【JapanITWeek関西2021インタビュー】コロナ禍でも何故リアル展示会に出展するの?

JapanITWeek関西2021

展示会の成果を分けるとても大切なこととは?

 

先週のネプコンジャパンに続き、今週はJapanITWeek関西2021でインタビューをしてきました。

緊急事態宣言中ということもあり、来場者数はかなり少なかったです。

※まだ発表が出てないので分かりませんが、去年が19,917人だったのでその3分の1で7,000人くらいかと思います

 

来場者数が少ないですというレポートをしても何も面白くないですよね(笑)

コロナ禍でも出展をされているということは、リアル展示会に価値を感じている可能性が高いのではと思っていたので、今回は何故リアル展示会に出展するのか?についてインタビューしてきました。

IT、SaaS系の企業には非常に参考になる話が多かったです。

 

コロナ禍だからこそ分かる、展示会の成果を分ける大切なことを書きたいと思います。

 

コロナ禍でもリアル展示会に出展する理由

 

コロナ禍で集客数は減ることが予想されます。

その状況でも、出展している理由として、去年10月東京で行われたJapanITWeek秋の結果が良かったからという意見が多かったです。

※ブースを取っているからという理由もあると思いますが(笑)

 

私もコンサル現場で体験していますが、コロナ禍でも展示会に足を運ぶということは、課題感を持っている来場者が多くなります。

リードの量は減りますが、質は高まります。

コロナ禍でも出展する理由を聞くと、来場者の質に期待する声が多かったです。

リアル展示会は、案件を獲得する場という意識がコロナ前よりも高くなっていることを感じました。

 

IT、SaaS系の方は、オンライン施策にも精通されている企業が多いです。

オンラインでも色々とできる中で、リアル展示会に何を期待しているかについても聞きました。

 

オンライン施策の限界を感じるとき【リアル展示会の価値】

 

コロナになって、オンライン施策とリアル展示会の棲み分けは、はっきりしたと私は思っています。

リアル展示会に対する期待感は、オンラインの限界を示唆しています。

すべての企業にとって、オンラインに限界がある訳ではありません。

ビジネスモデル(低単価/高単価、ソリューション/SaaSなど)やポジショニング(シェアや戦略)によって違いはあると思いますが、インタビューをして挙がった声を紹介します。

 

1.顔が見れる状態で話せることに価値がある

 

今は、オンライン接客ツールを使えば、相手の顔を見て話すことは可能です。

リアル展示会の対面価値に関しては、以前よりも低くなっていると感じていました。

しかし、会って顔が見れることは、価値が高いという声が多かったです。

 

理由は以下になります。

 

  • 相手が顔を出さない場合が多い
  • ロジカルな会話(サービス説明やデモのみ)になってしまい、人柄や雰囲気が伝わりにくい
  • この人から買いたいと思ってもらうのは、オンライン接客だと難しい

 

SaaS系ビジネスで無料トライアルを訴求する場合などは、上記の価値が無くても、相手の期待感や疑問を整理することができれば、オンライン接客でも十分に対応可能です。

※むしろオンライン接客の方が効率が良いと私は考えています

 

しかし、高額な商材やクリエィティブが必要な商材、コンサルティング/教育サービスなど相手の課題を一緒に考えながら解決するようなサービスは、上記の価値が必要になります。

簡単に言えば、この人、この会社と一緒に仕事がしたいと思ってもらう必要があります。

 

オンラインのルールは、ブランド力、資金力のある会社が勝ちやすいという特性があります。

さらにオンラインで成果を上げるためには、時間がかかります。(ブランディングは短時間では構築できません)

リアル展示会は「短期間で成果を上げる」「ブランド力が無い企業でもチャンスがある」という特徴を持ったマーケティング施策だと言えます。

 

2.相談したいことを気軽に聞ける場所として価値がある

 

今回も、○○相談室といったコンセプトのブースを見かけました。

リアル展示会では、見かけるコンセプトだと思います。

 

オンラインの場は、資料DLはされるけど、その先の個別面談まで進む人が少ないという声を聞きます。

※ウェビナーに参加してくれても個別面談はしないパターンもよくあります

 

BANT条件という営業で使うフレームワークがあります。

 

  • Budget(予算)
  • Authority(決済プロセス)
  • Needs(課題感)
  • Timing(導入時期)

 

オンラインで個別相談に進みにくいのは、殆どの方がふわっとしたNeedsしか持っていないからです。

オンラインの施策は、ふわっとしたNeedsを持っている人を多く集めることに適していますし、顧客としても気軽さが利点なので、個別相談に進みにくいのは当たり前のことなのです。

オンラインでは行動を起こさないこのふわっとしたNeedsを持った人が、リアル展示会では相談をします。

 

これは、サンクコストという心理が働いていると言われています。

会場まで行ったんだから聞いておこうというやつです。

オンライン施策では、個別面談に進めない人でも、リアル展示会では相談をしてくれます。

気軽に相談をしてくれることも、リアル展示会の価値になります。

 

3.偶然の出会いがリアル展示会の価値

 

「偶然の出会い」も良く言われる言葉ですよね!

