なぜインサイドセールスは辛いと感じるのか?
弊社は展示会事業をメインに行っていますが、インサイドセールスをご支援することもあります。
ある展示会支援を行っていた時、ある出展企業で展示会に参加されていた1名の方がこのようなことを仰っていました。
「早くインサイドセールスからフィールドセールスへ異動したいんですよね」
「インサイドセールスって辛いと感じる方が多いのかな?」と思い、Google検索で「インサイドセールス」と打ってみると、サジェストで「インサイドセールス 辛い」という文字が出てきます。
また、あるツールを使って「インサイドセールス 辛い」の検索ボリュームを確認してみたところ、月間約260回!かなり多いですね。
ちなみに「テレアポ 辛い」は月間約140回でした。2倍近い検索ボリュームですね。
インサイドセールスというキーワードが認知されてきた証拠かもしれません。
私もインサイドセールス(それ以前はテレアポ)を支援も含めてこれまで沢山行ってきました。
その中で私が辛いと感じたのは、以下のような時でした。
- アポイントが取れない
- 受付を突破できない
- 先方から冷たく対応されることが続く
- せっかく獲得したアポイントが芳しくなかった
- 上司や取引先から成果に対する強いプレッシャー
この他にもこのような以下のような悩みがあるようです。
- フィールドセールスからアポイントを要求される
- 他部門からミッションや業務を理解されない
- 顧客から感謝されることがほとんどない
大別すると以下のような悩みではないでしょうか?
- 成果に対する悩み
- 社内関係者との関係性における悩み
- 業務への意義を感じにくいことによる悩み
今回はこのような課題を感じているインサイドセールスを担当している方や、チームのマネージャー、そしてフィールドセールス担当の方にも読んで頂きたい内容です。
ぜひ最後までお読み下さい。
成果における悩み
インサイドセールスは、テレアポと呼ばれていた頃に比べてツールが充実しています。
20年前にはSFAはほとんど導入されておらず、MAツールは日本でまだ現れていませんでした。
そのため、テレアポではアポイントが取れたかどうかが唯一と言って良い指標でした。
インサイドセールスでは、自社WEBコンテンツとMAツールの出現により、スコアリングの概念が生まれました。
リードのニーズの醸成や絞り込みが可能になり、商談化までのプロセスや売上見込みなど様々なKPIが生まれました。
インサイドセールスのKPIについては以前の記事をご参照下さい。
各プロセスの成果が数値で可視化されるようになり、インサイドセールスのプロセスの中でどこにボトルネックがあるのかがわかるので、改善案も検討しやすくなりました。
管理できる数値が増えるということは、プロセスごとのKPIの成果が求められることになります。
上司によっては、日々様々な指標で詰められることもあるでしょう。
業務改善を目的にKPI管理されれば良いのですが、詰められる道具になったら辛いですよね。
営業出身の上司は、インサイドセールスが出現する前の営業プロセスに慣れています。
様々な営業指標の中でも、商談化に重視する方も多いでしょう。
その場合、顧客育成中のリードであっても、アポイントを急かせられる場合も増えるかもしれません。
そうすると、長期的な視点ではなく、商談化がゴールになり、アポイントの質が落ちてしまうかもしれません。
これでは営業の非効率に繋がり、導入目的と大きくずれてしまいます。成果が上がらなければ、自信を無くしていきます。
業務をしていてもクリエイティブ性が発揮されず、ただ「電話をする」という労働を行うことになります。
これでは辛いと感じても仕方がありません。
社内関係者との関係性における悩み
インサイドセールスはセールスプロセスの分業化です。
インサイドセールスについて詳しく知りたい方は以下の記事をご参照下さい。
分業するということは、フィールドセールスとも利害関係が生まれます。
思うような成果を上げることができず、SQLを増やせない場合、「もっと送客してくれ」と文句を言われるかもしれません。
フィールドセールスは状況に応じてリードへの考え方が変わります。
リードが商談が増える程、できる限り質の高い商談を求めます。
しかし、商談が滞っていたり、予算達成に向けて状況が芳しくない時には、スコアが達していなくてもSQLを増やしてほしいと望むものです。
フィールドセールスもパイプラインを増やし、予算達成のための先行管理が必要なので致し方ありません。
このSQLの定義についても日々調整しながら、商談化を進めていく必要があります。
また、インサイドセールスは社内でも理解されずらいポジションです。
ほとんどの方はテレアポチームとして認識されているでしょう。
特に電話の線を手首に巻くぐらいの勢いで、ずっと電話を掛けているのを見ていた人もいるかもしれません。
インサイドセールスでは、コール前に顧客情報を確認し、質の高い商談化を目指します。
「電話をし、アポイントを取るだけの仕事」だと認識されている場合、「電話もしないで何やってるんだ?」と思われるかもしれません。
このような意見は、直接は言われなくても、回り回って耳に入ってくるものです。
特に歴史があり、マーケティング思考が強くなければ、理解されずらいでしょう。
業務の意義を感じにくいことへの悩み
営業パーソンの業務の喜びは何でしょうか?これは個人の趣向もあると思います。
- 成果を出して全社で優秀な人材として認識されること
- 受注できた瞬間の興奮
- 顧客と良い人間関係を構築できること
上記以外のことに喜びを感じる人も多いかもしれません。
私は、お客様からの「ありがとう」や喜びの声をもらうことが大きな喜びの1つです。
フィールドセールスやカスタマーサクセスの担当者は、そのようなお客様からの喜びの声に触れることがあります。
顧客の喜びの声は、自社へのロイヤリティが高まると同時に、業務への意義を感じさせます。
しかし、インサイドセールスはそのような顧客の声に触れることはほとんどありません。
インサイドセールスはリードがSQLに引き上がれば、フィールドセールスに引き渡します。
その後、契約になればカスタマーサクセス担当に引き継ぐ企業もあるでしょう。
基本的には契約前にお礼を言われることはほとんどありません。
顧客育成のフェーズで欲しい情報を得られれば、それについてお礼を言われることはあるかもしれません。
しかし、その資料はマーケティング担当が作ることが多く、インサイドセールス担当が作るケースは少ないでしょう。
それどころか、資料のダウンロードがあった際にリードへアプローチしてみても、歓迎されるケースは少ないでしょう。
見込み顧客は、情報収集段階では営業を掛けられたくないものです。
LINEやメッセンジャー、メールでのやり取りに慣れ過ぎて、電話でのコミュニケーションが苦手になった方も多いのではないでしょうか。
そういった要因で、リードから冷たく対応されることも少なくないのです。
解決策は
インサイドセールス担当者がなぜ辛いのか、イメージは湧きましたか?
