導入事例が顧客に刺さるコツ

来場者の心理から導入事例の効果を考える

展示会で導入事例が効果を発揮するには

 

展示会で、導入企業のロゴをたくさん並べているブースを見ませんか?

導入事例を上手く活用して、ブース内で接客をしている場面を見ることも多くなってきました。

 

はっきり言うと、事例はとても効果的です。

弊社も、事例を積極的に進めることが多いです。

 

展示会と事例はとても相性が良いのですが、使い方を間違えてしまうと効果が薄れてしまいます。

 

今回は、展示会で事例を活用してみたいと考えている方に見て頂きたい内容です。

来場者に刺さる導入事例の作成方法とは?

 

何故、展示会で導入事例が効果的なのか?

 

まず最初に、導入事例の価値について考えてみたいと思います。

顧客の声の重要性は、良く聞く話だと思います。

サービス提供者よりもサービス利用者の方が、信頼性が高いという話です。

 

導入事例の価値を理解するには、来場者の心理を読み解く必要があります。

下記の図が来場者の心理となります。

来場者の心理から導入事例の効果を考える

導入事例は図の「非認知→認知」と「比較」の部分で役に立ちます。

展示会には、多くの来場者が来ます。

そのうちあなたのサービスを探している人が「認知」状態です。

 

しかし、展示会の来場者の中で、解決サービスを認知している方は少ないです。

殆どの方は、「悩みはあるけど解決策が分からない」来場者です。

展示会は、この「非認知」の来場者を呼び込むことができると成果が大きくなります。

 

非認知来場者に効果的なのが、導入事例のBefore→Afterです。

「元々○○○な課題があったけど、このサービスを活用したら、■■■になった!」

課題感の○○○部分に共通点があれば、来場者は期待感を持ちます。

 

これが1つ目の導入事例のポイントです。

もう1つ導入事例が刺さるポイントがあります。

 

それが、他社との比較、サービスの信頼性の部分です。

展示会は、サービス比較を短時間でできるという利便性が価値です。

本気でサービスを探している来場者であればあるほど、他社比較の情報を欲しがります。

 

もちろん機能面や価格面で他社との差別化を訴求することも有効です。

しかし、もっと良いのは、導入事例を活用することです。

 

  • 導入頂いてるA社から、○○が違うと仰って頂きました
  • 導入先のB社も御社と同じ使い方で成果を出しています

 

機能面や価格面だけでなく、顧客の声を活用することで、より深く来場者に好印象を与えることができます。

※心理学的に言うと、意思決定はロジックだけでなく感情に左右されるので、感情を揺らす導入事例は効果的だということです

 

おさらいをしますと、展示会には下記の2つの特徴があります。

 

  1. 課題はあるが、解決策を分かっていない来場者が多い
  2. 本気で購入を考えている来場者には、他社比較を伝えることが重要

 

この2つの来場者の特徴に刺さる導入事例は以下になります。

 

  1. Before→After
  2. 他社との違いをストーリーで伝えること

 

因みにこの2つの導入事例は、使うタイミングが違うことに注意が必要です。

非認知の来場者には、期待値が上がるBefore→After。

接客が進んで、サービスの有用性を感じている来場者には、他社比較。

 

ここまでが、何故展示会に導入事例が必要なのか?の解説です。

次に、展示会に必要な導入事例の作り方を紹介します。

 

導入事例の作成に必要なこと【3つのポイント】

 

展示会で必要な導入事例のポイントは、上記で書いたように、Before→Afterと他社比較です。

この内容をインタビューするために必要なことを順を追って紹介します。

 

  • 事前準備
  • インタビュー中のコツ
  • 展示会での見せ方

 

導入事例インタビューの事前準備

 

導入事例をお客様にお願いする場合は、事前に確認事項をまとめて先方に書面で送ります。

以下が確認事項となります。

 

  • 事例使用の目的/使用媒体の確認(展示会、パンフレット、自社サイトetc)
  • 社名ロゴの利用許諾
  • 担当者の顔写真、氏名、プロフィールの掲載
  • 写真撮影をするカットのイメージの確認(サンプルがあれば提示)
  • 写真撮影とインタビューの合計時間の確認(90分~120分)
  • インタビュー中の録音の許諾(使わない場合でも)
  • 担当者以外の原稿チェック部門(例:広報部)の有無と留意すべきことの確認
  • 先方の原稿確認にかかる日数の確認
  • 会社紹介文の確認(こちらで例を作成する)

 

この確認事項に加えて、事前にヒアリングしたい内容を先方に送ります。

例は以下になります。(Saasビジネスをイメージしています)

 

  • 導入のきっかけは?(当時の課題感)
  • 導入時に他社のサービスと比較したか?
  • 弊社のサービスを選んだポイントは?
  • 導入後効果を感じた点
  • 導入後苦労した点
  • どのように工夫したのか?
  • 運用のコツを教えて下さい
  • 具体的な効果を教えて下さい(数値があれば嬉しいです)
  • 今後に期待することは?

