展示会コンサルは「ショーメイク」ではなく「困っていることに答えを出せる」こと
先日東京ビッグサイトで開催されたリテールテックJAPAN2021に出展された大崎電気工株式会社。
コロナ禍では初めてのリアル展示会でした。
4年間のお付き合いをさせて頂いているのですが、今回初めてのインタビューです。
展示会コンサルって何をやるのか分からないとの声があったので、紹介させて下さいとお願いしました(笑)
以前に抱いていた展示会コンサルティングのイメージと、実際に経験された後のイメージを伺いました。
目次
インタビューにご協力いただいた塚脇様のご紹介
大崎電気工業株式会社 新事業推進室 マネージャー 塚脇 一貴 様
profile
日本大学 国際関係学部 国際関係学科卒 1995年入社 49歳
電力・エネルギー業界のリーディングカンパニー大崎電気において、未開拓の情報通信市場で新製品開発・市場獲得活動に従事。
通信自由化・FTTH・携帯電話の普及・データセンター整備と目まぐるしく市場が変化する中で、新規事業開拓の経験を歩んできました。
2016年より、新事業創出のために新設された「新事業推進室」に異動。
小売店を「見える化」により課題解決するサービス「storewatch」の推進につとめています。
趣味は剣道(3段)、空手(見習い)、スキー、旅行、ドライブ、ゴルフ。
健康維持のためにジム通い等、定期的な運動を欠かさないようにON-OFFともに充実した生活を送っています。
storewatch事業
コンサル実施前の展示会では沢山の製品を並べ製品訴求をしていました
本日は宜しくお願い致します。以前の展示会ではどのように出展されていましたか?
当時は沢山の製品を出して品質などを前面に出して販売していました。
製品をバンバン並べて、特徴はこれでという形の展示でした。
できるだけ色々な種類を出して少しでも関心の近い人に触れてもらおうと考えていました。
製品訴求型の展示ですね。当時を振り返って結果はどうでしたか?
競合の方々であったり、あまり製品に関係が無い方が好奇心でいらっしゃっていることが多かったです。
本当に接点を持ちたかったターゲット来場者にはなかなか来て頂けませんでした。
製品訴求型で競合や製品に関係のない方が興味本位でいらっしゃるのは良く分かります。ターゲット来場者もブースに立ち寄るケースもあったのではないでしょうか?
そうですね。もしいらっしゃっても、普通の営業の延長でやっているので、「何が課題なの?どこが他社と違うの?」というところに明確に答えを出せていませんでした。
製品の特徴を説明して、アンケートを取って終わりという感じでした。
製品を展示して、名刺の数が集まっただけだと成果になかなか結び付いていないイメージがありましたね。
今取り組んでいる新規事業においては、会社の認知度も低いので、展示会をより工夫しないといけないと考えていました。
当初のイメージ。展示会コンサルティングとはショーメイクをする人!
展示会コンサルティングと聞いた時、どのようなイメージを持ちましたか?
コンパニオン何人派遣しましょうとか、ブースのデザインはどうした方が良いとか、いわゆる「ショーメイク」のようなイメージでした。
どうすればお客様の目を引けるのかを支援してもらえると考えていました。
来場者の注目を集めるプロというイメージですね。人を集めるということについて、今はどう考えていますか?
以前はお客様と話す機会が沢山欲しいと考えていましたので、沢山の人の目に触れることから始める必要があるのかなと思っていました。
今は関係が無い方を沢山集めても仕方がないかなと考えています。
コンサルを受けて考え方が変わった部分だと思います。
弊社が支援させて頂くことになった経緯を教えてください
4年前に弊社の主要取引先からの要望で新製品(新規事業)を開発しました。
まだ施策レベルの製品でしたが、それを広く展開したいということで、展示会に出すことを決めました。
しかし、コンセプトの打ち出し方もわかりませんでしたし、小売業というマーケットも初めて(今までのマーケットである電力市場では知名度が高い)だったので、御社にお願いすることになりました。
展示会コンサルティングを受けてから感じた価値
最初にご支援させて頂いた際にはどのように感じましたか?
