アフターコロナの展示会に備えて今何をするべきか?
最近は、インタビュー記事が多かったので、久しぶりに考えをまとめた記事を書きます。
取材を通して、アフターコロナ(ウィズコロナ)の展示会がどのように変化するのかが多少なりとも見えてきました。
今は日々状況が変化しているので、予測はあくまで予測だと思いますが。
※2020年6月15日に書いています
しかし、仮説を立てないと未来への打ち手を行動に移せないのも事実だと思います。
この考察が、皆さまのマーケティング活動のお役に立てれば幸いです!
まずは、現状のリアル展示会の動きを紹介します。
目次
リアル展示会はいつから開催されるの?
皆さまも情報はキャッチされていると思います。
弊社が得ている情報で最も早くリアル展示会が開催されるのは、日本能率協会主催のメンテナンス・レジリエンスOSAKA2020(共催展示会は省略)です。
インテックス大阪で7月29~31日で行われます。
この時期に開催できているのは、大阪観光局が開催ガイドラインを策定したからです。
詳細は下記ページをご覧ください。
https://mice.osaka-info.jp/page/mice-guideline
ポイントは以下になると思います。
- 参加者同士がソーシャルディスタンス(2m目安、最小1m)を十分に取れない場合は入場制限を行う
- 会場内に収容する人数の目安を決める
- 【セミナー】隣の人との間隔を1m以上空けるよう、入場制限を行う
主催者は出展社を完璧にコントロールすることは難しいと思われますので、入場制限は行われると思います。
そう考えると、来場者数は確実に減ることが予測されます。
制限があるということは、何となく参加する人は、わざわざ展示会に来ない可能性があります。
来場者の目的はどう変化するでしょうか?
ウィズコロナの来場者の目的は?
コロナの影響で、オンラインの施策が確実に増えました。
一番増えたのはウェビナーでしょう。
来場者視点で考えると、ウェビナーに参加するハードルは下がっています。
今まで、WEB上で情報を得たい場合、各企業のWEBページで資料をダウンロードしたり、動画を見ることが一般的でした。
それに、ウェビナーという選択肢が加わりました。
今はまだ、プレゼン型のウェビナーが主流ですが、今後は視聴者も参加できるウェビナーが増えることが予測されます。
すると、視聴者はウェビナーで簡単に質問をすることができるようになります。
参加型ウェビナーで接点を持ち、チャットで質問をして、WEB接客で商談をするというような流れが普通になります。
展示会に行かなくても、簡単な質問をすることはウェビナーでできるようになったとしたら、何のために展示会場まで足を運ぶのでしょうか?
しかも入場制限がある展示会へ。
以下の方は、今まで展示会場に足を運んできてましたが、ウィズコロナのリアル展示会には足を運ばないと予測しています。
- 挨拶回り目的の経営層
- 特に目的はないけど毎年足を運んでいた方
- 業界勉強のために来場する新人層
- ウェビナーやオンライン展示会で知りたい情報を得て満足している方
- 自社又は知り合いの企業が出展しているので、挨拶と情報収集で来場していた方
- 基調講演やセミナーがオンライン化された場合は、参加が目的だった方
上に挙げた層がリアル展示会に足を運ばないとすると、残るのは以下の方です。
- ウェビナーに馴染みのない情報収集目的の方
- 実物を見たい、動いている所を見たい方
- 深い質問(WEB上ではできない質問)をしたい方
- 一度に複数社のサービスを比較したい方
- 展示会場に行かないと会えない人がいる場合(売り込みや市場調査)
ウェビナーに馴染みのない方以外は、目的がはっきりとしている方が来場する傾向になると推測します。
目的がある人が来場するリアル展示会のイメージを考えてみたいと思います。
ウィズコロナのリアル展示会イメージ
ウィズコロナを2020年7月~2021年6月くらいまでとして考えます。
第2波の影響など予測が難しいですが。
ウィズコロナのリアル展示会は、来場者数は減ります。
弊社は、呼び込みでターゲット来場者のみをブースの中に引き込むというサービスを提供しています。
呼び込みをやっていたので良く分かるのですが、展示会に来場している方の7割位は、ウィズコロナでは足を運ばないでしょう。
今までは、目的がない7割の方々が、フラフラしているのがリアル展示会でした。
私の肌感覚では、3割位の方は目的があってウィズコロナでも来場する層です。
因みにその3割の内の半分は、売り込みや市場調査目的です。
何も手を打たなければ、ウィズコロナのリアル展示会のイメージは以下のようになります。
- 来場者数は3割くらい
- 3割の内半分は、売り込みや市場調査目的
- 残り半分の来場者は目的がはっきりとしており、目当ての展示ブースを事前に調査している可能性が高い
このようなリアル展示会で、展示会担当者は成果を上げていかなければいけません。
ここからは、ウィズコロナでのリアル展示会対策を考えていきます。
ウィズコロナ展示会で成果を上げる方法
今の段階ではありますが、ウィズコロナのリアル展示会での対応策を考えます。
ビフォーコロナで当たり前のやり方が通用しなくなるのは、皆さま感じているのではないでしょうか?