 

上記の内容を書類にまとめて、事前に先方に送ります。

展示会で導入事例を活用する時に難しいのは、写真撮影の許諾です。

展示会で使うと言うと、ほぼOKしてもらえません。

自社サイトやパンフレットで使うことを目的に、導入事例をお願いすることをオススメします。

 

先方に送る書類以外に、もう1点大事な事前準備があります。

以下の事前仮説を立てておくことです。

 

  • 導入前にあったであろう課題感(規模や業種から推測)
  • 他社に比べてどのような部分を価値に感じて貰っているのか?(他社情報をしっかりと把握しておく)

 

この2つの事前仮説を怠っていると、インタビューでの質問に幅や深さがでません。

事前仮説も大切な事前準備になりますので、必ず行いましょう!

 

導入事例インタビューのコツ

 

次は、インタビューのコツです。

ここでもう一度、事前に送った質問項目を見てみます。

 

  • 導入のきっかけは?(当時の課題感)
  • 導入時に他社のサービスと比較したか?
  • 弊社のサービスを選んだポイントは?
  • 導入後効果を感じた点
  • 導入後苦労した点
  • どのように工夫したのか?
  • 運用のコツを教えて下さい
  • 具体的な効果を教えて下さい(数値があれば嬉しいです)
  • 今後に期待することは?

 

この質問をするだけでは、相手の返答に幅がでません。

 

例えば、こんな感じです。

 

私:「導入のきっかけは?」

お客様:「上司に導入するように言われてね」

私:「そうなんですね。導入時に他社のサービスと比較したんですか?」

お客様:「したよ!確かB社とC社と御社で比較したね」

私:「弊社のサービスを選んだポイントは?」

お客様「まあ価格が一番安かったし、機能も揃ってたしね」

私:「導入後効果を感じた点は?・・・」

 

かなり極端ではありますが、このような感じでインタビューが進む場合があります。

いわゆる一問一答形式。私は尋問型のインタビューと呼んでいます。

 

尋問型インタビューを解決するコツ(スキル)は2つあります。

 

  1. 言い換えスキル
  2. 仮説質問

 

この2つのスキルを駆使しながらインタビューを行ってみます!

 

私:「導入のきっかけは?」

お客様:「上司に導入するように言われてね」

私:「上司の方が推進されていたんですね(言い換え)」

私:「その時上司の方は○○さんに何を期待されていたのですか?」

お客様:「ちょうど人事異動があった時期で、新しい部長が働き方改革を推進していて。もっとITを活用して労働生産性を上げていこうという方針があってね。それで、私に指示がでていたんですよ。」

私「ITの活用を○○さん主導で推進されていたんですね。(言い換え)」

私:「そういう場合、良くあるのは●●システムの導入とかだと思うのですが、○○さんは色んなシステムを検討されたんですか?(仮説質問)」

 

言い換え×仮説質問をすることで、情報の幅と深さが増します。

この2つのスキルを駆使する最大の効果は、相手が気づいてなかったことについても話をしてくれることです。

そうすることで、ストーリー感のある(顧客に伝わる)導入事例を作成することができます。

2つのスキルが何故必要なのか?について解説します。

 

言い換えスキル

 

人は、相手がちゃんと理解しようとしていると感じると、話したくなるものです。

言い換えスキルを活用することによって、相手が話をしたくなる雰囲気を作り出すことができます。

 

復唱、オウム返しと言われるスキルも同じ目的です。

※例:「上司に導入するように言われてね」→「上司に言われたんですね」

 

オウム返しでも理解を示すことはできるのですが、その内容を言い換えることでより深い理解を示すことができます。

「上司の方が推進されていたんですね(言い換え)」のように言い換えることは、本当に聞いてないとできません。

オウム返しは、実際に話を聞かなくてもできます。

しかし、言い換えはちゃんと話を聞いて、自分なりに理解して言葉にしないとできません。

 

言い換えスキルを活用することで、まずは相手が話しやすい雰囲気を作ります。

 

仮説質問

 

次に重要なのが仮説質問です。

質問のスキルで良く出てくるのは、限定質問(クローズ質問)と拡大質問(オープン)質問です。

 

限定質問:Yes、No答えられる質問(今日の昼パスタで良い)

拡大質問:自由な回答を引き出す(今日の昼何にする?)

