オンライン展示会の今後はどうなる?プラットフォーマー8社から学んだこと
2021年7月13日13:00~18:00第4回EventMarketingカンファレンスを開催しました。
競合企業が8社集まって、業界発展の為にディスカッションをするという新たな試み。
主催をしている私は、上手くいくかどうか不安でしたが(笑)、結果的には学びが深いイベントになったと思います。
※ご協力いただいた出演者の方々ありがとうございます!
ファシリテーターをしていた私が感じた今後のオンラインイベントのトレンドを、コラムとして書きたいと思います。
5部あったので、学ぶべきポイントは多かったのですが、ポイントを1つに絞って解説したいと思います。
そのポイントは「オンラインイベントは今後伸びるのか?」という問いです。
市場動向を知るためには、オンラインイベントを整理して考える必要があると感じました。
私と同じように今後のオンラインイベントの動向に興味がある方の参考になれば幸いです!
また、第4回EventMarketingカンファレンスのアーカイブ動画を文末に貼っておきますので、興味のある方は見て下さい!
目次
オンラインイベント(展示会)の市場は今後拡大するのか?
※弊社はBtoBビ関連の情報しか詳しくないので、BtoCの方にはあまり役に立たない可能性があります。
ディスカッションをしながら感じていたことそれは、オンラインイベントといっても様々な形態があるということです。
形態によって課題感もトレンドも違うので、ちゃんと整理する必要があると感じました。
※オンラインイベント、オンライン展示会と呼び方が色々あるのも形態がたくさんあるからですね
縦軸に規模の大小、横軸にリードジャパン(RXジャパン)のような主催企業か、1企業がやっているかで形態をグルーピングしてみました。
結論から言うと、この表で左側部分と右側部分は分けて考える必要があります。
まずは左側部分から解説致します。
企業主体のオンラインイベントは今後開催数が増える(図の左側)
左側部分は、今後数が増えていくことが予想されます。
「市場規模=単価×開催数」で考えた場合、開催数が伸びるのがこの領域の特徴です。
それぞれの形態別に市場トレンドを考えてみます。
①プライベートショー
企業主催のプライベートショーは今後増えると思います。
現状オンラインイベントが成功しやすい3つの条件は以下になります。
- ブランディング(参加者数)目的
- ウェビナー基軸
- ハウスリストが豊富
この条件を満たしやすいのがプライベートショーです。
低コストで市場認知を獲得するマーケティング(ブランディング)手法として確立していくと予測します。
課題は、ウェビナー視聴に飽きがきていることでしょう。
今後は、コンテンツにどれだけ投資できるかが問われてくると考えます。
- 配信をリッチにする
- 講演者のキャスティング力
- 双方向性コミュニケーションで視聴者を飽きさせない
- プレゼン/ファシリテーションのスキルアップ
この辺りのビジネス機会は増えていきそうな気がします。
➁企業ウェビナー
ウェビナーは皆さまも感じているように増えましたよね。
今後も増えていくと思います。
但し、ウェビナーの集客はどんどん厳しくなってくると思います。
プライベートショーやオンライン展示会が増えれば、質の高いコンテンツが世の中に溢れてきます。
企業ウェビナーは、そのコンテンツと戦わないといけません。
一方、低予算で気軽にやれるのが企業ウェビナーの良いところです。
その企業でしかできない尖ったコンテンツ企画力が求められてくると思います。
因みにウェビナーに関しては以下のように変化していくと予想しています。
今はZoomを使った配信がメインですが、今後は映像のリッチ化で差別化してくる企業が増えると思います。
プライベートショーのウェビナーは、どんどん映像がリッチ化してきていますので、そこに追随する形です。
但し、そこまでお金が掛けられないのも企業ウェビナーの現実です。
気軽に絵作りができるツールや、配信スタジオを自社で持つという選択肢も増えてくると思います。
映像のリッチ化がある程度浸透すると、ウェビナーをインタラクティブにして視聴者を飽きさせないツールの需要も上がると予測します。
投票機能やアンケートなどすでにZoomにある機能ですが、なかなか双方向になりにくいのが現状です。
その辺りも考慮したツールが既に出ていますので注目です!
■コメントスクリーン
■リコーリアルタイムコミュニケーション
そして、ウェビナーは最終的にはスキルが大事ということに気づくのではないかと予測しています。
③株式総会/社内広報
大企業を中心に、オンライン化が進んでいる領域です。
私は大企業に対して研修をしていますが、研修はほぼオンライン化しています。
オンラインの弱点である集中力が持たない問題を解決することがキーになりそうです。
この形態は、双方向コミュニケーションがポイントになると考えます。
④コミュニティ/カスタマーサクセス
成功事例やTIPSの共有が価値となってるコミュニティ/カスタマーサクセス。
まだまだオンラインの伸びしろがある形態です。
オンラインで軽い接点を持って、小規模のオフ会が行われるという形が主流になってくると予測します。
主催系のオンラインイベント(展示会)はマッチングが活性化するかが鍵(図の右側)
右側部分はオンライン展示会/バーチャル展示会と呼ばれている分野です。
左側部分との違いは、出展社というプレイヤーがいることです。
※プライベートショーにも出展社はいますがグループ企業や顧客の場合が多い
イベントのディスカッションで「ブースに人が来ない」や「マッチング機能(チャットや接客ツール)の成果が出ない」という話が出ていました。
オンライン展示会は、出展社の価値が向上することが大事です。(出展料で成り立っているビジネスモデル)
形態別にトレンドを考えます。
①リアル展示会→オンライン展示会
コロナになってリアル展示会の多くがオンライン展示会の開催にチャレンジしました。
CEATEC2021はオンラインのみの開催になりましたし、2021年6月のJapan IT Week【オンライン】は10000人の来場者で3000を超える商談を創出したと話題になりました。
元々リアル開催をしていたので、ハウスリストを大量に持っており、集客不安が少ないのがこの形態のメリットです。
トレンドを考える上でポイントが3つあると考えます。
- オンラインでもマッチングの質が担保されるか
- オンライン展示会の出展プランがどのように整備されていくか
- 出展企業のマーケティング/セールスのDX化が進むか
3つのポイントの動向によって、この形態はハイブリッドに移行するか、リアルに回帰するか分かれると考えます。
ここは、業種/業態によって差が出てくると考えています。
予想はこのようになっております。
左側に位置する多くの業界は基本リアル回帰になるというのが今の予測です。
理由は、今はオンラインの価値が低いからです。
オンライン展示会の価値は出展費用をチェックすると良く分かります。
今オンライン展示会の出展費用は2極化しています。
右上のSaaS系/IT系のオンライン展示会だと出展費用が1000万円を超えるプランがあります。
一方、左側業界の出展費用は、リアル展示会とセットになっており実質無料化している場合が多いです。
リアル展示会の来場者が戻ってくれば、オンラインはやっていても飾り程度で実質リアル回帰になると予測しています。
しかし、本当にそれで良いのでしょうか?