来場者視点で考えると、展示会はいろんなサービスを一度に情報収集できるという価値があります。

さらに、オンラインでは収集できない情報を知りたいという期待感もあります。

 

来場者は、最初は有名な企業を見て回りますが、その事業ドメインと似たサービスも同時に見る傾向があります

※これも先ほどのサンクコストが影響しています

 

展示会を戦略的に捉えると、「有名企業のおこぼれ戦略」が可能です。

オンラインで勝てるくらいブランディングをするためには、時間がかかります。

しかし、リアル展示会では、出展をすれば、リーダー企業と同じ土俵で戦うことができるのです。

※小間の大きさや位置など考慮すべき要素はありますが

 

スタートアップ企業が、展示会で一気に認知を取りたいという目的で大きな小間で出展をするのは、オンラインでは時間のかかるブランディングをリアル展示会で実現したいからです。

オンライン展示会も活発になっていますが、今のところ「偶然の出会い」に関しては、リアル展示会に軍配が上がりそうです。

 

基本的に展示会は2番手以下企業が有利な戦いの場です。

TOPシュアの会社は出展しないという選択もできますが、リーチしとかないとやられるという危機感はあるでしょう。

※オンラインでは出会えない新規リード獲得をしたいというNeedsがTOPシェア企業には多い

 

オンライン施策が色々ある中でも、リアル展示会に出展するのは、2番手以下の企業にとってチャンスが平等にあるという価値が関係しています。

 

何故今リアル展示会に出展するのか?についてまとめてみます。

 

  • オンラインでは相談に来ない人でも気軽に相談してくれる(接客機会が増えやすい)
  • No2以下の企業でも、勝てる可能性がある
  • 顔を見て話せるという利点を最大限活かして、この人から買いたいと思ってもらえる

 

3つのポイントから分かるリアル展示会で大切なこととを現場で成果を上げている企業の声で紹介したいと思います。

 

接客の質が展示会の成果を左右する

 

リアル展示会は、名刺獲得数を成果指標にしている企業が多いです。

しかし、本当に成果を上げている企業は、接客の質をあげることを意識しています。

 

今回のインタビューを行ったブースの中に、出展費用の4倍くらいの売上を展示会で獲得している企業がありました。

※500万の出展費用で2000万の受注というイメージ

 

その企業は、1件当たりの単価が高く、特定の来場者がターゲットとなります。

とにかく多く名刺を集めるよりも、可能性の高い来場者としっかり話をすることを意識されていました。

しかも、前線で対応しているのは、取締役の方です。

 

その会社の必勝法は、以下になります。

 

  1. 特定のターゲット来場者をブースに引き込む
  2. 接客スキルの高い取締役が1時間くらい相手の話をじっくりと聞く

 

アフタフォローの方法などはあると思いますが、基本戦略はこの2つです。

シンプルに「可能性の高い来場者に対して、接客の質が高い人が対応する」ことを実践すれば成果に繋がるということです。

 

私は実際に現場に立って呼び込みをするときがあります。

その時意識していることが2つあります。

 

  1. クライント企業のターゲット来場者をブースに引き込む
  2. 可能性が高い来場者は、接客力の高いスタッフにパスする

 

①の部分は、イメージされる方が多いと思いますが、実は②の部分が成果を出すために非常に重要です。

 

因みに、SaaS系の企業の場合、展示会には新人などの経験の浅い方がアサインされる傾向が高いです。

弊社が、接客スキルを向上させる研修や呼び込みスキルの研修をしているのは、ある程度のレベルまで接客の質を上げるためです。

研修の時、この人は接客レベルが高いなと思うときがあります。

その人には、これは決めてほしいという方をパスします。

すると、展示会現場でアポイント設定して、結果受注になったという声を聞いたりします。

 

コロナ禍で、来場者の質が高くなっていることを考えると、今までよりも接客の質を向上させることが求められます。

リアル展示会で求められる接客スキルを簡単に紹介しておきます。

 

  • ふわっとしたNeedsを顕在化させる質問力
  • ロジカルに短時間で差別化要素をプレゼンするスキル
  • 決済プロセスを把握するスキル
  • 来場者のやる気を高めて、上長や他部署へ紹介をしてもらうスキル
  • 関係のない来場者を早めに切り上げるスキル

 

普段の営業と少し違うスキルが必要になることもありますよね!

特に最後の「関係のない来場者を早めに切り上げるスキル」は良く聞かれます(笑)

※話が長いと思った経験ありますよね

 

まとめ

 

今回は、JapanITWeek関西でインタビューしたことをまとめました。

リアル展示会の価値をオンライン施策と比較することで考えましたが、やはり「接客の質」が大切だと改めて感じました。

 

コロナの影響で、インサイドセールスやメールマーケティングなどの展示会後の施策がやりにくくなっています。

来場者数は少なくなっているので、今まで展示会後にやっていたプロセスを、展示会場でやってしまおうという企業は増えると思います。

接客レベルを上げることを意識して頂ければ、来場者の価値が上がります。

そうすると、展示会自体の価値もあがり、結果質の高い来場者が増えるというグッドスパイラルが生まれます。

 

この記事が、皆様の展示会運営に少しでも役に立てば幸いです。

最後に、インタビューにご協力いただいた方に感謝いたします!

お忙しい中対応いただきありがとうございました!