 

この中間に位置するのが仮説質問です。

先程の仮説質問をもう一度見てみましょう。

 

私:「そういう場合、良くあるのは●●システムの導入とかだと思うのですが、○○さんは色んなシステムを検討されたんですか?(仮説質問)」

 

仮説質問の特徴は、Yes、Noで応えることができます。

「他のシステムも検討しましたね」「他のシステムは検討していないですね」

 

拡大質問のように自由回答もできます。

「うちは□□システムを検討したんですよ」

 

限定質問よりも情報が拾いやすいですし、拡大質問よりも答えやすいのが特徴です。

また、仮説部分(上の例だと「良くあるのは●●システムの導入とかだと思うのですが、」)があることで、相手から新たな話を聞くことができるかもしれません。

●●システムとの相性の話や、一緒に使うことでこんなことができたという独自性のある情報が出てくる可能性もあります。

 

インタビューで言い換えスキルと仮説質問を活用すれば、今までよりも多く、そして深い情報を獲得できます。

そうすることで、before→Afterや他社比較が臨場感を持って、来場者の感情に刺さるのです。(記憶に残ります)

最後に、展示会では導入事例をどのように見せると良いでしょうか?

 

導入事例展示会での見せ方

 

展示会で導入事例を活用する時は、2つの役割があります。

 

  1. 悩みはあるけど解決策が分からない来場者へ、ここに解決策があることを示す
  2. 有用性がありそうだと感じている来場者へ、他社との違いを伝える

 

この2つの役割を分けて考えることが重要です。

 

➀に関しては、来場者を呼び込んですぐに訴求することが大切です。

来場者が入った位置にある壁面部分をオススメしています。

展示会ブース例

この部分に描く事例の内容はたくさん必要ありません。

大事なのはBefore→Afterです。

そして、Beforeの課題感が来場者と共通点があると良いです。

 

次に②です。

他社との違いはストーリーで話すと良いと言いました。

展示会で最も良い伝え方は、営業が事例をちゃんと覚えて自分の言葉で話すことです。

 

仮に来場者がこんなことを聞いてきたとします。

 

来場者:「このサービスうちではこういう使い方がしたいんだけど、そういう事例もあるの?」

営業:「A社は同じような使い方をしている企業です。実際に○○の部分が他社と違うと言って導入して下さいました。でも実際に使ってみると●●の問題点も出てきたんですけど、△△な工夫をして、今はこんな成果に繋がっています。」

 

営業は、他社との違いをストーリで伝えます。

来場者は、あのブースの営業は一番信頼できそうだ!と感じること間違いありません。

 

事例をチラシにしてる場合は、「これを見れば先程の話が載っています」と言って最後に渡します。

上司に報告をする、又は決済をとる時にチラシを活用してくれるでしょう。

 

展示会前に、事例を営業がしっかりと頭にいれておくことで、より効果が発揮できます。

※PPTでまとめて、PCで説明をするスタイルも良いと思います。

 

良くあるのは、事例をパンフレットにして配っているパターン。

これは、来場者がこのサービスで自社の悩みが解決できると気づいている時しか効果がありません。

その様な場合は、既に事例をWEBで見ているかもしれません。

 

展示会で導入事例を活用するときは、見せ方、使い方にも工夫してみて下さい。

 

以上が導入事例の作成に必要な3つのポイントです。

 

まとめ

 

今回は導入事例を展示会で活かす方法について書きました。

もう一度この図を見て下さい。

来場者の心理から導入事例の効果を考える

この図にある「有用性」の部分は、WEBでも十分に伝えることができます。

機能面/価格面で圧倒的に差別化要素がある場合は、特に問題なく展示会が成果に繋がるでしょう。

しかし、そうでない場合は、是非事例を活用して下さい。

 

必ず今よりも良い成果に繋がります。

WEBでは取れない情報を展示会で発信すれば、今よりも来場者の質が上がります。

 

導入事例が顧客に刺さるコツは以上でございます。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です