ではどのように解決していけば良いでしょうか?
3つの課題の解決策を考えていきたいと思います。
成果を上げるための支援
インサイドセールスは、営業活動を長期的な視点で捉え、顧客ニーズを醸成しながら、しかるべきタイミングで接触する手法です。
導入してすぐに大きな成果に繋がることは少ないでしょう。
なぜなら、すぐに購入を検討している顧客(今すぐ客)は限られるからです。
インサイドセールスが効果的な組織かどうかについては以下の記事をご参照下さい
顕在顧客(今すぐ客)でなければ、ターゲットリードは1年以内に購入することはほとんどないでしょう。
このような状況で短期的に成果を追い過ぎれば、インサイドセールス担当は疲弊してしまうかもしれません。
商談化のプロセスを長期的に捉え、少しずつでもプロセスを改善・前進させる支援をし、小さな成功体験を積ませるべきです。
潜在顧客を興味喚起するコンテンツ、顕在顧客の背中を押すような事例集など、マーケティング資料やWEBコンテンツを充実させることも必要です。
展示会、WEBコンテンツ、セミナーなどで質の高いリードを獲得し、顕在顧客を増やすことも成果のスピードを早めます。
カスタマーサクセス担当者から、顧客が喜びの声を基に自社の気付いていないニーズを吸い上げ、コンテンツ化したり、スクリプトに反映させることも面白いと思います。
インサイドセールス部門だけでなく、社内全体でインサイドセールスの成果を後押しする体制を取りましょう。
社内の理解
特にマーケティング思考が強い企業ではない限り、インサイドセールスとテレアポの違いを理解している方は少ないでしょう。
導入する前に、他部署にもミッションや業務内容、導入目的を共有し、理解を求める必要があります。
特にフィールドセールスは、利害関係が1番発生するでしょう。
パイプラインを作るために、SQLはある程度必要です。
インサイドセールスを導入して、プロセスが上手く回るようになるまではSQLが不足するかもしれません。
しかし分業化する前、最も大変なのは何でしょうか?
リードを獲得し、アポイント獲得までのプロセスが一番精神的に辛かったのではないでしょうか?
このことを忘れず、パイプラインを作るために一緒に解決していく姿勢が大切だと思います。
商談に行った後、リードが実際にはどのような結果になったか?
リードの質はどうだったか?どのように改善していけばよいか?
このようなことを感情的にならずに率直な意見交換を行うことが必要です。
どうすれば意義を感じるか?
顧客から直接的ではなくとも、感謝の声などが上がった場合、インサイドセールス担当にも伝えるという方法があります。
時々、部署をまたいだ会議などでそのような情報を共有することも1つの案だと思います。
大事なのは、インサイドセールスにも声を伝えることです。
良いSQLを提供された時、フィールドセールスからお礼を言うのもポイントだと思います。
フィールドセールスをしながら、新しいSQLを創出することは大変です。
もちろんそれがインサイドセールスのミッションなので当然ではあります。
しかし、フィールドセールスから感謝が伝わるということは、仕事に対する意義に繋がると思います。
インサイドセールスは、フィールドセールスにとって社内の顧客のようなものです。
フィールドセールスからのお礼は顧客の喜びの声と言えるのではないでしょうか?
最後に
今回はインサイドセールスの仕事はなぜ辛いのか。
どうすれば解決できるのかについて考えてきました。
インサイドセールスは比較的新しい業務であり、理解されない部分も多いと思います。
その際に力になれるのは仲間ではないでしょうか?
インサイドセールス個人の悩みではなく、組織で解決して頂きたいと願っています。
今回は私の主観もかなり入った内容になりましたが、皆様のご参考になれば幸いです。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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