展示会とブランディングの関係
前回、前々回から、購入可能性のある顧客を3つの階層に分けて、対応策を考えています。
- 今すぐ顧客
- もうすぐ顧客
- まだまだ顧客
今回は➂まだまだ顧客について書きたいと思います。
例えば、以下のようなビジネスモデルの企業が当てはまります。
- 直接販売はしておらず、基本はチャネル販売をしている
- 殆どの場合はコンペになるが、そのコンペに入るのが難しい
- 一度納品すると次回のチャンスは5年以上先になる
このような企業の場合、展示会=売上というイメージが沸きません。
上記の3条件の共通点は、展示会が売上に効果があったか測定が難しいという点です。
マーケ/企画部門にとって評価の軸になる「費用対効果」。
この指標が分かりにくいために、このような企業は殆ど「名刺獲得数」で成果を測定しています。
「認知度向上=名刺獲得数」という図式です。
しかし、ほとんどの方が、無駄な名刺獲得に価値がないことに気づいています。
競合調査や売り込み、売上とは関係ない市場調査企業・・・
営業マンは「何の為に展示会に参加しているのか分からない」と愚痴をこぼします。
まだまだ顧客には、今すぐ顧客やもうすぐ顧客とは別の「やり方」が必要になります!
営業マンのBenefitから考える
展示会において、現場の営業マンの役目は非常に重要です。
しかし、意味のない名刺獲得数に追われる展示会マネジメントでは、営業マンのモチベーションは上がりません。
せっかくのリアル接点がある展示会なのに、現場の営業マンの士気が低いのであれば、コストがもったいない訳です。
では、どうすれば営業マンのモチベーションを上げることができるのでしょうか?
まだまだ顧客を開拓する営業マンにとっての価値を一言で表すと「ブランド」です。
何故「ブランド」が重要なのか?
それは、圧倒的に営業がしやすくなるからです。
営業マンは、無駄な名刺集めにはモチベーションが上がりません。
上記の3条件に当てはめると以下のような成果に繋がるとテンションが上がります。
- 自社のブランド認知によりチャネル企業が売りやすくなる
- コンペに参加しやすくなった
- 既存顧客から相談されることが増えて、新しい売上の機会が増えた
「認知度向上」=「名刺獲得数」という公式ではなく、何をすれば良いのでしょうか?
ブランディング=POSITIONING
ブランディングという概念は、幅が広いです。
弊社は、営業マンの視点からブランディングを捉えています。
営業マンが営業しやすくなるブランディングとは「ポジショニング」がはっきりしているということです。
展示会にブランディングを取り入れたA社
展示会支援を行ったA社は、なかなかコンペに入れないことに悩んでいました。
コンプライアンスが厳しくなってきた現代において、昔ながらの「人脈」営業が効きにくくなっているのが原因です。
とにかく展示会で「会社名」を覚えてもらう!
これがA社の展示会出展目的でした。
当たり前のように「名刺獲得数」がKPIに設定されました。
そして、名刺を集める為に、コンパニオンにバーコードリーダーを持たせ、ノベルティを渡しました。
たくさんの名刺情報が集まっていましたが、費用対効果に関しては?マークがつきます。
何故なら、終わった後に営業マンが連絡をしてみると、「会社名」を全然覚えてくれていない訳です。
結局、何の為に集めたのか分からない名刺情報の束だけが残っていきます。
A社を支援して始めに設定したのは、ブランディングの定義です。
顧客にどのように認知されたいのか?
とにかくこの質問をしました。
コンペを選ぶ場合、同じような企業ばかり選んでも価値がありません。
A社はリーダー企業ではありませんでした。だからこそコンペに入れない訳です。
しかし、A社には他社にはないポジショニングがありました。
特徴的には他社と変わらないのですが、ある特定の領域に関しては、強みを持っていたのです。
A社は、展示会で徹底的にポジショニングを訴求しました。
結果、展示会後に電話をしてみると「○○の会社だよね!」と覚えてくれていたのです。
その後、A社の展示会の目的は「名刺獲得数」ではなくなりました。
自社のポジショニングを伝えること、そしてコンペ率を上げることに設定されています。
もう一つの効果
A社は、展示会にブランディングを持ち込むことで、更なるもう一つの効果があったと話してくれました。
それは、自社の営業マンがポジショニングという共通認識を持ったということです。
「インナーブランディング」という言葉がありますが、まさにその効果が表れました。
今まで、広報が担当していたブランディング。
それを営業マンまで巻き込んで顧客に直接伝える。
展示会には隠れたパワーがあることを感じました。
まとめ
本日は、まだまだ顧客の対応策について書きました。
顧客の階層と戦略やビジネスモデルは密接な関係があります。
展示会を成果に繋げるためにも、事前準備の段階からこのフレームワークを活用頂ければ幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました!
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