オンライン展示会はブースに人が来ないという声が多いのは何故?
2020年はオンライン展示会が一気に増えた年でした。
私の領域は、BtoBビジネス中心なので、BtoC界隈の話は詳しくありませんが、BtoBだけでも多くのオンライン展示会が開催されました。
そして、2021年は、さらにオンライン展示会が増えると予想します。
オンライン展示会は、〇千人、〇万人集客をしたという声に象徴されるように、集客数で考えると上手くいっているように感じます。
しかし、出展社から声を聞くと、「オンライン展示会は成果に繋がらない」という反応。
主催社と出展社では温度感に差があります。
集客数が多くても、出展社が満足をしなければ、ビジネスとして成立しません。
出展社が満足をしないのは何故でしょうか?
集客数は多いのに成果に繋がらない原因はどこにあるのでしょうか?
2021年3月時点で分かっている失敗事例から、オンライン展示会のノウハウを紹介致します。
今から、オンライン展示会を主催される方、オンライン展示会に出展される方に参考になれば幸いです!
今回は、オンライン展示会ブースに人が来ないという失敗事例について解説致します。
失敗事例:オンライン展示ブースに人が来ないのは何故?
コロナの影響でオンライン展示会が開催された始めた時に、良く言われていたメリットが以下になります。
- 場所や時間に関係なく参加できる利便性
- 会場など場所がいらないので低コストでできる
- データを活用できる
私が2020年4月に書いた記事にも書いてあるので参考までに。
メリットの1番目にある、利便性の高さによって、多くの人が集まるというのはその通りでした。
しかし、集まるのはウェビナーばかりで、ブースには人が来ないという現象が多発します。
初めてオンライン展示会を主催する方の多くは、展示ブースに気をかけます。
それは、リアル展示会をそのままオンライン展示会に当てはめるからです。
当時良く言われていた意見が以下になります。
- オンラインの展示ブースってHPと何が違うの
- 製品を見せたいけど動画だと伝わらないんだよね
- チャット機能やオンライン接客機能があればリアル展示会のように接客ができるのでは
3Dにしたり、2Dでも動画をリッチにしたりと、オンライン展示ブースに各社様々な工夫を凝らしていました。
結果、ブースには人が来ない。
来たとしても、情報収集で、製品やサービスを検討している人は少ない。
チャットやオンライン接客は殆ど反応がない。(人を張り付けた意味がない)
何故このような現象が起きたのでしょうか?
要因は3つあると考えます。
①主催社の集客コンテンツが基調講演になっている
1つ目の要因は、集客コンテンツとして基調講演がメインになっていることが挙げられます。
オンライン展示会を主催する時に最初に考えることは何でしょうか?
それは、「集客」です。
皆さまが主催社だとして、ハウスリスト以外で新規集客をする場合どうしますか?
広告をかけて集客をすると思います。
では、その広告でどんなバナーやキャッチコピーを使うでしょうか?
おそらく、著名人や有名人の基調講演の内容になります。
オンライン展示会主催社は、「集客」のために、基調講演をフックにします。
これリアル展示会と一緒の方法でしょ!その通りです。
リアル展示会も基調講演で集客して、せっかくだからブースも見ていこうを狙っています。
オンライン展示会主催社は、集客に強い基調講演を企画することで、人を集めます。
結果、以下の優先順位で来場者は行動します。
- 基調講演だけが目的で聞いたら離脱する
- 基調講演とそれ以外の興味があるウェビナーを見て離脱する
- 基調講演を見て、時間があるのでブースも見る
ここで、オンライン展示会のメリットをもう一度見て下さい。
最大のメリットは利便性です。
利便性が高いので、気軽に見る方が増えます。
逆に考えると、すぐに離脱するということです。
優先順位の低いブースを見るという行動を来場者が行うとすれば、強いインセンティブが必要です。
今のオンライン展示会ブースにその価値はあるでしょうか?
仮に価値があったとしても、来場者に気づいてもらうのが難しいです。
1つ目の要因は、出展社の集客方法という視点になります。
②ウェビナー会場と展示ブース会場が分離している
2つ目の要因は、オンライン展示会プラットフォームのUIにあります。
オンライン展示会のプラットフォームは、リアル展示会を元に考えられたものが多いです。
ウェビナー会場とブース会場が分離しているUIが多いです。
要因①で話した基調講演を聞きに来た視聴者が展示ブースを見ることを考えて下さい。
一度全体会場に戻って、わざわざブースを見に行くでしょうか?
