展示会パネルはチラシやパンフレットのままで良いの?
展示会の担当者の準備で頭を悩ます「パネル」について今回は書いていきたいと思います。
何故、パネルで悩むのか?
それは、殆どのブース業者はパネルの内容を考えてくれないからです。
おそらくこんな風に言われると思います。
「何か題材があればそれを基にデザインしますので」
パネルが10枚にも及ぶ展示会もありますから、担当者は今あるチラシやパンフレットの内容をそのまま使えば良いと考えてしまいます。
もし仮に展示会のパネルが成果に繋がるポイントでなければ、わざわざ時間をかける必要はありません。
しかし、パネルの作り方で展示会の成果が変わるなら…
今回は、パネルの作り方で展示会の成果は変わるのか?という視点でコラムを書きたいと思います。
目次
そもそもパネルは何の為に必要ですか?
まずは、パネルの目的について考えてみます。
展示ブースはざっくり説明するとこのようになります。
大見出し、中見出し、パネルと分けた時に、パネルの役割は何でしょうか?
ここで集客の目的でパネルが必要だと考える方は少ないと思います。
その通りで、ブース装飾で集客に関わる部分は、殆どが大見出しです。
大見出し7割/中見出し2.5割/パネル0.5割
パネルは集客に関係ないとしたら、あんまり力を入れないで良いのでは?と感じるかもしれません。
しかし、パネルには大見出しや中見出しにはない価値があります。
パネルの価値とは
パネルは、「集客」には役に立ちませんが、「接客」に関係があります。
以前紹介したこちらの資料を見て頂くとイメージが沸きやすいと思います。
例えば、足を止めるのは「大見出し」。
ブースの中へ誘引するのは「中見出し」。
その後の製品/サービスの説明や課題のヒアリングはまさに「パネル」が大活躍する訳です。
展示会で、集客は問題なし。しかし成果に繋がらない…と悩んでいる方こそ、パネルに拘るべきなのです。
パネルはチラシやパンフレットの内容で良いの?
接客において価値が高いパネルですが、どのような内容にすれば成果が変わるのでしょうか?
パネルの内容をFABEというフレームワークを用いて説明したいと思います。
F:特徴
A:利点
B:利益(ベネフィット)
E:証拠(エビデンス)
4つのフレームワークに当てはめて、パネルの内容を考えてみます。
特徴・利点訴求のパネル
チラシやパンフレットは、特徴や利点の訴求が多いです。
これには理由があります。
チラシやパンフレットの目的は、ある特定の方向けに提案をする企画書の様なものではありません。
汎用性を持たせてなるべく多くの方に理解されやすい内容になりがちです。
A社にしか刺さらない内容にしてしまうと、他の所には使えないということになって、費用対効果が合わなくなります。
営業の場面で考えると、チラシやパンフレットは初期のプロセスでしか使いません。
後半になればなるほど、相手の課題感やニーズに合わせた内容に変化していきます。
ベネフィット・エビデンス訴求パネル
相手の課題感やニーズ視点での訴求がベネフィット・エビデンス訴求になります。
例えば、「経理業務の生産性向上を実現」は利点訴求になります。
※因みに特徴訴求は、「自動仕分け機能、承認機能」など機能面を説明しているもの
ベネフィット・エビデンス訴求にするなら以下になります。
1000名規模の経理業務を「残業無し3名」で実現した事例を紹介!
ポイントは「期待感」と「他社との違い」です。
展示会での接客は、クロージングをすることが目的ではありません。
理由は、その場で買うという決断をする人は殆どいないからです。(BtoBビジネスの場合)
簡単に言えば、「また話を聞きたい!やるならここにお願いしたい!」と感じてもらうことが重要です。
機能面で他社と圧倒的な差別化要素があるサービスであれば、特徴・利点訴求も間違いではありません。
しかし、他社と機能面、利点が同じであれば、来場者は「ここも同じなんだ」という印象を持って帰ることになります。
パネルの目的は、「期待感」と「他社との違い」を感じてもらうことであり、だからこそ相手視点(あなただけ視点)の訴求が必要になります。
特徴・利点型とベネフィット・エビデンス型の違いが分かった頂けたのではと思います。
「ベネフィット・エビデンス訴求型の方が良いというのは理解できる。しかし、それは現場の営業がやれば良いのでは?」
パネルの内容を考えるときは、現場の営業の気持ちも考えていく必要があります。
現場の営業スタイルをコントロールするパネルの威力
パネルは現場の営業スタイルを変化させます。
機能面の訴求をしているパネルが並んでいると、来場者からはこのような質問がきます。
「この機能って何ですか?」
「この機能はどうやって使いますか?」
特徴訴求は、より専門的なことを問われる「What」や「How」の質問を受けやすくします。
来場者から質問→質問に答える→来場者から質問→質問に答える
これが、特徴訴求パネルにした場合の接客のイメージです。
では、ベネフィット・エビデンス訴求型のパネルだった場合はどうなるでしょうか?
