製造業系展示会の特徴とオンライン化について色々と聞いてきました!
2021年1月20~22日の3日間、ネプコンジャパン2021が開催されました。
併設展示会は以下の通りです。
- ネプコンジャパン
- ウェラブルEXPO
- オートモーティブワールド
- ロボテックス
- スマート工場EXPO
緊急事態宣言中のリアル展示会は今までなかったので、どのような傾向があるのか現場に行きました。(約60社にインタビュー)
テーマとして、以下の2点を重点的に聞きました。
- リアル展示会に求めることは?
- オンライン施策(デジタル化)に求めることは?
コロナ禍で製造業系の皆様が、マーケティングにどう取り組んでいけば良いのか、ヒントになれば幸いです。
最初に、緊急事態宣言中のリアル展示会の状況から書きます。
目次
緊急事態宣言中のリアル展示会集客状況は?
今記事を書いている状況で、リード社からの来場者数の発表はまだありません。
私が2日目に現地でインタビューで聞いた話によると、1日目の来場者数は4,700名くらいだったとのことです。
去年の10月に行われた、総務人事経理Weekの1日目が6,041名でした。
弊社が支援をしていたので、現地の感覚を知っているのですが、今回の方がかなり人が少ない印象を受けました。
実際に、ブースで話を聞きに行ったところ、思ったよりも良いと答えたのは数社でした。
※ウェラブルEXPOでVRやスマートグラスを使って遠隔ソリューションを提供している。時流に乗っている。
2020年の話をすると、2月のものづくりワールドがコロナが本格的になってきてギリギリに開催された展示会だったのですが、その時の状況に似ていると感じました。
その後9月くらいからリアル展示会が再開されたのですが、その期間は、集客数は少ないものの、目的がある来場者が増えていて効果的だという意見が多かったです。
さすがに、緊急事態宣言中は集客数が減ることは予測されていたと思います。
話を聞いて印象的だったのは、キーマンの方が少ないという声です。
製造業系の場合は、開発者や設計者に新しい技術PRをすることが目的の企業が多いです。
その様な企業の話を聞くと、営業や挨拶回りの方が多いという印象でした。
※私もインタビューで回っていましたし(笑)
但し、今までとは違う傾向が見られた部分があります。
それは、併設のオンライン展示会です。
併設オンライン展示会に人が集まっている
リード社はオンライン展示会を併設で設置しております。
2020年の傾向で言うと、オンライン展示会には人が来ていませんでした。
3社限定でバナー広告を出せるのですが、その企業でも1日5件チャットがあれば良いという感じでした。
今回は、緊急事態宣言中だったこともあったのか、1日100アクセス以上あるという声をよく聞きました。
※オンライン展示会の企業ページをアクセスした人数が表示される(のべ人数)
中には、200以上のアクセスで、チャットで問い合わせが20件を超える企業がありました。
これは、今までになかった傾向です。
緊急事態宣言中は、現地に行かないけど聞きたいことがあれば、オンラインで質問をするということだと思います。
緊急事態宣言が解除されれば、現地に人が集まるのかもしれませんが、頭の片隅に入れておきたい傾向です。
但し、リード社のオンライン施策もまだ完璧ではありません。
以下の問題点があるので、書きたいと思います。
※もっと良くなって欲しいという気持ちを込めて
1.オンライン接客が使えない
これは2020年から言われていたのですが、回線状況が悪く、オンライン接客が使えません。
資料を共有すると急に固まったり、落ちたりします。
自社でZoomなどのオンライン接客ツールを別で用意しておき、そちらに誘導する工夫が必要になります。
2.資料ダウンロードをした人がリアルタイムで分からない
オンライン展示会には、資料ダウンロードができたり、動画が見れるなど、色んな機能があります。
オンラインブース上で、来場者はいろんな行動をするのですが、その行動履歴がすぐに分かりません。
チャットやアポ予約の行動は分かるのですが(その人の情報は分からないが)、それ以外の情報はアクセス人数しか分からないのです。
アクセスしている人数だけ分かっていても、こちらからアクションをすることはできません。
チャットやアポ予約が無ければ、今100人来ているんだな~と思うだけです。
後でも述べますが、資料ダウンロードをした来場者の情報は展示会後に貰えます。
※アクセスした人全部が貰えるわけではなく、資料ダウンロードした方の情報のみ貰えます
オンラインブース上では、なるべく資料ダウンロードをしてもらうように工夫する必要があります。
例えば、以下のような感じです。
- 展示会場でのみ配られる事例集がダウンロードできる
- 展示会場で行ったセミナーの資料がダウンロードできる
- 業界別のソリューション事例がダウンロードできる
コンテンツに特別感を出すことで、資料ダウンロード数を増やすことが、リード社のオンライン展示会で成果をだすコツだと思います。
しかし、この資料ダウンロードの情報が貰える時期にも問題があります。
資料ダウンロードリストが貰えるのは1か月後
リストが来るのが1か月後なんです…
バーコードリーダーが2週間後で、それでも遅いと思っていましたが、1か月後とは…
今後併設のオンライン展示会に人が来るというトレンドが続く可能性もあります。
回線の問題はしょうがないとしても、せめて資料ダウンロードリストは次の週には用意してもらいたいですね。
リードさんお願いします!