ウェビナー会場で何らかのトリガー(ブースを見たいと思わせる仕掛け)があれば見るかもしれませんが、ページを遷移する行動は起きにくいです。
簡単に言えば、ウェビナーからブースに行く動線設計がないプラットフォームが多いということです。
ここはUIの問題なので、今後は解決されるかもしれませんし、既に、ウェビナーからブースに行くときにページを遷移しないUIのプラットフォームもあります。
ブースに人が来ない要因②は、プラットフォームのUIがポイントでした。
③展示ブースがオンラインに適したコンテンツになっていない
3つ目の要因は、出展社の視点で考えます。
今までリアル展示会に出展していた企業がオンライン展示会に出展する場合、殆どリアル展示会で使っていたコンテンツをそのままオンライン展示会に流用します。
- 会社案内資料
- サービス資料
- サービス説明動画
- セミナー動画 etc
実際に私も出展をしたときにやってしまいました。
オンライン展示会は気軽さがポイントなので、じっくり考えてサービスを検討する方は少ないです。
また、検討段階ではなく、ちょっとした課題を解決したいと思っている来場者が多いです。
そう考えると、オンライン展示会ブースのコンテンツは、来場者の興味度合いに合わせる必要があります。
- 動画は短く「2分で分かる○○」のようなコンテンツが喜ばれる
- サービス資料も良いが、事例集やTIPSの方が見たくなる
- ウェビナー動画はダイジェスト版にして続きが見たくなる仕掛けがあると良い
リアル展示会の良さは、物を見ることができる、実際に触れられることだと良く言われますが、来場者の価値はそれだけではありません。
物を見ながら色々質問をしたり、説明を聞いたりすることに本質的な価値があると私は考えています。
リアル展示会は、気軽にコミュニケーションができる場です。
オンラインは逆で、気軽にコミュニケーションが取りにくい場です。
オンラインの特性を考えると、気軽に接点を持ちやすくなるコンテンツが向いています。
いきなりチャットやオンライン接客は、購入意思がない来場者にとってはハードルが高くなります。
出展社は気軽にチャットしてくれたら良いと思っているのは分かりますが、来場者にとっては売り込まれる気がする訳です。
コンテンツマーケティングをしている方はイメージがつくと思いますが、ノウハウ系のホワイトペーパーはダウンロードされるけど、ガチの問い合わせはあまり来ないのと一緒です。
出展社は、オンライン展示会に合ったコンテンツを用意する必要があります。
まだまだその部分が追い付いていないのが、ブースに人が来ない要因の3つ目となります。
今後、コンテンツがオンラインに最適化してくれば、展示ブースに興味を持つ人が増えてくると思います。
ここまで、何故ブースに人が来ないのか、要因を3つ紹介しました。
- 主催者の集客コンテンツが基調講演になっている
- ウェビナー会場とオンライン展示ブース会場が分離している
- 展示ブースがオンラインに適したコンテンツになっていない
ここからは、失敗事例から学んで、解決策を考えてみたいと思います。
オンライン展示会でブースに人が来ないを解決するには
「ブースに人が来ない」の解決策を対策しやすい順に考えてみたいと思います。
1.プラットフォームで対策する
解決策として着手しやすいのは、プラットフォームを何にするかだと思います。
基本は集客に強いウェビナー視聴が多いことを考えると、ウェビナーからブースへの動線設計は必須です。
ウェビナーを見ながらページ遷移をせずにブースを見ることができるプラットフォームが私は良いと考えています。
後は、ウェビナー会場とブース会場が分離していたとしても、以下の工夫も考えられます。
- ウェビナーを見ながら、注目ブースランキングが見れる
- ウェビナーを見ながら、その企業の資料がDLできる
- ウェビナー後のアンケートの返信メールにブースの紹介URLを貼る
今後は、プラットフォーマーも対策をしてくるので、面白い案が出てくると思います。
また、プラットフォームに関しては、ある程度使用感が統一されるというのが私の見解です。
来場者の視点で考えると、慣れているUIの方が使いやすいですし、直感的で分かりやすいものを好みます。