ターゲット来場者だけ呼び込むことが本当にできるんだなと感じました。
やはりターゲティングをしっかりして、取るべきお客様をしっかり獲得する方が成果が上がるという実感を持ちました。
最初は呼び込みだけお願いしていましたが、翌年から展示会のコンセプト作り方から入って頂き、昨年からは事業をどのように持っていくかという戦略面もお願いしています。
支援1年目~2年目について変化した部分はありましたか?
支援1年目は、製品の特徴訴求の色合いが強かったですが、2年目はガラッとコンセプト重視になりました。
2年目のブースはこちらですが、「小売店で現場がデータ活用したいがなかなか上手くいっていない」というターゲット層を多く呼び込めました。
その結果、現場の店長クラスの方の意見を聞けたのは良かったのですが、実際に受注まで進むには本部の決裁が必要になることなど、今のコンセプトでは売れない理由が分かったことは大きかったです。
2年目の結果を経てどのように考えたのでしょうか?
総花的になりつつも、お客様の困っている4つの象限の中でサービスをしようと考えていて、森田さんの知見を借りながら色々展開しています。
※4象限:売上拡大、省力省人化、コストダウン、法令対応
3回目のブースはこちら↓
展示会のコンセプトを目的に応じて変化させている訳ですが、実際に接客を行うのは、企画メンバーでは足りないですよね。
中心の企画メンバーは2~3名と少人数です。
そのため接客は、毎回小売店営業担当などに手伝ってもらっています。
1回目の時は、現場の接客メンバーに我々と同じような意識を持って、当日に望んでもらうのは難しかったです。
3回目になって、色々工夫をして、一体感を持って運営できるようになりました。
その意識づけのところも、ノウハウなどを教えて頂きました。
新しいやり方が浸透したことについて、もう少し具体的に伺っても宜しいですか?
お客様のターゲティングの考え方は以前全くありませんでした。
そのため、競合の方に一生懸命説明していたり、本当に接客したい方に対しては接客できないといったことも起こっていました。
事前の説明会をやっているのですが、その時に、ターゲットや、どのように接客するかをしっかり共有しました。
名刺のスコアリングのやり方や管理の方法、そして展示会後に素早くアフターフォローをする大事さなど森田さんにレクチャーして貰っています。
このような準備の結果、当日参加メンバーが想定通り動けました。
今回の展示会でお客様から掴んだ情報の質はどうでしたか?
今回沢山の生の声を聞けました。
持っていた仮説を様々な業種の方が集まる場で、ぶつけてみて、3割ぐらいの方は合っていると言って頂き、絶対合わないというところもわかりました。
別のやり方で対応できるかもしれないということが見えた企業様もありました。
弊社のサービスがまだ市場にフィットしていない分野に関しては、足りない部分が良く分かりました。
そして、ある程度市場に受け入れられているサービスに関しては、積極的な販売活動に繋がる手応えを感じています。
展示会は、ターゲット来場者をブースに呼び込み、接客レベルをあげることが改めて大切だと感じています。
弊社のコンサルティングのイメージ
コンサルティングを受けてみて、良かった点を教えて下さい
困っているところに対して答えを出せることが一番良いところじゃないですかね。
支援してほしいところが会社によって違うと思うんですよね。
最終的な目的は売上を上げることだと思いますが、売上を上げるためにうちは何が足りないといったことがあると思うので、そこに対して良い提案を頂けることが一番だと思っています。
うちは事業が右へ行ったり左へ行ったりしてしまうので、そこを一緒に考えるパートナーとしてやって頂いています。
単なる展示会の日だけの支援ではなく、前と後をしっかり考えて、事業戦略をこうするというところもしっかり答えてくれるところが大きいと思います。
うちのコンサルティングのイメージはどのように表現できますか?
展示会のコンサルというイメージではないです。
少し抽象的になりますが、自分たちの本当にやりたいことや本筋が何なのかということを一緒に振り返り、アドバイスをもらえるところが良いところだと思います。
本来の目的の実現に近づけてくれる。
共創できるところが良いです。
展示会だけに限ると、どの部分が良いと思いますか?