以下の対応策を参考にして頂ければ幸いです。
ブースはデザインでなくコンセプトが重要になる
まず最初に変えなければいけないのが、ブースの役割です。
ビフォーコロナの展示ブースは、はっきり言うとデザイン先行型でした。
これは、展示ブースの装飾業者を選ぶ段階で、コンペを行うのが一般的だったからです。
コンペの段階で以下の3つのポイントがまとめられていることは殆どありません。
- 獲得したいターゲット来場者は?
- ブース内でどんな接客をするの?
- 展示会後にどんなアクションをするの?
この3つのポイントをまとめたコンセプトがないので、何となくこのデザインが良さそうだという意思決定が行われます。
ビフォーコロナでは、それでも成果に繋がる可能性はありました。
それは、ブースデザインは集客数には関係ないからです。
集客数に関係があるのは、会社の知名度や、ブースのキャッチコピー、コンパニオンの活用方法などデザインには関係のない部分です。
※もっと言えばブースの位置がとても重要です
デザインがどんな形であっても、集客の仕組みがあれば、名刺数は集まります。
ビジネスモデルにもよりますが、数が集まれば一定数のターゲット来場者とは偶然の出会いがあるので、成果に繋がるときもありました。
ウィズコロナの展示会では、状況が一変します。
今まで集客の王道だったコンパニオンの活用は、密対策でやりにくくなります。
ノベルティをフックにバーコードリーダーでピっとするのがやり方でしたが、ノベルティは配りにくいでしょう。
そもそも、来場者数が減っているので、コンパニオンの費用対効果が合わない可能性も高いです。
ウィズコロナの展示会の特徴は、来場者に目的があることです。
これは凄くポジティブなポイントで、来場者の質は確実に上がります。
因みに、目的がある来場者は、自分の探しているもの以外にはあまり興味を持ちません。
密対策で集客は、基本待ちの姿勢。
そして、来場者は目的がはっきりしている。
解決策は、デザインではなくコンセプトになります。
「ブースにどんな人が来て欲しいのか?」「どんな課題を解決できるのか?」を、来場者に分かりやすく、そして気づきやすくしなければいけません。
さらに、来場者はリアル展示会にわざわざ足を運んでくれているので、リアルでしかできない価値に期待します。
当然、ブース内での接客方法が重要になります。
これは、BtoBビジネスの特徴になりますが、決裁者が展示会に来場することは少なくなります。
展示会に足を運んでくれた人から、どうやって決裁者に繋げていくのか?という展示会後のアクションも非常に大切になります。
先程コンペ前に決めていない3つのポイントをもう一度紹介します。
- 獲得したいターゲット来場者は?
- ブース内でどんな接客をするの?
- 展示会後にどんなアクションをするの?
3つのポイントを考えて、ブースコンセプトを作成しないと、ウィズコロナでは成果がでません。
次に、展示会場での集客の部分を考えます。
先程、コンパニオンの活用が難しくなると書きました。
では、ウィズコロナの集客はどうすべきなのでしょうか?
ウィズコロナの集客で重要なのはキャッチコピーとセミナー
ウィズコロナの集客で重要になるのは、「キャッチコピー」です。
目的がある来場者が増えるということは、その目的に価値を提供できることを知ってもらう必要があります。
展示ブースの中で、自社の価値をもっとも分かりやすく訴求できるものは何でしょうか?