私は、左側の業界にもオンラインの価値はあると考えています。
今後企業がマーケ/セールスをDXしていけば、今までオフラインでしか情報収集しなかった方もオンラインで情報を取得するようになります。
今でも、動画やウェビナーで情報収集する方が増えています。
さらに、プロダクト型のビジネスモデルの場合、他社との差別化要素が出しにくい(コモディティ化)という流れがあります。
プロダクトで差別化ができない場合、どの企業もソリューション型(問題解決)のサービスをリリースします。
ソリューション型であれば、今まであったような「ものを見せないと価値が伝わらない」という声も関係ないです。
これからは、左側業界の展示会もオンラインの価値が高まる可能性があります。
主催企業が積極的にオンライン施策にチャレンジするとともに、出展費用を安易に無料化しないことを提案したいです。
オンラインならではの価値は必ずあります。
出展プランを工夫して、様々な新しいチャレンジが生まれることを期待します!
➁新規参入オンライン展示会
オンライン展示会に新規参入する企業は増えると予想しています。
新規参入しやすいのは、メディアとオンライン展示会プラットフォーマーだと考えます。
メディアはすでに多くのリードを保有している点と広告で新規リードを獲得すればメディアにも良い効果が出る点で非常に向いています。
オンライン展示会プラットフォーマーは自社のサービスをPRする目的で、自らオンライン展示会を開催する流れがあります。
現状は右上の業態に新規参入が多いですが、今後は左側業態でも増えると予想します。
新規参入オンライン展示会にも問題点があります。
それが「マッチング」です。
ウェビナーには参加するが、ブースに行かない来場者が多くいるので、マッチングが起こりにくいのです。
マッチングに関しては今後以下の3つのトレンドが予想されます。
- プラットフォーマーが新たなマッチング機能をリリースする
- ウェビナーがインタラクティブになる
- 主催社がマッチングを支援する(コンシェルジュ)
新規参入主催社が行う様々なチャレンジによってオンライン展示会は進化すると私は考えております。
今後どのようなプランが出てくるのかとても楽しみです。
③産業振興/自治体/銀行
オンライン展示会というと①リアル展示会→オンライン展示会、➁新規参入オンライン展示会が目立つと思います。
今後一番増えるのは、③産業振興/自治体/銀行などが行う小規模のオンライン展示会だと私は予想しています。
国の入札案件を調べてみると、たくさんの小さい展示会が開催されていることが分かります。
今までリアルで行っていたものがオンラインに移行するパターンもあれば、新たにオンラインでチャレンジしているパターンもあります。
先程紹介した業態別の表で考えると、比較的左側に位置する業態が多いという特徴があります。
この分野は、オンライン展示会の可能性がものすごく高いのですが、基本入札案件なので新しいことをチャレンジすることには向いていないと感じています。
入札案件は、今までの実績や支援企業の信頼度で決定しやすいからです。
私は、日本のオンライン展示会の未来を考えるとこの分野に期待感が強いです。
地方創生、グローバル、日本の強み、共創といったキーワードが当てはまるのがこの領域です。
この分野こそオンライン展示会で新しいチャレンジをして、マッチング問題を解決して欲しいです!
今後注目の領域ですので、色々と情報収集をして発信していきたいと思います。
④企業数社による合同展示会
各企業が持っているハウスリストをシェアして集客をすることでイベントを開催する合同展示会も今後増えると予測しています。
右側の業態では、コロナになってすぐ合同展示会が開催されていました。
弊社でもインタビューをしました。
合同展示会は、左側業態の企業に拡がっていくと私は予測しています。
まとめ
今回は、オンラインイベント市場は拡大するのか?について書きました。
形態を整理することによって、皆さまがトレンドを考えるときに分かりやすくなると嬉しいです。
最後に一言。
EventMarketingカンファレンスに参加頂いた方皆さまに感謝をしたいです!
オンラインイベントの可能性を拡げることは、今からの日本経済にとっても意味があると私は思っています。
今後も良い情報を発信できるように頑張りますので、どんどん新しいチャレンジが増えることを期待します!
第4回EventMarketingカンファレンスのアーカイブ動画を貼ります。
興味のある方は是非見て下さい!