オンライン展示会の未来像を展示会主催社に聞いてみました!
未来の展示会を考えるインタビュー第2弾。
今回インタビューをさせて頂いた株式会社JTBコミュニケーションデザイン(以下JCDと表記致します)は、イベントの主催事業をされています。
以下のような展示会を年間20回以上開催されています。
- nano tech 2020 国際ナノテクノロジー総合展・技術会議(総来場者47,692名)
- BioJapan/再生医療JAPAN 2019(参加企業974社、商談件数11,987件)
主催社もコロナの影響は大きく、皆さまもご承知の通り、リアル展示会が中止となっています。
その様な状況で、オンライン展示会を開催する主催者も増えてきています。
JCD主催の展示会は、リアル展示会の時から、出展社と来場者のマッチングに力を入れている印象でした。
そのJCDが、EventHubというマッチング機能を持ったプラットフォームを利用してオンライン展示会を開催されました。
私を含め、展示会に関わっている方はとても興味を持っていると思います。
今聞くしかないと思って長谷川さんにお願いをした所、快くOKして貰いました。
オンライン展示会を開催されて感じた生の声はもちろんのこと、以下の点についてもお話を伺いました。
- オンライン展示会のメリット、難しさ
- リアル展示会とオンライン展示会の棲み分け
- 未来のオンライン展示会はどうなるのか?
今後オンライン展示会を開催されようと思っている方、EventHubに興味のある方は、楽しんで頂ける内容になっていると思います。
では、インタビューをどうぞ!
早速ですが、Smart Sensing 2020をオンライン開催された経緯を教えて下さい。
4月中旬くらいに、リアル展示会の中止が決まってすぐにオンライン開催を決定しました。
元々出展予定だった企業様に、何かできないかと思ったのがきっかけです。
開催が5月末なので、準備期間が実質1か月半!凄いスピード感ですね。
開催予定だった展示会の講演者から、オンライン開催に協力すると後押しをしてもらえたのが大きかったですね。
オンライン展示会は基調講演の内容が大切だと思っていましたので。
元々リアル展示会でやる予定だったので、準備期間が短くても対応できたと思います。
我々よりも、出展社の方が戸惑いがありましたね。
出展社からはどんな意見がでましたか?
オンライン展示会は我々も初めてですが、出展社も初めての方が多いわけです。
SmartSensingの業界は、IoTの分野ですが、製造業の方々が多いので、3Dで何か作らないといけないのという意見がでたりしました。
出展企業がバーチャルでブースを構えるようなものをイメージされたのだと思います。
今回は、EventHubというプラットフォームを活用して、来場者と出展社がマッチングできるので、ブースのようなものは必要ないことを説明しました。
オンライン展示会、バーチャル展示会など色んな呼ばれ方をしているので、出展社からするとイメージしにくいかもしれませんね。EventHubを使ったオンライン展示会のイメージを教えてもらえますか。
来場者がEventHub上で展示会に参加すると、基調講演を聞くことができます。
今回は、3日間で計14回の基調講演を開催しています。
基調講演は、業界の著名な方が、最新の情報提供などを行います。
基調講演だけだと、ウェビナーイベントみたいになるのですが、EventHubがあることで出展社と来場者がマッチングできるようになります。
来場者は、興味のある分野や展示会で聞きたいことを、参加登録時にチェックしています。
出展社は、来場者のチェックした情報を見ながら、自社のサービスに興味がありそうな方へ直接チャットで連絡をすることができます。
来場者も、興味のある出展社の情報があれば、チャットで直接質問をすることも可能です。
Zoomで行うようなウェビナーに、出展社と来場者のマッチング機能を追加したものが、EventHubを活用した今回のオンライン展示会です。
ありがとうございます!今回EventHubを採用された理由を教えてもらえますか?
EventHubは、元々リアル展示会で使ったことがありました。
弊社はリアル展示会で、マッチングにこだわっています。
やっぱり、リアル展示会の価値は、出展社にとっても来場者にとっても嬉しいマッチングだと思いますので。
以前に使ったことがあり、コンセプトが共感できるのが採用の理由です。
SmartSensing2020の結果にとても興味があります!
来場者は当初は1,000名が目標でした。
実際には3,003名の方に登録頂きました。
その内マッチングOKの方が2,475名なので、約80%の割合です。
出展企業数は119社となります。
予想より3倍の集客!どうやって集客されましたか?
弊社で持っている過去の展示会のリストの内、8万件くらいにメールを配信しただけです。
リアル展示会の場合は、当日前に数回メール配信するのですが、今回は1度だけ配信しました。
広告もかけていないです。
今の時期だからかもしれませんが、オンライン展示会は人が集まりやすいのかもしれないですね。
その辺りも関係ありそうですが、オンライン展示会のメリットをどう感じましたか?
セミナーには非常に多くの方が集まりました。
事前予約で1,000名超えが2講演、900名超えが3講演、最低でも466名の登録がありました。
セミナーを開催して、平均600~700名の方が普通に集まるのは凄いことだと思います。
今回は、基調講演の枠しかなかったですが、次回以降は出展社にもセミナー枠を用意すると良いと感じました。
出展社からすると、1度に700件くらいのリードが獲得できる可能性があります。
出展社にとってはメリット大きいですね!逆に難しいと感じた部分はありますか?
