MAツールを導入したけど上手くいかない
昨今MA(マーケティングオートメーション)ツールを導入している企業が増えています。
先日訪問した企業も、展示会でたくさんの名刺情報を集めることができるようになったけどなかなか成果に繋がらないという悩みを持っていました。
※いつものこの悩みです
そんな中、MAツールを導入すれば何かしらの打開策になるのではと考えて、導入をしたとのことでした。
MAツールを導入はしたけれど、効果的な使い方ができていないということでした。
本日は、展示会において効果的なMAツールの活用方法を考えてみたいと思います。
そもそもMAツールの目的とは?
ここで質問です。
MAツールの導入目的は何でしょうか?
そもそもMAツールを活用して何がしたいのでしょうか?
この質問に対して、訪問した企業の担当者の答えは以下のものでした。
「展示会で集めたリードに対して、営業が全然動かないから、チャンスロス(機会損失)がたくさんある」
「MAツールでリードを温めて営業に渡せば、もっと成果に繋がるはずだ!」
私はその答えを聞いてこのように質問しました。
「御社にとっての一番の課題は、展示会で集めたリードに対して営業がアクションしないことですか?」
責任者の方は、「確かにそれなんですよ!」と答えてくれました。
さらに質問をしました。
「何故、御社の営業マンは動かないのですか?」
責任者:「営業マンにとっては、展示会に参加するよりも日頃の営業活動の方が大切という意識が強いんですよ」
「もちろん展示会には参加しているのですが、展示会場では殆ど既存顧客と挨拶をして関係強化をしている感じです」
そこまで話したところで一つの「問い」が浮かび上がります。
MAツールを導入することで営業は展示会で集めたリードに対して動くようになるのか?
MAツールを導入する場合の正しい問い
MAツールは魔法の杖ではありません。
導入したから急に売上が上がるといったツールではありません。
※これは、CRMやSFAも全く一緒だと考えます
そもそも何の為にMAツールを導入するのか?という明確な目的が無い場合、どれだけ良い武器(MAツール)でも宝のもち腐れになってしまいます。
上記の企業の場合、あるべき姿は営業が展示会が意義のあるものだと認識することです。
現状、既存顧客と話をしているのは、新規でブースに入ってくる来場者が見込み客に繋がるイメージがないからです。
営業も新規の売上拡大はやりたいと思っているはずですが、意味の無さそうな来場者とのやり取りは嫌なのです。
必要なことは、どのようなリード(来場者)だと価値があるのか?という定義決めになります。
まずやるべきは、マーケ部門と営業部門のリード定義の一致です。
その上で、どうすればそのリードを集めれるのか?という問いを考えていきます。
私は、上記の企業に、今あるMAツールをもっと効果的にするためにも、展示会でやるべきことがあると提案しました。
- 営業がこれなら動きたいというリードの定義を決めます
- 展示会場でターゲット来場者を集客し営業に渡します(この集客方法は私が支援します)
- 営業は、展示会場で来場者に価値を与え、その後のアクションのオファーをします
- 今すぐ営業が対応する必要がない来場者(ニーズはあるがタイミングが先又はインフルエンサー)はMAツールでナーチャリングします
まずは、営業が動きたくなるリードを展示会で集めることをコミットすることから始めるのが重要だと話しました。
MAツールをより効果的に運用するためにも、3つの点を抑える必要があります。
- 受注に繋がりやすい顧客は誰なのか?
- 顧客はどのようなことに価値を感じているのか?何が課題なのか?
- その顧客は何故他社でなく自社を選ぶのか?
この3つのポイントを明確にすることなく展示会に臨んで、とにかく名刺情報を集めていることが、営業が展示会を意義あるものと感じていない一番の原因だと話しました。
受注確度の高い来場者は、営業がなるべく早く、そして直接アプローチをかけることが大切です。
おそらく、このような来場者にはMAツールの必要性はありません。
そもそも、MAツールとは何を解決するものなのでしょうか?
MAツールが解決する課題
展示会において、受注確度の高い今すぐ来場者には、MAツールはあまり役に立ちません。
直接メール又は電話をして、アポイントを獲得した方が成果に繋がるでしょう。
この場合、何故MAツールは役に立ちにくいのでしょうか?
