展示会後のフォローを効果的にするのは「ABM」「MA」?
「ABM」、「MA」と聞いて全くぴんと来ない方は、おそらくこの記事を見ていないでしょう(笑)
ABMはピンとこないけど、MAは知っているという方は多いかもしれません。
日本でMA(マーケティングオートメーション)が導入されだしたのは、2015年くらいからだと思います。
2018年くらいから、展示会後にMAを活用する企業が増えてきました。
そして、2020年新たなトレンドになりそうなのがABM(アカウント・ベースド・マーケティング)です。
今回の記事は、BtoBマーケティングのトレンドであるABMを、展示会という視点でMAと比較してみたいと思います。
以下の方におすすめの記事となっております。
- 最新の情報をキャッチアップしたい方
- 展示会後のフォローで悩んでいる方
目次
何故ABMやMAが展示会後に必要なのか?
最初に、ABMやMAのツールを活用する背景を解説致します。
リード獲得数を目的数値として、展示会に参加している企業は多くいます。
1回の展示会で、3000枚以上の名刺情報を獲得する企業も珍しくありません。
3000名すべての方に、自社のサービスの説明をし、課題感、購入の可能性をヒアリングできていれば、展示会後のフォローは効率化します。
- 購入可能性の高いAグループには、電話をしてアポイントをお願いする。
- 購入可能性が高いがタイミングが先のBグループには、導入事例を送る又は、無料体験や使い方セミナーを打診する。
- 購入可能性が高いが決裁者でないCグループは、上司に納得が得やすいように、導入事例や費用対効果のエビデンス資料を送る。
- 購入可能性は低いが、今後導入する可能性がありそうなDグループは、コンテンツマーケティングへ誘導する。
上記のように、展示会の現場で来場者をスコアリングできていれば、優先順位をつけてアクションが行えます。
しかし、名刺獲得数を目的としている場合は、現場でのスコアリングができません。
良くあるのはバーコードリーダーで名刺情報を獲得する方法ですが、その方法ですと、3000枚の内2500枚は、名刺情報を貰っただけになります。(ブース内で接客をしていない)
その2500枚の中にも、お宝が眠っている可能性があるのです。
MAツールが出てくる前は、その2500枚に対して以下のアクションを行っていました。
- 全件電話する
- 担当営業マンに振り分けて渡す
- お礼メールを送って、反応を待つ
➀の全件コールは、コストと時間がめちゃくちゃかかります。
②の場合は、営業マンが意味ないと判断すれば、リードは放置されます。
➂の場合は、平均反応率が約1%なので、2475枚のリードは放置状態になります。
このような状況の中で、出てきたのが、MAツールであり、ABMツールなのです。
お金と労力をかけて大量のリード情報を獲得したならば、その資産を効率的に活用したいということです。
では、具体的にどのような使い方をされているのでしょうか?
まずは、先に活用されているMAツールから解説致します。
展示会後にMAツールはどう活用されているのか?
MAツールの最大の特徴は、誰が、どのページを、いつ見たのかを把握できることです。
「誰が」のトリガーは、メールアドレスです。
展示会では、メールアドレスが取得できますので、展示会で接点を持った方が、自社サイトに訪れたことが分かるようになります。
アンノウンという機能がある場合は、MAツールにメールアドレスを登録すれば、以前に自社サイトに訪問していた記録も紐づきます。
このMAツールを使うと、展示会後に色んなことができるようになります。
- お礼メールにサービスURLを数種類貼っておき、クリックされたサービス概要の導入事例を自動で送信する。
- 誰がお礼メールをクリックしたのかが分かるので、クリックした方に電話をする
- 以前に自社サイトに訪れている情報が分かるので、閲覧ページ情報を基に、アクションをする
- お礼メールに反応していない方に、1週間後にセミナー告知のメールを配信する
- 自社サイトに訪問をしてきた方が、○○展示会に参加していたことが分かる
施策の可能性はまだまだたくさんあります。
MAツールを活用することで、雑多な2500件のリードを効率的にフォローすることが可能になります。
これだけ見ると非常に効果的に見えると思います。
しかし、MAツールを活用したのに成果に繋がらない…という企業も多いです。
MAツールが効果的でないパターン
MAツールが効果的なのは、以下の条件が揃っている場合です。
- 自社サイトのコンテンツが充実している
- インサイドセールス部隊がいるなど、タイムリーにアクションができる
➀自社サイトのコンテンツが充実している
MAツールは、誰が、どのページを見たのかが分かります。
仮に、価格表のページを見ているとすれば、それは、購入意識が高いか調査目的かのどちらかの可能性が高くなります。
コンテンツマーケティングをしている場合であれば、どのページを見ているかや何ページ見ているかという情報で、相手の興味範囲や度合いが分かります。
しかし、BtoBビジネスの場合は、自社サイトが充実していない場合もあります。
リスティング広告の運用でリード獲得をしている企業であれば、ランディングページしかないということもあります。
LPに何度も訪問することはないので、アンノウンの効果も薄いです。
コンテンツが充実していない場合は、MAツールを導入したとしても、誰が見ているのか?という情報しか意味を持ちません。
※サイトの作り方がMAツールに適していない、MAツールでタグ設定ができていない場合も含みます
②インサイドセールス部隊がいるなど、タイムリーにアクションができる
コンテンツが少ない場合でも、いつ見ているのか?という情報は分かります。
仮にLPだった場合、そのページを見て早いうちに電話をすれば、相手が話をしてくれる確率も上がります。
相手の記憶にあなたのサービスが残っているからです。
しかし、タイムリーに電話をかけられない場合も多くあります。
例えば、インサイドセールスがなく営業しかいない場合は、外回りをしている時に電話をすることはありません。
また、代理店販売に力を入れているビジネスモデルの場合も、タイムリーに対応することは難しいです。
MAツールを導入したとしても、上記2つの条件に当てはまらない場合は、結果に繋がる可能性が低くなります。
そんな中、新しい概念として出てきたのがABMツールになります。
展示会後にABMツールはどう使われているのか?