今回は、コロナの影響で困っている企業に何かできればという想いでオンライン展示会を開催したので、出展料は無料としました。
119社の企業様に参加頂いたのですが、やり方によって成果に差が出ました。
EventHubは、ある程度積極的に行動しないとマッチングになりません。
また、チャットで送る文章によっても、反応率が全然違うのではないかと感じました。
送っている文章の内容は、弊社からは見れませんが、開封率や返信率は分かります。
中には10件送って7件返信されている出展社もあれば、数多く送っても全然返信されていない出展社もあります。
今後は、有料のオンライン展示会が増えてくると思います。
集客はできるので、出展社の期待値は高くなります。
しかし、やり方によっては結果が伴わないケースも増えるかなと。
そうすると、オンライン展示会はあまり効果ないという話になりそうな気がしています。
正しい期待値のコントロールと、成果の出る仕組みを主催社として考える必要があると感じました。
難しい点も率直に教えて頂きありがとうござます。今回開催してみてこんなことができたら良いと思った点はありますか?
2点あります。
1点目は、先ほど話した出展社によるセミナーです。
もう1点は、来場者の声から分かったことです。
「質問ができたら良かった」という声を多数いただきました。
この2点から考えて、今後は出展社から5分くらいの短いサービス紹介動画を用意してもらうことを考えました。
この動画は、いつでも見れるようになっていても良いですし、セミナー枠でも良いかなと考えています。
来場者は、その動画を見て、自由に質問ができます。
出展社もその質問に回答ができます。
今後は、オンライン展示会の成果の指標(KPI)に来場者の質問数があっても良いかもしれませんね。
サービス紹介動画のお話がでたので聞いてみたいのですが、IoTや製造業の分野ですと物を見せたい、見たいというニーズが大きいのではないでしょうか?
その通りですね。
ここは、今までリアルの展示会で求められていたことだと思います。
今後のオンライン展示会の在り方を考えた場合、この辺りも出展社の期待値のコントロールに含まれると思っています。
物を見せる、触れる、感じるなどのフィジカルな価値は、やはりリアルな場が良いです。
一方、今回オンライン展示会を行って分かったのですが、リードジェネレーション(集客をすること)は、オンライン展示会が向いています。
今後は、オンライン展示会で人を集めて、そこで来場者と接点を持ち、その後、MAツールやウェビナーでナーチャリング(顧客育成)をするような動きは加速すると思います。
物を見せたい場合は、自社のショールームに呼んだり、それこそリアル展示会はその役割になっていくのかなと感じています。
オンライン展示会とリアル展示会の棲み分けは、はっきりしてくると思いますし、それぞれの良い部分を考えることが、展示会のニューノーマルになるのではないでしょうか。
ニューノーマルの話がでましたが、オンライン展示会の未来像についてどう考えていますか?
オンライン展示会は、今までリアル展示会でできなかったこともできるようになると感じています。
弊社は、来場者と出展者のマッチングに力を入れているので、リアル展示会でもブースとは別に商談コーナーを設置しています。
そこで、商談が行われるのですが、それはあくまで1対1の対話です。
オンライン展示会は、今後普通になってくると思いますが、そうするとN対Nの対話が成立すると感じています。
例えば、次回7月に弊社が開催する「Super City /Smart City OSAKA~未来都市のスマート化 EXPO & カンファレンス」は、2025年の大阪万博やIR構想も含めて、色んな方で集まって未来都市を考えていこう!というコンセプトです。
こういう大きな構想をする場合は、出展社、来場者が入り混じって色々な意見を交わした方がワクワクすると思います。
例えば、未来都市のエネルギ―について話し合っている場があります。
来場者も出展社も、その場で自由に内容を聞けたり、参加できたりします。
リアルでは、その場に入るのは結構勇気がいることだと思いますが、オンラインだと気軽に会話に入れる気がします。
これが実現すると、リアル展示会の知らないものへ出会えるという価値もオンラインで可能になると思います。
オンライン上で、いろんなことについて語り合っている場があって、参加者は興味のある場へふらっと立ち寄るイメージです。
参加型のオンライン展示会が実現できる可能性は高いと思います。
7月のSuper City /Smart City OSAKAでN対Nのコミュニケーションが実現できれば嬉しいのですが、仕組み化にはまだ時間がかかりそうです(笑)
将来的には、実現できるようにしたいので、参加者の方に色々と意見が聞ければと思っております。
ありがとうございます!そのようなオンライン展示会が普通になれば、大阪万博はハイブリッド型で世界中の方々と繋がる凄いものになりそうな気がしました(笑)7月のオンライン展示会も面白そうですね!
ありがとうございます!
Super City /Smart City OSAKAでは、急速な高齢化、多発する都市型災害、ICT化の課題などをセミナーやマッチングを通して考える場となっています。
多くの方が集まって、今日本が抱えている課題を解決するきっかけとなるようなオンライン展示会になれば良いと思っています!
https://www.supercitysmartcity.com/index.html
出展社視点のお話が聞けてとても勉強になりました。オンライン展示会がワクワクするものになっていくイメージが沸きました!インタビューありがとうございました!
インタビューのまとめ
- EventHubを活用したオンライン展示会は、基調講演とマッチングがウリ
- セミナーには多くの方があつまる。オンライン展示会のメリット
- マッチングは出展社の工夫が必要
- オンライン展示会(集客)とリアル展示会(物を見せる)の棲み分けが重要になる
- オンライン展示会はもっとビジョナリーに!N対Nの対話で新しい出会いが生まれる