展示会のために作ったツールはなぜ使われないのか?
展示会で毎回のように作られる新しくツール。
動画、チラシ、パンフレット、説明用の資料や配布用の冊子、ノベルティグッズ・・・
しかし、結局ほとんどが上手く活用されないで展示会を終える。そんなことは起きていませんか?
以前、クライアントが説明用の漫画の資料を、提案されるままに作成したことがありました。
ツールとしては決して出来の悪いものではありませんでした。コンセプトも面白かったと思います。
しかし、誰一人として使うこともなく、展示会を終えることになりました。
今回はなぜこのようなことが起こるのか、どうにすれば使えるようになるのか。
この2点について説明し、オススメのツールもお伝えしていきたいと思います。
ツールの企画は誰が行っている?
展示会で使うツールは誰が企画していますか?
社内の方が企画している場合もありますが、支援会社からの提案で採用されるケースも多いと思います。
社内の方でも、準備だけを行い、会期中には参加されないという方もいます。
また、支援会社もツールの制作や展示会の準備や撤去作業には関わっていても、実際の運用に関わってツールを使うということはほとんどありません。
チームでツール選定まで行っていれば良いのですが、ほとんどの出展社様はそこまで余裕がありません。
ツールを使うことをイメージせずに企画すれば、もちろん使えるものはなかなか作れません。
先述した漫画の説明用資料も、コンセプトの新鮮さで採用されました。
内容についても実際説明される方も、内容については関わった上で制作されました。
しかし、当日どのようなシーンでどのように活用されるかが明確になっていませんでした。
結果、企画側に入っていた方も「展示会では1度も使うことがない」というツールが出来上がりました。
担当者は、展示会当日までに何とか何とか準備を完了しなければならないという使命があります。
そして支援会社でも、求められる準備をしっかりこなさなければならないという義務があります。
その結果、「展示会で成果を上げる」という方向に、なかなか目が向きません。
このような構造になっているので、展示会の現場でどのように使うのかという視点が抜けるのは仕方がないことかもしれません。
こうして使われないツールが作られてしまいます。
展示会で使われなかったツールの事例
ここでは展示会で使われなかったツールの例をお話します。
ここで言う「使われなかった」は正しい目的で使われなかったという意味も含みます。
プレゼンテーションで使うモニターの有効活用のための動画
あるクライアントでプレゼンテーションのためのスライド作成をお手伝いした時のことです。
プレゼンテーション時にはモニターを使うので、プレゼンテーションを行っていない時間帯でモニターを何に使うかが検討されました。
「動画コンテンツを作りたい」
こんな要望がありました。
実はこのような展開は、1社や2社だけではありません。
動画を新しく作るのであれば、展示会に合ったストーリーを作らなければなりません。
それには時間も使いますし、制作するにもコストが掛かります。
そして展示会で動画は、たまに注意を引き付けることはありますが、効果的には使われないです。
目的や狙いがあればまだ良いのですが、大体は空き時間のモニターの有効活用ということが多いのです。
配布用のばら撒きチラシ
2つ目の事例は、展示会で配る「ばら撒きチラシ」と呼ばれるものです。
これは少なくとも途中までは使われることが多いです。
チラシをばらまくのにコンパニオンを使う場合は、最後まで使われるでしょう。
来場者に持ち帰って頂き、帰社後に読んで頂き、認知や問い合わせに繋げていく狙いで作られると思います。
しかし、ブースに寄らずに持ち帰られたチラシは、帰ってから読まれることはほとんどありません。
資料配布用の袋
配布時に来場者が貰ってくれる確率が高まるように、袋に入れて渡す出展社様も多いと思います。
しかし、これもほとんど意味がありません。
来場者は展示会で貰う大量の配布物を袋に入れたいというニーズがあります。
このニーズを満たすためには良いと思います。
しかし、本来は持ち帰って頂き、読んで頂くことだと思いますが、その目的はなかなか果たせないと思います。
どうすれば使えるツールになるか
それではどうすれば使えるツールになるでしょうか?
