ブースコンセプトは2つの視点で考えよう!
最近ある企業に営業に行ったところ、「ブースってどのように作ると効果的ですか?」という質問を受けました。
展示会の出展経験があんまりない担当者の方で、ブース業者の提案に対して何が正しいのか不安がある様子でした。
色々なことをヒアリングしてみると、以下の視点でブース業者の提案を聞いていました。
- コスト(前回の展示会の時と比べる)
- デザイン(パース図)
- ノベルティやコンパニオンなどの集客プラン
- 動画制作、パンフレット制作など1業者ですべてできる
最終的にはデザインとコストでなんとなくこれが良さそうということで、前回は決まったとのことでした。
前回の展示会では、それなりに見た目の良いブースで満足はしていたのですが、成果は思っていたほど上がらず、もっと良い方法はないのかなと考えていた様子でした。
私は前回のプランをすべて見せて頂いて、このように言いました。
「展示ブースに必要な2つの視点がありません。これでは成果は出にくいと思います」
その方は、展示会を成果(売上)に繋げるように上司から指示されていました。
展示ブースを設計する上での重要な2つの視点とは何でしょうか?
展示会成功の法則
ここで、展示会成功の法則を考えてみたいと思います。
展示会は、3つの力の掛け算で成功する確率が決定します。
- ターゲット来場者の集客力
- ターゲット来場者への価値訴求力
- 展示会後の営業力
3つの力の内、上記2つまでが展示会の現場で行うことが多いです。
※因みにリードエグジビジョンが提唱している商談型の展示会は2、3を一気に行うことになります。私も将来的にはそうなって貰いたいと思うのですが、情報収集客の多い日本の展示会では、商談型はまだ非効率である場合が多いです。(商談席が殆ど既存顧客との談笑の場になってしまう)よって、展示会現場では2まで行うことをお勧めしています。
本来、展示ブースの設計もこの法則に従う必要があります。
展示ブースは2つのコンセプトによって成立します。
1つは集客コンセプト。
2つ目は、価値訴求コンセプト。
展示ブースの設計を考えるときは、この2つの視点を持たないといけません。
しかし、今回相談頂いたA社では、そのコンセプトが全く考えられていませんでした。
それぞれのコンセプトについて説明していきたいと思います。
社名のみの集客コンセプトについて
A社の場合、ブースの集客に繋がるポイントは、社名のみでした。
ブースの前面に大きく社名とロゴが配置されていました。
今回仮にA社が出展展示会で社名の認知度がめちゃくちゃ高かったとします。
その場合は、社名を目立たせるこの集客コンセプトは正しいです。
しかし、お話を聞くと、A社の認知度は高くないということでした。
前回の結果を聞くと、それなりに名刺情報は取れていました。
やり方を聞くと、コンパニオンがノベルティをフックにバーコードリーダーで名刺情報を集めていたようです。
殆どの来場者の方が、A社がどのような製品/サービスを売っていて、顧客にどんな価値を与えているのかという重要な情報を聞いていないのです。
これでは、せっかく集めた名刺に展示会後にメールを送ったとしても、覚えて貰えている確率は非常に少ないと思われます。
ターゲット来場者の集客力を上げるためには、社名のみの集客コンセプトでは不十分だったのです。
製品パネルが並ぶ価値訴求コンセプト
次に、価値訴求についてはどうだったでしょうか?
A社は3つの製品を展示していましたが、2つは現物+パネル、1つはパネルのみでした。
価値訴求コンセプトの目的は、来場者に価値を与えることです。
【価値の定義】
FABというフレームワークを使って説明します。
F:特徴、A:利点、B価値
- 特徴:サービスの機能、できること
- 利点:サービスを使うことによってもたらす成果(例 生産性向上、売上向上etc)
- 価値:顧客の課題の解決方法など、顧客にカスタマイズされた解決策(価値は顧客によって変わることがポイント)
イメージが沸きやすいように採用支援サービスを例にして説明します。
■特徴
登録者数が多い、完全成果報酬、IT技術者に特化したなど
■利点
中途採用が効率化される、今まで見つからなかった人が採れる
■価値
入社後のミスマッチに悩みを抱えている顧客に対する具体的な解決策
A社のターゲットは中小企業の経営層の方でした。
実際のパネルを見た所、製品の特徴は書いてあるのですが、そもそも経営層の方が興味を持ちそうな利点や価値に関しては全く記述されていませんでした。
おそらく、情報収集や競合調査、売り込み目的の来場者が展示ブースに立ち寄って、色々と製品のことを聞いてくることはあったと思います。
しかし、本来売上に繋がる経営層の方々は、殆ど集まっていませんでした。
仮にブースの中に引き入れていたとしても、来場者の興味に合わせた価値訴求ができていないと、展示会後の行動には繋がりません。
※ここは接客担当の営業スキルにも課題感がありました。ヒアリングをすることなく製品の特徴を説明するだけの接客をしていました。
結局A社の場合は、製品パネルというバリューコンセプトはあったものの力を発揮できていなかったのです。
以上のように、集客コンセプト、価値訴求コンセプトの2つの視点がブース製作には必要になります。
A社の場合は、ブースのデザインには凝っていたものの、集客コンセプトは社名、価値訴求コンセプトは製品特徴パネルでした。
ターゲット来場者を集客すること、そして、集客したターゲット来場者にしっかりと価値を伝えることを意識すれば、今よりも成果に繋がるブースデザインが作製できたと推測します。
具体的にどうすればよかったのでしょうか?
ブースデザインに悩んだ時に参考になる記事
ブースデザインに参考になる記事を紹介致します。
厳選した2つの記事をご覧いただければ、今までとは一味違ったブースデザインに繋がります!
集客コンセプトに役立つ記事
価値訴求コンセプト
まとめ
展示会のブースを設計する場合は、「集客コンセプト」と「価値訴求コンセプト」の2つの視点が必要になります。
しかし、ほとんどの企業の方が、デザインやコストでブース業者を決定しているのが現状です。
展示会で成果を出すには、展示会というお池の中で、自社のターゲットのお魚を見つける必要があります。
特にBtoBの展示会では、このターゲットという考え方が非常に重要になるのです。
左側の50%の来場者を集めたところで、成果には繋がりません。
展示ブースの設計も、2つの視点を大切にして頂ければ、成功の確率が上がります。
参考にして頂ければ幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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