それは、シンプルですが、キャッチコピーです。
勿論、動画やあとで述べるセミナーも良い方法ですが、最も費用対効果が高いのはキャッチコピーだと考えます。
来場者の目的がはっきりしていること、そして、会場の人通りが少ないことを考えると、キャッチコピーを見てブースに立ち寄る方は確実に増えます。
キャッチコピーの作り方に関しては、こちらを参考にして下さい。
次に集客として重要になるのが、セミナーだと考えています。
セミナーに関しては、密対策を考えれば、あまり集客が見込めないですし、意味がないと感じるかもしれません。
私がセミナーが良いと思っている理由は、オンライン配信を考えているからです。
ウィズコロナの展示会では、来場者だけでなく、オンラインでも集客をすべきだと私は考えています。
展示会の学校では、コロナ禍のウェビナーやオンライン展示会の成功ノウハウを記事にしています。
話を聞きながら思うのは、このノウハウを使えば、ハイブリッド型のブース運営は十分可能です。
オンラインで集客をする場合に、もっとも適しているのがセミナーです。
プレゼン型のセミナーではなく、視聴者参加型のセミナーをおすすめします。
そして、可能であれば、1社だけでなく複数社が集まって行えるとよいと考えています。
チャットワーク様の成功ノウハウは参考になると思います。
ここまで、コンセプトの重要性と展示会現場での集客について、解決策を提示させて頂きました。
もう1点、ウィズコロナの展示会で大事な変化があります。
ウィズコロナでは事前集客が重要になる
展示会は、目的がない7割の方と偶然の出会いがあり、そこから成果が生まれているという話をしました。
ウィズコロナの展示会では、その7割の方が、展示会に足を運ばない可能性が高い訳です。
7割の方は何故展示会に足を運ばないのか?
それは、目的がないからです。
シンプルに考えれば、事前に目的に気づく機会を提供できれば、その方は御社のブースに足を運ぶかもしれません。
ウィズコロナの展示会では、事前集客が重要になります。
具体的にどのような改善策が考えられるでしょうか?
1つ目は、自社でウェビナーを開催する方法です。
しかし、この方法は、ハウスリストの掘り起こしにしかならないというデメリットがあります。
2つ目は、先ほど挙げたチャットワーク様の事例のようなオンライン展示会の開催です。
複数社で行うという大変さはありますが、それぞれの企業のハウスリストをみんなで堀り起こせば、事前集客に繋がる可能性は高いです。
私は、この方法を1番おすすめします。
3つ目は、集客を主催社が行う形のオンライン展示会です。
先日行われた、Boxil Expo2020や、ITmediaが開催しているバーチャル展示会などがこれにあたります。
JTBコミュニケーションデザイン様のインタビュー記事も参考になると思います。
この方法は、新規のリードを獲得するという点では、とても良いです。
但し、時期をコントロールできない所がデメリットです。
リアル展示会の少し前に開催されていれば、事前集客に繋がるのですが、2~3か月前だと事前集客には向かないでしょう。
あと、前述の複数社で集まって行うオンライン展示会は、低コストで開催できますが、こちらはある程度お金がかかるという観点もあります。
いずれにせよ、ウィズコロナでは、事前集客をリアル展示会とセットで考えなければ成果に繋がりません。
今まで、リアル展示会開催の1か月前くらいから準備を始めていた方も、もっと早めから準備する必要があると思います。
ここまで、ウィズコロナの展示会で成果を出すための解決策について考えてきました。
最後に、アフターコロナの展示会について、予測してみたいと思います。
アフターコロナの展示会はどう変化するのか?
アフターコロナとは、ウィルスのワクチンができた後をイメージしています。
そうすれば、コロナもインフルエンザと変わらない扱いになるでしょう。
アフターコロナのリアル展示会は、ビフォーコロナの展示会に戻るのでしょうか?
鍵を握るのは、主催社だと考えています。
ポイントが2つあります。
- 基調講演をオンライン化するのか?
- 来場者リストのデータ活用が進むのか?
1.基調講演のオンライン化
展示会主催者にとって、集客の売りは基調講演です。
展示会によって割合は違いますが、展示会の来場者のうち3割~7割は基調講演(セミナー)を目的に来場しています。
この基調講演をオンライン化するかどうかは、主催者にとって迷う部分だと推測します。
オンライン化すれば、展示会場に足を運ぶ人は減ります。
しかし、オンライン化した方が、多くの方が視聴します。
それぞれ、アフターコロナの展示会がどう変化するのかを予測します。
基調講演をオンライン化しない場合
基調講演をオンライン化しない場合、来場者は展示会場に足を運ぶ必要があります。
ビフォーコロナでは、基調講演目当てで足を運んでいましたが、アフターコロナも同じでしょうか?