前述の例で話した、雑多に集めた名刺情報2500枚を効率的にアクションするためには、もう一つの方法があります。
MAツールは、メールや自社サイトを活用して、相手の行動を把握することで、スコアリングをする方法です。
相手の行動を把握しにくいコンテンツ量の不足や、把握できてもアクションができない場合は、効果がでません。
このような場合でも、ABMツールを活用すれば、リードをスコアリングすることができます。
ABMに関しては、比較的新しい概念なので、MAより詳しく解説していきます。
ABM(アカウント・ベースド・マーケティング)とは
ABMを簡単に説明すると、「相手企業の情報を良く知って可能性が高い手法で攻略しよう!」という考え方です。
正直言うと何にも新しくないんですよ(笑)
しかし、テクノロジーの視点から考えてみると、少し見え方が変わってきます。
営業×テクノロジーの代表格はセールスフォースドットコムです。
今まで、残っていなかった営業の情報が、SFA上に残されるようになりました。
ブラックボックスだった、営業現場が可視化されることによって、進捗管理の精度向上、営業プロセス毎の改善点の明確化(受注率の改善)などの効果が期待されました。
SFAは基本、商談相手の情報を残していくことにフォーカスをしていました。
可視化されていなかった現場の商談を、分析ができるものにすることが目的だった為です。
当時は、ソリューションセールスが流行った時期です。
今までのように製品の機能や特徴を説明するのではなく、お客様の課題に目を向けて、セールスを行う手法です。
現状把握→問題把握→解決策の共有→効果の検証という感じで、セールスがプロセス化されていった時期でもあります。
商談をプロセスで分解して、その歩留まり率を見ていけば、今の営業の改善点が見つかります。
SFAによって、営業が科学的に分析をされて、営業の能力が標準化されて、効率的に成果に繋がるというのが当時のイメージです。
時代が進んで、WEBマーケティングの台頭が始まります。
顧客は自ら情報をWEBで入手するようになりました。
今まであった、飛び込みやテレアポ、ダイレクトメール、展示会といった施策から、WEB上で検索をする人を取り込むことも集客手段に加わります。
リードの獲得方法がWEBにシフトする中で生まれたのがMAです。
MAによって、営業が訪問をしなくても多くの情報が手に入るようになりました。
○○企業のAさんは、▲▲ページを週2回も見てる
こういう情報がWEBだけで手に入るようになってくると、SFAの情報をMAと連携したくなります。
特に大企業を攻略する場合、BtoBビジネスは意思決定に多くの方が関わります。
また、開発した新規サービスは、SFAで情報が残っている情報システム部のAさんではなく、人事部門のBさんにアプローチしたいと思っているかもしれません。
その様な場合、SFAとMAの情報を統合し、アカウントベースで情報をまとめたいというニーズが出てきます。
そうすることで、より相手企業のことを理解することができるからです。
※因みにABMは当初、大企業(大口顧客をアカウントと呼ぶから)向けに考えられたマーケティング手法でした。
SFAとMAが連携するということは、営業とマーケティングが一体となって、アカウントを攻略するということです。
今までは営業だけでやっていたことに、マーケティング部門で入手した情報も加味されます。
ABMにとって、重要なのはアカウントの情報です。
相手企業のことを訪問前からよく理解して、最適な方法で営業をするためには、情報が必要になります。
そこで、ABMに目をつけたのが、企業情報を質、量ともに持っている企業です。
アカウントの様々な情報を集めるのは、マーケティング部門には大変な作業です。
すべてのリストをいちいち検索するなら、情報を持っている企業からサービスとして提供してもらった方が早いです。
大手企業の情報であれば、有価証券報告書を見ればかなりの情報を手に入れることができます。
企業情報を持っている企業は、それ以外の中小企業や大手のグループ会社、外資系の日本法人、スタートアップの企業などの情報も持っています。
マーケティング部門は、その情報があれば、大手企業以外のリストについても、絞り込みができるのではないかと気づきます。
今はABMという概念を持ったツールは、マーケティング部門が持っているリストに様々な企業情報を付加するサービスになりました。