MAツールの強み
MAツールの強みは、スコアリングの自動化により、営業のタイミングを逃さないことです。
MAツールがない時は以下の2つの方法でしか営業のタイミングが分かりませんでした。
- 顧客が問い合わせをくれた時
- 営業やインサイドセールがアプローチをした時
➀の場合は、顧客の行動に依存をしてしまいます。
問合せが来なければ、新規売上の機会はありません。
②の場合は、アプローチをする母数によって労力がかかります。(コストと精神的労力も含め)
顧客視点で考えると、ニーズがない時に電話やメールが来ても面倒くさいと感じるだけです。
2つの問題を解決するのがMAツールです。
MAツールによって、問い合わせ以外の顧客の行動を把握することができます。
そして、行動をトリガーにして、メールや電話でアプローチできます。
無駄なアプローチ数が減るので、コスト、労力を削減できます。
さらに、顧客からすると良いタイミングで連絡がくるので、満足度があがります。
MAツールを導入することで、顧客のニーズやタイミングを把握し、効率的で質の高い営業が実現できるのです。
既にニーズが顕在化していることを展示会で把握できている場合は、MAツールは効果的ではありません。
逆に、ニーズまだない、大量のリード情報の中から、自動的に営業のタイミングを導くにはMAツールはとても役に立ちます。
このMAツールの強みを展示会に活かすにはどうすれば良いでしょうか?
展示会後の活動にMAツールを活かすには?
ニーズが顕在化している来場者が分かっている場合は、直接アプローチをする方が早いです。
しかし、展示会は、それ以外のリード情報もたくさん集まります。
そのリードに対して、適切なタイミングでアプローチができれば、成果に繋がる可能性が高まります。
展示会とMAツールの相性の良さで言えば、メールアドレスが取得できることでしょう。
MAツールは、相手のメールアドレスが分からないと情報が追えないので(アンノウンでは追えますが)メールアドレスが取得できる展示会とは相性が良いです。
展示会で取得したリード情報の、WEB上での行動を把握できるようになります。
ここからが、MAツールを活かすところの難しい所です。
殆どの企業において、MAツールが効果的でない理由は、リードナーチャリング(顧客育成)やリードクオリフィケーション(絞り込み)の仕組みがWEBでできていないことです。
BtoB企業のWEBページはブランディング要素が強く、WEBマーケティングには適さない場合が多いです。
その様な企業が、MAツールを導入して、リードの行動を把握したとしても、使えないのです。
MAツールを導入したけど、展示会後の一斉メールを誰が見ているのか?にしか使えていないという場合は、注意が必要です。
本質的に変えるべきは、自社のHPかもしれません。
日頃からWEBマーケティングでMAツールを活用している企業は、展示会にMAツールは使えます。
逆に、日頃MAツールを使っていない企業が、急に展示会でMAツールを使うのはオススメしません。
簡易なメールマーケティングツールで十分な可能性が高いです。
展示会後の活動にMAツールを活用する場合は、WEB上での仕組みが必要だということを意識してください。
最後に、MAツールをさらに効果的にする方法を書きます。
MAツールをさらに効果的にする方法
MAツールという画期的なテクノロジーの出現により、我々は多くの情報を把握することができるようになりました。
これがBtoCビジネスであれば、集めた情報を基にビックデータ解析をすることで、相関性による施策を考えることができるかもしれません。
※ビールとおむつは一緒に売れているという事実からビールとおむつを近い場所に置く
しかし、BtoBビジネスの場合は、相関関係よりも因果関係が重要になります。
その為には、どうしても仮説が必要になります。
※仕事帰りのサラリーマンがお母さんに頼まれて帰り際におむつを買っているからビールも一緒に売れている
展示会はこの仮説を検証する上でも非常に有益な場だと私は考えています。
そういう意味でも、展示会とMAツールは相性が良いとも言えます。
MAツールを導入されている企業の方は、上記の3つの点を展示会前に考えてみて下さい。
先程挙げた3つのポイントです。
- 受注に繋がりやすい顧客は誰なのか?
- 顧客はどのようなことに価値を感じているのか?何が課題なのか?
- その顧客は何故他社でなく自社を選ぶのか?
セールス・マーケティングにとって重要なこの3つの問いを考えて、展示会での反応を検証することで、MAツールの効果的な運用にも繋がります。
MAのシナリオやスコアリングのブラッシュアップに繋がると思います。
マーケ部門と営業部門のコミュニケーションが重要になるので、展示会を機会に3つの問いを一緒に考えてみて下さい!
参考にして頂ければ幸いです。
まとめ
今回は、MAツールと展示会の相性について書きました。
展示会で集めたリード情報の中から、アプローチ先を絞り込むことが目的なら、MAツールよりもABMツールの方が役に立ちます。
下記記事にMAとABMの違いをまとめています。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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