何のために出展するのかという目的の設定と、ターゲティングするという戦略がしっかりしているところが良いと思います。
その結果、メンバーがチームとして動けるところが非常に良いです。
実践的な部分についてはどのように思われましたか?
呼び込みはよく名刺を見分けて声をかけて呼び込んでくるなと感心しました。
正直最初はどのぐらいできるのかとお手並み拝見でしたが、逆にこちらが休む間もないぐらいでした。
これは1度やってみないとわからないと思いますね。
なかなかいないじゃないですか、ああいう呼び込みをするところって。
大抵のブースでは、パンフレットを配る、ノベルティを配る、「名刺だけ交換させてください」みたいな呼び込みが多いと思います。
ありがとうございます。研修や事前説明会などのこともお聞きできますか?
今までは展示会の事前説明は「こういうブースでこういう製品を出しますので、こういう説明をしてくださいね」という説明の仕方だけでした。
展示会でお客様を獲得するんだ!という意気込みはあったものの、その戦略はありませんでした(笑)
終わった後の反省会も具体的なフォロー会議まではやりませんでしたね。
アフターフォローのスピード感なども見違えるほど早くなっていますよね
もともと得意な方ではなかったので(笑)
今考えるとはフォロー会議が遅かったかなと思います。
1ヶ月以上経ってからでした。
今回は展示会が終わって、翌週の火曜日に開催したのでスピード感が全然違いました。
データ整備はメンバー皆に協力してもらい、火曜日には準備できました。
チームとして改善された部分だと感じています。
展示会担当者へのメッセージ
以前の展示会運営にアドバイスがあるとすればお願い致します!
展示会に出す目的は何なの?ということをしっかり見据え、それを実現するためのやり方を考えて本番に臨むべきだったと思います。
接客する人が協力体制をしっかり取り、チームとして動けることが大事だと思います。
因みに今回の展示会の目的は何でしたか?
小売店様の協力者を増やすことですね。
売れるお客様も欲しいですし、弊社の事業を作るために協力してもらう方も欲しい。
営業目線で言うと、相談できるパートナーを見つけることが一番だったと思います。
信頼できるパートナーだと弊社が来場者に思ってもらうためには、有益な情報を与え、相手の課題をしっかり聞き、その上で適切なフォローをすべきです。
展示会は、人を集めて終わりではなく、せっかく来ていただいた来場者の方々に、このブースに来てよかったと思ってもらえることがGoalだと思います。
目標設定/ブースのコンセプト作り/集客/接客/スコアリング/名刺管理/アフターフォローと幅広い施策を最適化するだけでなく、現場の接客をする人が気持ちよく運営してもらう仕組みを作ることが展示会の成果には欠かせないと思います。
参考になるご意見をありがとうございます!今後も宜しくお願い致します。
まとめ
今回で3回目の展示会支援になるお客様の声をお聞きしました。
最初の展示会では有望なリードを獲得するところから改善させて頂き、今では展示会に留まらず、新規事業の戦略~戦術立案まで支援させて頂いております。
今回は展示会のコンサルティングのイメージを少しでもお伝えできればという思いでインタビューさせて頂きました。
ご協力頂きました塚脇様、誠にありがとうございました。
塚脇様の言葉にもありましたが、展示会コンサルは、注目を集めるお手伝いだけではなく、成果に繋がるために何をすべきかをパートナーとして一緒に考えることだと弊社も定義しております。
クライントが抱えている悩みは、ビジネスモデルや事業フェーズによって全然違います。
画一的でノウハウ的な解決策を示すことではなく、本当に今何が必要なのかを考え抜くことが大事です。
そして、頭で考えるだけでなく、一緒に現場で動くことで分かることも多いです。
展示会というマーケティングの1つの場を通して、提供できる価値を今後も高めていきたいと思います。
最後に今回リテールテックで行ったコンサルティングの内容を資料に致しました。
「ここまで載せて大丈夫ですか?(笑)」と言われた内容なので結構面白いと思います!
興味のある方はダウンロードしてください!
最後まで読んで頂きありがとうございました!