来場者「この事例説明して貰っても良いですか?」
営業「どこか御社に当てはまりそうなところありますか?
来場者「うちも1000人規模の会社で、残業に困っているから聞いてみたいと思って」
営業「今何人くらいでやっているんですか?」
こんな感じで、営業が質問をする形で接客が進んできます。
展示会は、接客時間を長くとると、接客人数が減ってしまいます。
どの話題から接客をするのかは、接客時間をコントロールする上でとても大事です。
むしろ機能面の説明であれば、展示会後にアポイントを獲得して十分に時間をとって話せば良いのです。
機能面だけの説明をして、結局他社と同じという烙印を押されるくらいなら、質問型で相手の課題を深堀すべきです。
パネルをひと工夫するだけで、営業の接客スタイルも変化することをイメージ頂けたのではと思います。
では、パネルの内容はどのようなものが良いのでしょうか?
展示会を成果に繋げるパネルの内容とは
事例型
事例型のパネルは、価値訴求をしやすくとても便利です。
また、普段なかなか事例が頼みにくいと感じている場合でも、展示会で使用させて欲しいというとすんなりOKしてくれることが多いです。
事例型パネルで良く使うコンテンツを紹介します。
- 導入のきっかけ
- ビフォーアフター(課題感と解決策)
- 成果のエビデンス(数値)
- 業務フローが変化したフロー図etc
ペルソナ型
事例が出せない場合は、ある特定の企業イメージ(ペルソナ)を設定する方法があります。
こちらの場合も上記と同様のコンテンツイメージで考えていくと良いと思います。
課題共感型
ペルソナ型とも近いのが課題共感型です。
来場者が、「この課題うちも一緒だ!分かる分かる!」と共感してもらうことで、質問型の接客を誘導します。
エビデンス型
図やグラフなどを載せて、数値でエビデンスを紹介するパターンです。
経営層や意思決定者を集めたい場合にお薦めです。
他社との違いポジショニング図
他社との違いを言葉で表すのは展示会では良くない方法です。
しかし、イメージ図でポジショニングの違いを説明するパターンがあります。
ポイントは、他社と自社では強みのポイントが違うことをイメージさせることです。
こういう目的なら他社が良いですが、この場合だと弊社のサービスが良いと思いますと訴求します。
業務フロー図
最近のITを活用したビジネスでは、業務のフローがサービスによって変化します。
現状の業務フローと変化後の業務フローを図解することで、来場者が確かにこういうことしたかった!と感じてもらえることができます。
具体的なパネルの内容について解説致しました。
最後に、パネル作成時の注意点をまとめてみたいと思います。
パネル作成時の注意点
1.競合対策も考える
展示会では、競合が調査目的でブースを見にくる場合があります。
競合に知られたくない情報は、パネルには入れない方が良いです。
2.パネルだけで考えない
パネルはあくまで質問のきっかけを作れれば十分です。
パネルだけで全てを伝える必要はありません。
手持ちの資料やPCを活用しながら、パネルと合わせ技で顧客に価値を伝えましょう。
3.パネルの目的を営業と確認しておく
パネルは接客スタイルを変化させる重要なポイントです。
事例型のパネルをマーケティング部門が考えても、現場の営業がその事例を知らないと意味がありません。
営業はそれぞれ自分のスタイルや成功法則で動きます。
それをコントロールするのは研修をするなど対策が必要ですが、そもそもブースの意図や内容などを事前に周知することはやらないといけません。
以上3点が注意点となります。
まとめ
今回はパネルについて書いてみました。
展示会準備が忙しい中、パネル案まで考えていたら手が回らない…と感じるかもしれません。
しかし、成果に繋げるためには、非常に重要なポイントになります。
営業を巻き込めば、マーケティング部門の労力も少なくできます。
パネル作成は特に営業を巻き込みやすいですし、営業も納得感をもって展示会にのぞむことができます。
今回の記事が役に立てば幸いです。
最後に、パネルに関連して「ブースデザイン3つの注意点」というコラムもありますので、参考にして頂ければと思います。
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