そして、その情報を基に、自動でリストをスコアリングする方向に進んでいます。
手持ちのリストを入れると、リードに紐づいた情報が付加されて、さらにその企業のポテンシャルが分かるといった感じです。
ABMは、「相手企業の情報を良く知って可能性が高い手法で攻略しよう!」という考え方で新しい概念ではありません。
しかし、テクノロジーの観点で言うと、持っているリストの自動スコアリングツールがABM関連のツールです。
まだそういう呼ばれ方はしていませんが、ABMツールとよばれるものが、自動スコアリングツールになるかもしれません。
長くなりましたが、テクノロジー視点のABMとはという解説でした。
このABMツール、展示会で活用したらどうなるでしょうか?
ABMツールの活用方法
展示会で獲得したリード情報を、ABMツールに入れると、自動でスコアリングされるという使い方が想定されます。
イメージは下の図です。
スコアリングされたGroupにあったアクションをする形になります。
MAツールは、相手の行動によって、スコアリングが可能になります。
ABMツールは、リストを入れるだけでスコアリングされるイメージです。
相手の行動を待たなくて良いので、スピード感を持ってリストに対応ができます。
さらに、メール配信だと見逃してしまう、ポテンシャルがあるけど相手が自社のサービスを知らない企業へのアプローチも可能になります。
ABMツールが展示会に使われ出すと何となく良いような気がします。
しかし、ABMツールにも弱点があります。
ABMツールの弱点
ABMツールの弱点は、スコアリングの精度になるでしょう。
おそらくスコアリングの対象になるのは、名刺でとれる情報とABMツールで追加される情報です。
名刺で取れるの情報で使えるのは、「会社名」「部署名」。
ABMツールで付加できるのが、「売上高」「従業員数」「業種・業態」。
この情報でスコアリングをすると、精度はあまり望めないと思います。
しかし、やり方によっては、意味のあるスコアリングができる場合もあります。
例えば、展示会に出展した企業が採用管理のサービスを売っているとします。
獲得したリード情報に、WEBで調べた求人媒体の情報を付加したらどうでしょうか?
採用人数や事業内容、採用後の教育体制など求人媒体には様々な情報が載っています。
その情報を付加すれば、精度が向上すると推測します。
皆さまのサービスによっては、ABMツールを活用してスコアリングをすることも可能だと思います。
ABMツールとMAツールどっちが良いの?
最後に、ABMツールとMAツールどっちが良いのか?について解説したいと思います。
仮にスコアリングの精度が担保された場合には、ABMツールの方が成果に繋がりやすいと思います。
展示会後にMAツールが力を発揮するには、メールの開封率という壁を乗り越えなければいけません。
今は、メール配信をしている企業が増えているので、開封率が下がっています。
また、展示会でのリードの集め方が、数を追うとどうしてもバーコードリーダーの活用になることも問題です。
来場者が覚えていないので、メールの開封率は上がりません。
ABMツールを活用すれば、2つの利点があります。
- 展示会後すぐにアクションできる
- Groupの属性に合った来場者の価値に繋がるアクションができる
以上が、展示会という視点での比較です。
まとめ
今回は、ABMについて、MAと比較した記事を書いてみました。
展示会はまだまだレガシーな業界ですが、新しいテクノロジーを組み込むことによって、今までとは違う可能性を秘めています。
やり方に縛られることなく、もっと自由な発想を持ったサービスが展示会に登場すれば、展示会業界は面白くなります。
弊社は、基本的には展示会場でスコアリングをすることを推奨しています。
しかし、すべての来場者の情報を獲得するのは難しいです。
テクノロジーの力も使いながら、今よりももっと成果に繋がるサービスを考えていきたいと思います!
※今コロナの影響で展示会が中止なので、新規サービスを開発中です
展示会の集客についてまとめた記事がありますので、そちらも同時に読んでもらえると、今回の記事の理解も深まると思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。