私は、アフターコロナでは、基調講演の価値が下がっていると考えています。
コロナの影響で、オンライン展示会が増えれば、基調講演と同じ内容をオンラインで聞く機会は増えます。
オンラインの方が、視聴者の集中力を保つのが難しいので、視聴者参加型にしたり、ディスカッション型にしたり、どんどん改善されて質も高く面白いものになっていくことも予想されます。
アフターコロナでは、今までのような基調講演で集客する方法は効果が薄くなると感じています。
仮に基調講演をするなら、リアルの場だからこその価値が必要になります。
キャスティング力に強みを持っていた主催者も、企画力が必要になるでしょう。
アフターコロナで基調講演をオンライン化しなかった場合は、来場者数は減ると予測します。
基調講演をオンライン化した場合
逆に基調講演をオンライン化した場合はどうなるでしょうか?
この場合も、展示会に足を運ぶ人数は減ります。
しかし、視聴者総数は増えます。
リアル展示会では席数に限界があるので、多くても1度に1,000人が限界です。
オンラインで行えば、2倍、3倍と視聴者が増えると思います。(もちろんコンテンツによりますが)
オンラインで参加した視聴者は、製品/サービスを購入する目的ではないので、展示ブースの方にはあまり関係がないでしょう。
しかし、将来の購入者には成り得ると思います。
アフターコロナの展示会は、展示会に足を運んでいる来場者数だけで価値を判断してはいけません。
来場者数は、おそらく元通りにはならないでしょう。
しかし、基調講演をオンライン化することで、将来の購入可能性の高い参加者に認知を拡げることは可能です。
オンラインで参加している方と来場している方を併せて、展示会を評価する必要があると考えます。
アフターコロナの展示会は、来場者数は減ります。
しかし、オンラインとリアルの棲み分けがはっきりするので、来場者の質はあがります。
主催者は、来場者の質の高さを、出展社に示す必要性がでてきます。
そうしないと、出展社数は減り、小間数も減り、アフターコロナでは展示会主催ビジネスが成り立たなくなります。
これが2つ目の主催社のポイントです。
2.来場者リストのデータ活用が進むのか?
「どの展示会が成果上がりそうですか?」
これは、今までコンサルをしていて、クライアントから良くある質問です。
答えを出すために、主催者の来場者リストのデータを確認します。
経営層が何割いるとか、業種の割合は分かります。
どこどこ会社のこんな肩書を持った人が来ていますというのも分かります。
でも肝心な情報が全く分かりません。
それは、「購入意欲がある人がどの位いるのか?」です。
この情報、マーケティングの方は分かると思いますが取得できます。
MAツールを活用すれば。
今は、出展社ページは機能していませんし、主催者が制作しているページに魅力的なコンテンツがありません。
だから、来場者が事前に主催者のページを見ることが少ないです。
これでは、MAツールの活用の場はありません。
しかし、ウィズコロナでオンライン展示会が発展すれば、色んな情報を取得することが当たり前になります。
オンライン展示会は、来場者データの活用には力を入れるはずです。
購入意欲だけでなく、どの領域に関心があるかなど、様々な角度から展示会を分析できるようになります。
アフターコロナでリアル展示会が独自性を保つためには、オンライン展示会と同じように来場者の質を評価できる仕組みが必要だと私は考えています。
オンラインとリアルが今よりも融合することで、来場者のリストのデータ活用が進み、出展社は出展効果を事前に把握しやすくなります。
アフターコロナでは、主催者がどこまで本気にデータ活用に取り組むのかもポイントになります。
質の評価ができるようになれば、出展社が減ることもなく、来場者数は減ったとしても、より効果的な場になっていくと思います。
まとめ
今回は、ウィズコロナで成果を上げるために何をすべきか。
そして、アフターコロナに関しては、主催者がどう変化すべきかについて書きました。
あくまで私の予測ですので当たる保証はありません。
しかし、ウィズコロナに関しては、出展社は確実に2つの対応が必要です。
- 密対策
- 来場者数が減るので新しい集客方法
新しい集客方法に関しては、解決策を提示致しました。
今の内から、オンライン展示会やウェビナーの開催には力を入れておくのが良いと思います。
そのノウハウを持っている企業の方が、リアル展示会で成果を出せると感じています。
是非参考にして頂ければ幸いです。
最後まで読んで頂きありがとうございました!