3DのPCで操作をして動くタイプのUIもありましたが、ストレスが高く不向きだと感じました。
来場者が求めているのは、リアル展示会と同じような体験価値ではなく、オンラインだからこそできる体験価値です。
初めて参加した人でも直感的で分かりやすいことを意識する必要があると考えます。
2.主催社はリピートを意識する
2番目の解決策は、主催者ができることです。
オンライン展示会は、来場者の満足度が高いというデータがあります。
来場者は気軽に質の高いウェビナーコンテンツ(基調講演)を聞くことができるので、満足度は上がりやすくなります。
満足度が高いということは、リピート客が増えるということになります。
オンライン展示会は1回で考えるよりも、リピート客を意識して複数回で考える必要があります。
リピート客はUIに慣れますし、ブースコンテンツに触れる機会が増える可能性が高いからです。
リピート客に価値を与えるために、主催社が意識すべきことは以下になります。
- 基調講演以外のウェビナーコンテンツでも人を呼べる内容にする(明確な課題訴求、未来を考えるコンテンツなど)
- 出展社ウェビナーを工夫する(事例紹介型/ピッチ型/双方向コミュニケーション型)
- 出展社ウェビナーのアンケートを各ウェビナー後に行う(設問は行動喚起型にする)
- オンライン展示ブースコンテンツは、オンラインに最適化する(特にDLコンテンツに拘る)
細かい部分ですが、ウェビナーのキャッチコピーも非常に重要です。
キャッチコピーの訴求内容とウェビナーの内容がずれていると、視聴者の離脱率が上がります。
この辺りは、出展社が意識することに含まれますが、まだオンライン展示会に慣れていない出展社に主催社からサポートすることも重要です。
主催社が上記のような工夫をし、リピート客に価値を与えていけば、オンライン展示会は集客数が多くなくても質の高いリードが集まるようになります。
ブースに人が来ないという問題も、主催社がリピート客を意識すれば、解決すると推測します。
3.ウェビナーを工夫して視聴者を飽きさせない
3つ目は、ウェビナーを工夫することによる解決です。
オンライン展示会は、ウェビナーの方が集客に向いています。
ブースよりも、ウェビナーに力を入れた方が、現状は成果に繋がりやすいです。
しかし、ウェビナーも問題点があります。
それが「ながら聞き」です。
オンライン展示会のウェビナーは、仕事をしながら聞く方が非常に多くなっています。
工夫をしなければ、視聴はしていても聞いてもらえていないという現象が起きます。
ウェビナー後のアンケートに答えて貰えないという結果になってしまうのです。
逆に良いウェビナーをすると、ウェビナー後にブースを見てもらえる確率が上がります。
ウェビナーからブースへ誘導するカギは、ウェビナーの質にあります。
出展社側も企画を色々練っているので、色んなパターンのウェビナーがあります。
パターンによって、工夫するポイントが違います。
ウェビナーの学校というコンテンツでまとめていますので、もしよかったら参考にしてみてください。
オンライン展示会で人が来ないという課題を解決する方法を3つ紹介致しました。
- プラットフォームで対策する
- 主催社はリピートを意識する
- ウェビナーを工夫して視聴者を飽きさせない
まとめ
今回は、ブースに人が来ないという現象が起こる原因と、その解決策を考えてみました。
オンライン展示会が開催された当初は、何故ブースに人が来ないの?と思ってました。
興味ある人は来るでしょというのが最初のイメージでした。
しかし、結果的にはブースに人が来ないという現象が続き、今もそれを知らないでオンライン展示会に臨んでいる方が多くいると思っています。
このノウハウは、様々な主催社や出展社がエビデンスデータを教えてくれたおかげで考えることができました。(教えて頂き感謝です!)
オンライン展示会は、データが取れることがメリットなので、PDCAサイクルも予想以上に早く回ります。
今年はオンライン展示会を主催する企業も増えてくると予想しています。
少しでも多くの方に情報が届き、お役に立てれば嬉しいです。
最後まで読んで頂きありがとうございました。