3つの点が必要になります。
ツールを使う目的を考える
まずはツールを活用する目的を考えます。
この目的は、先述したような「モニターの有効活用」といったものではありません。
展示会の出展目的に立ち返り、成果に繋がる活動に生かせるかどうか。
具体的には以下のようなことです。
- ブースへの集客数を増やす(KPI:名刺獲得数、有効名刺獲得数)
- 簡潔に説明して、1名当たりの対応時間を減らす(KPI:対応人数、1人当たりの対応時間)
- 展示会後の営業プロセスに繋がる(KPI:アポイント数、セミナー参加者数等)
展示会でツールを使う方の会議への参加
次に実際にツールを活用する方が、ツールの選定や作成フェーズでは参加して頂くことです。
活用シーンで目的に沿ったツールは何か。そのツールは現場で使えるかという観点で意見を貰う事が重要です。
そして試作が上がってきたときに、目的通りに使えるかどうかを確認してもらうこともポイントです。
これを行わないと新しいツールを作っても、実際には使われないということが起こります。
実際に現場の声を聞き、意見を反映することで、参画意識も芽生えます。
使ってもらわなければ、そのツールが実際使えたのか、もっと使えるようにするためにはどうすれば良いかも検証できません。
どのように活用するのかを検討する
ツールが出来上がったからといって、活用方法を参加者に託してはいけません。
使い方を参加者に任せたら、使われないと考えた方が良いです。
基本的に人間は、変わりたくない生き物です。
やり方を任されたら、普段通りのやり方に終始します。
恐らく営業パーソンであれば、使い慣れているいつものツールを使うと思います。
どのような目的で使うツールかを説明し、やり方を指導します。
抵抗もあると思いますが、出来る限りロープレも行ってください。
現場でも、しっかりツールが活用されているかを確認してください。
使われないのであればなぜ使われていないのか、どこが問題なのかを確認するようにしてください。
このように新しいツールというのはなかなか活用されないものなのです。
作成される場合、ここまで行うようにしてください。
オススメのツールは?
それでは展示会ではどのようなツールが使えるのでしょうか?
どの企業様にも当てはまるとは言えませんが、ご参考までに使えるツールをいくつか挙げておきます。
呼び込みチラシ
これは先述したばら撒きチラシとは一線を画します。
来場者をブースへ呼び込むためのツールであり、持ち帰って読んで頂くことは考えていません。
私たちがご提案するのは、ターゲットを呼び込むためのチラシにすることです。
これは有効名刺数(ターゲットリード獲得数)に影響を与えます。
呼び込みチラシについてはこちらの記事をご参照下さい。
ヒアリングシート
ここではヒアリングシートを挙げておきます。
アンケートではなく、ヒアリングシートです。
このツールは、ブースを訪れた来場者がターゲットに当たるかどうかを判断する「スコアリング」の質を上げます。
ヒアリングシートの作り方については以下の記事をご参照下さい。
ヒアリング項目をできるだけ必要な情報に絞り込み、活用しやすいように心がけてください。
事例集
展示会の場で活用するか、展示会後のお土産として活用するかという、活用シーンは様々ですが、事例集も使いやすいツールです。
ターゲットの来場者も、自社に近い業界や近い課題を抱えている企業の導入事例には当然興味を持ちます。
展示会では、前回の記事でも書きましたが全てを話してしまうと、営業プロセスが進まない傾向にあります。
そして、展示会後のオファーをしづらい出展社様も多いように思えます。
前回の記事はこちら
そこで活用できるのが事例集です。
「ぜひ御社の業界での活用事例をお話させてください」
「ぜひご担当者様に近い課題を感じていた企業様の事例をお話させてください」
このようなオファーが考えられます。
これは、展示会後の営業プロセスに繋がります。
まとめ
今回は、まず展示会でなぜツールは使われないのかを説明しました。
そして、活用されるツールづくりのためには、「目的」「現場の方の参加(参画意識)」「研修」が必要であるとお話しました。
最後に挙げた3つのオススメツールは、ご参考にして頂けますと幸いです。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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