが、相手がターゲットかどうかを確認した上で説明に入ることをお勧めします。
もちろん当日のオペレーション上、ターゲット以外の方に時間を使ってしまうとターゲットへの商談時間が減ってしまいます。
そして、展示会終了後にも、ターゲット外の方の情報を残したり、フォローの際にも無駄なアプローチを避ける効果もあります。
個々の営業パーソンに依存してしまうと、ターゲティングは難しいかもしれません。
マーケティング担当の方がいらっしゃれば、ある程度スコアリングの分類を決め、参加者の中で共有する必要があります。
ある程度仮説を立て、相手が求めていることを把握できる
展示会という限られた時間の中での商談では、1人1人に異なる説明をすることは難しいです。
そこで、出展する展示会の来場者のターゲットをイメージし、その方々が抱えている課題や求めているニーズの仮説を立てておきます。
そして、その中でどのパターンに当てはまるかを把握できる必要があります。
これは簡単なようで難しいです。
例えばマーケティング部門と営業部門がある場合、説明員は営業パーソンが多いと思います。
営業パーソンは、普段通りのプロセスで説明する方が多いです。
この場合、1件当たりの商談時間は長くなる傾向があります。
マーケティング担当の方が「来場者1名に対して10分以内で終わらせて下さい」というお話をしても、なかなか改善されません。
商談時間の短縮のためにも、ある程度のパターン化は役立ちます。
短い時間の中で、相手の期待感を上げるようなプレゼンテーションができる
展示会では出展社と来場者、お互いのためにも長い時間の商談はお勧めできません。
できるだけ短時間で顧客の期待感を上げるようなプレゼンテーションを行う必要があります。
フィールドセールスに慣れている方は、時間に余裕がある中での商談に慣れています。
そのため、展示会でも商談が長くなる傾向にあります。
しかし、展示会で説明し過ぎてしまうと、以降の営業プロセスに進みづらくなります。
可能であればマーケティング担当の方主体で、どのように説明するかを予め研修を行うのがベストです。
展示会で説明員が成果を出すためのコツについては以下の記事をご参照下さい
まとめ
今回、展示会の営業で求められるものは何かというテーマでお話しました。
展示会の特性や目的から、展示会ではコンサルティング営業は難しいと考えています。
そして展示会の営業で求められるものを3つ挙げました。
ぜひ参考にして頂ければと思います。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
コメントを残す