ここまでは、緊急事態宣言中のリアル展示会の状況について書いてきました。
次は、製造業系のリアル展示会の価値についてヒアリングしたことを紹介します!
コロナ禍でもリアル展示会に出展するのは何故?
弊社は、ITやSaaS系企業の支援もしております。
2020年は、ウェビナーやオンライン展示会の数が増えたのですが、製造業系の企業はオンライン施策に対して懐疑的な視点を持っていると感じていました。
そこで、何故リアル展示会が良いのかインタビューをしました。
傾向が3つあったので紹介します。
1.実物を見て貰わないと良さが伝わらない
例えば、めちゃくちゃ小さい部品であったり、実際に触って質感が分かるものなど、実物を見てもらうことに価値があるという意見は多かったです。
「オンラインではなかなか伝わらないんだよね~」という言葉が印象的でした。
2.機密情報が多く、オンラインだと掲載できる情報が少ない
IT、SaaS系企業は、新規リード獲得のために、どんどん情報発信をします。
しかし、製造業系は、各社ごとにカスタマイズした部品だったりすると機密情報で発信できないなど、オンラインで出せる情報に制約がかかる場合があります。
HPを見ても、基本的なスペック情報しか載っていないのは、その様な背景が影響しています。
リアル展示会は、直接対面で顧客と接する機会なので、その様な情報を共有しやすいという利点があります。
来場者も展示会でしか得れない情報を期待して、足を運んできています。
お互いのニーズがマッチしているのが、リアル展示会という場なのです。
3.偶然の出会いがオンラインではない
製造業系の展示会は、新しい情報や展示会にしかない情報を探すことが目的の来場者が多いです。
IT系の展示会と違って、毎年来ているリピート来場者が多いです。
リピート来場者は、知っている会社のブースで何か新しいことやっているかなと考えながら展示会場を歩きます。
すると、偶然全く知らなかった企業が、ちょうど探していた部品やソリューションを出展している場合があります。
この偶然の出会いが、リアル展示会の強みです。
特に、知名度が低いけど強みを持っている企業は、この偶然の出会いを求めて展示会に出展します。
オンラインでは、ブランド力が高く、広告費をたくさん使える企業の中で埋もれてしまうからです。
コロナ禍であっても、製造業の特徴を考えると、リアル展示会は価値のある場所だと思います。
しかし、オンライン化しなくても良いかというそうではありません。
リアル展示会に代わる、オンライン展示会に興味を持っている人は多いです。
最後に、製造業のオンライン展示会について、ヒアリングした結果をもとに考察をしてみたいと思います。
オンライン展示会に対する疑問1位「HPと何が違うの?」
オンライン展示会について聞くと、今回のようにリアルと併設のハイブリッド型のオンライン展示会に出展した方はいましたが、オンラインのみの展示会に出展した方はかなり少なかったです。
魅力を感じない理由として多かったのは、「HPと何が違うの?」という意見でした。
オンライン展示会には、バーチャル(オンライン)ブースがあります。
バーチャルブースは、HPみたいなものから、2D、3Dと色んな種類があるのですが、そこに載っている情報がHPと変わらないという意見を多く聞きました。
確かにその通りで、リアル展示会のような臨場感のある伝え方がオンラインではできません。
実物は見れない、情報は出せない、偶然の出会いはない。
オンライン展示会はないない尽くしなのでしょう。
オンライン展示会については、皆様同じようなことを仰っていたので、私なりの考えを述べたいと思います。
上記の3つのないないで、1つだけ解決できるものがあります。
それは、偶然の出会いです。
オンライン展示会のバーチャルブースで偶然の出会いなんてないでしょう!と言いたいですよね。
その通りです。
IT系のオンライン展示会でも、ブースには人が来ません。
※むしろ製造業系の方がブースに人が来ているくらいです
ポイントは、ウェビナー(WEB上で行うセミナー)です。
2020年の傾向として、ウェビナーには人が集まります。
出せる情報がないと言われるかもしれませんが、ウェビナーは決して売ることだけが目的ではありません。
スペックやサービス特徴を訴求すること以外にも、視聴者が知りたいことはたくさんあります。
ウェビナーで、この人の話面白いなあと感じると、視聴者は会社の名前を憶えます。
ウェビナースキルを鍛えることが、オンライン展示会攻略の第一歩です。
実物を見せれないという悩みは、VRなどのテクノロジーが解決する時期が来るかもしれません。
しかし、私も去年VRを使ってウェビナーをやったりしましたが、ものを見せることにVRで臨場感を出すにはまだまだ時間がかかると思います。
※臨場感のあるコミュニケーションを実現するためにはVRはとても良いです
オンライン展示会では、まず偶然の出会いを演出できるウェビナーに力を入れてみることをおススメします。
まとめ
今回は、ネプコンジャパンに行って実際にヒアリングをして感じたことを書きました。
緊急事態宣言下のリアル展示会は、キーマンが少なくて苦戦している企業が多かったですが、明るい材料として、オンライン展示会に人が来ているというトレンドがありました。
また、製造業がリアル展示会を求める理由を3つ紹介し、オンライン展示会が今後どのように代替施策になりうるのか、そして、オンライン展示会に出展する時に意識することを述べさせて頂きました。
皆様が展示会に出展する時の参考になれば幸いです。
最後にインタビューに快く応じて頂き、感謝いたします!
長文読んで頂きありがとうございました!